ファーストミッションVol:13
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ーーなっ...!?一体、な...何を...!
聖女の軽やかな発言とは、逆の、
とても穏やかではない、非人道的な発言だった。
いくら夢の中とはいえ、人命を奪うのは、あり得ない。
ーーこ..この人...!本当にアブな...!
とうとう、真性のサイコパスだと認定しかけた竜司に、
「誤解がない様に言っておきますが、
闇雲に、命を奪えとは、言っていません。」
「竜司さんの命が危ない時、つまり、
身を守る為の非常手段、正当防衛の結果であれば、
やむを得ない、例外的な処置であり、結論です。」
「無抵抗の相手に、反人道的な行為は、求めていません。」
聖女は、さも当たり前に、倫理を述べた。
ーーハァ..良かった...。
とりあえず、首の皮一枚が繋がり、緊張感も、多少、和らいだ。
だからといって、聖女がサイコパスという
竜司の中での認識は、変わってはいないが。
「えぇ..倫理ぃ...」
「あなたが、それ言うの?」とも言いたげであった。
ただ、自分達のいる場所にいるせいで、
未だ、不愉快の気持ちは、晴れていないままだ。
苦くて、憂いのある、思い出が詰まった土地、
彼にとって、ここは、刑務所。
いつまでも自分を拘束し、幽閉、息苦しさ、
何十苦も感じさせられた無限地獄、
これまで、竜司が、延々とループし、
苦渋を味わった、神話のシンボルでもあるのだ。
そして、今、聖女から、最初の指令が下った。
彼を支配する、悪夢を終わらせる為に、
我が物顔で、居座っているターゲットを始末、
もとい、調教する訳なのだが、
「って...一体、誰がターゲットなんだ?」
正体不明で、どこに潜んでいるかさえ
分からない相手にどうしろと?
立ち往生するしかない竜司を相手に、聖女は、
「それは、行けばわかりますよ。」
すでに答えを知っていそうだが、
さも意味深に、伝言してくるのだから、
煽られた様に感じた竜司は、イラッとした。
「もう!わかりましたよ!行きゃいいんでしょ!行きゃ!」
ヤケクソ気味に、開き直った。
改めて、立ち塞がる、4F建ての鉄筋コンクリートで
築かれた要塞を、上から下へと眺めた。
彼が生活していたのは、1Fの右にある102号室だ。
10秒もかからず、玄関が目の前にある。
このドアを開けた先には、悪夢の元凶がいる。
その人物は、竜司自身、心当たりがある。
ーーま..まさかな...。
彼の予感は、そう告げているが、外れてほしい様な、
当たって欲しい様な、複雑な心境である。
このまま進んでもいいが、まだ心の準備ができていなかった。
高鳴る心臓の鼓動音が、竜司の心情を表していた。
竜司は、ひとまず、ディープな夢の世界を散策する事にした。




