ファーストミッションVol:9
9/12加筆・更新しました。
「確かに、困難な事に変わりはありませんが、
決して、不可能ではありません。」
「現実では、いくらでも表面を取り繕えますが、
夢は、その人の全てを、露わにします。」
「つまり、弱点や脆さも、剥き出します。」
「竜司さんは、そこを突いて、調教していけばいいのです。」
かすかではあるが、竜司は、活路を見出した。
彼なりに、頭の中で整理すると、
正面突破で、真っ向から立ち向かえば、
まず、勝ち目はない。
みすみす、犬死するだけとなるのは、目に見えている。
だから、まず、相手の弱みを握り、
アドバンテージを取る必要があるだろう。
聖女の言葉を借りれば、様々な問題がある
現代社会では、男性も女性も、等しく
精神的な弱さを抱えている。
たとえ、相手が権力者であれ、ケンカ自慢であれ、
無敵キャラで、チート的な、手がつけられない訳では、
決してないのだ。
必ず、どこかに、ウィークポイントが、存在する。
性格や好みのタイプ、苦手な事、
趣味、嗜好、生活パターン、価値観...etc
あらゆる事を調べ尽くし、泣き所を探し、
徐々に、篭絡する準備が、大事になるだろう。
まるで、多くのヒロイン達を攻略する、ギャルゲーのシナリオ展開だ。
一つの選択肢を誤れば、Bad Endへと
まっしぐらであるが、その選択を一つずつ
潰していけば、いずれは、Happy Endに辿り着く、
そう思えば、出来ない事はないかもと、かすかな光が見えた。
少しずつ、自分の身に降りかかっている
厄介事の答えが、生まれようとしている時、
竜司は、ここで、気になる点があった。
ーーそういえば、失敗すれば、どうなるんだ?
仮に、攻略の準備を完璧にしたしても、
100%の成功は、保証されていない。
時には、誤りも、起こるだろう。
相手は、生身の人間である。
恋愛シミュレーションゲームの様に、そう都合良く、
トントン拍子で上手くいく事は、まず、無いと思って
臨んだ方がいい。
しくじった時は、どうなるのか、聖女は、簡潔に答えてくれた。
「失敗すれば、相手の夢から追い出され、現実に戻ります。」
「つまり、死ぬ、という事になりますね。」
ーーBad Endじゃなくて、Dead Endなんですけど!?
ある意味、死刑宣告をされた竜司は、
自分が、童貞とか、チェリーとか、
そういう事を言っていられる立場ではないと、
喉元に、ナイフを突きつけられる感覚がして、肝を冷やした。
そこにまた、聖女は、竜司にとって、
お節介もいいところな、フォローにもならない
慰めをした。