ファーストミッションVol:3
「竜司さん、ご機嫌よう。」
どこか聞き覚えのある声が、聞こえた気がした。
ーー気のせいか?
一瞬、空耳かと思った。
が、
目の前に広がる光景を見た刹那、竜司は、理解した。
「また、ここかよ!!」
さっきまでいた、あの夢の世界であった。
気づいたら、彼の部屋ではなく、
ヨーロッパの街中に立っていた。
竜司にとって、離れたばかりで、
まだ生温かな感覚として残っており、
つい最近の出来事である。
そして、また、例の人物とも、再会を果たした。
「また、会いましたね。」
変わらない振る舞いや雰囲気を醸し出す、聖女がいた。
ーーいやいやいやいや...
竜司は、ただただ困惑していた。
無理もない話ではある。
彼にとっては、ほんの少し前に、別れたばかり、
しかも意味深な言い回しを残して消えた
聖女が、こうも容易く現れてもいいのものなのか?
ーーああいう別れ方からの再会は、随分先の話でしょうよ...。
と、竜司は、ドラマ等のシーンでよくある、
劇的な別れからの再会という、
お決まりのパターンを想像していた。
しかし、あっけなくその期待は裏切られた。
どうやらありきたりのテンプレートは、用意されていないらしい。
ある意味、空気を読まない聖女はもちろん、
この世界では、これまでの常識が通用しない事を、
竜司は、理解した。
そして、予想に反してのスピード再会であったが、
彼が抱いていた疑問も解消される事になるだろう。
不意を突かれた形ではあるが、竜司は、好機と捉えた。
「束の間の現実は、いかがでしたか?」
聖女は、竜司の現実での出来事を尋ねた。
「時間が...」
最初の言葉が出る前から、
聖女はもうわかっているだろうが、
竜司は、素直に現実での出来事を話し始めた。




