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悪魔の子Vol:10



「ブルアァアアアア!!!」



目から星が飛び出しそうな突然の頭痛に、

竜司は、その場でうずくまって悶える。



ーーこのお決まりパターンは...!



おおよそ、犯人ホシの目星がついていた。



痛みに堪えながら、振り返ると、いた。



「ーー!!」



こちらに向かって話しかける人物は、いた。



「誰っ!?」



しかし、素性がわからなかった。



同時に、鈍痛の原因も、分かった。



銅でできた頭部を覆うヘルメット、

ゴム張りの布製の潜水服を着ている者が、

ジェスチャーしている。



顔の正面は、ガラスだが、スモッグがかかって

中までは確認できないが、竜司よりも身長が

20〜30cm低いので、誰かはわかった。



あの金属ヘッドが、頭突きをかましてきたのだ。



「何してんの?」



リュウジの奇行は、相変わらずだが、

奇抜が過ぎる登場に、竜司は、眉をひそめる。



ちなみにだが、今、竜司のいる夢には、

海はおろか、水辺すらない場所である。



ーーエッヘン!



と、誇らしげに、鼻息を荒くしながら

胸を張っている様子なのは、伝わる。



だが、全く何を言っているのか、

サッパリ、竜司の耳には届かない。



「えっ?」



竜司も、片耳を耳に添えて、聞こえない

ボディランゲージで伝える。



リュウジが、また何か、手をバタバタしながら

こちらにメッセージを発信する。



「えっ?」



竜司は、同じ、リアクションをする。



リュウジは、より手を激しく動かして、

何かを言いたい様だが、皆目、見当つかない。



今度は、首を横に、傾かせて、

わからないアピールをしようか、

竜司が考えている時、



リュウジが、苦しそうに、四つん這いになった。



相変わらず、地面に手をドンドンと

叩いていて、忙しないが、様子が

おかしいのだけは、わかる。



だが、次第に、動きが弱くなってきた。



ブルブルと、こちらに手を伸ばしているではないか。



ーーまさか...?



雲行きが怪しい事に気づいた竜司は、

潜水服に近づいて、ヘルメットを取った。



「ブハァ!」



案の定、リュウジが、顔を出した。



その表情は赤く、息も絶え絶えだ。



「何してんの?」



竜司は、呆れて、ジト目で、リュウジを見下ろす。



おそらくだが、完全密閉された

ダイビングスーツに、酸素が

注入されていなかったのだろう。



時間の経過と共に、酸素濃度は下がり、

次第に、呼吸が困難になってきた。



そして、危うく、窒息しかけた。



「死ぬかと思った...。」



リュウジは、落ち着きを取り戻しながら、

ぼやいた直後、



「あっ、にぃには、何回も死んでるか♩」



「死んで骨だけ...いや、髪の毛一本すら残さず...。」



「まっ、詫びる責任もないのに、よくやるよねぇ。」



相変わらずの軽口を叩くのだから、

逆に、竜司は、肩の力が抜けた。



「どれも当てずっぽうだし、

こちとら、言いたいセリフだわ。」



「それで、なんで、それ着たの?」



ツッコミたい所は、山ほどあるが、

とりあえず、一番の疑問を尋ねる。



「ふふふ...。」



リュウジは、意味ありげな含み笑いを浮かべる。



「それはね...天才だからさ!」



「聞いた俺が、バカだった...。」



どんな回答か、一瞬でも期待してしまった

己を、竜司は、心底、恥いるのであった。



「ちょっと!ちょっと、ちょっと!」



「リズミカルにアンサーしなくていいから。」



塩対応で、これ以上は、付き合わない事に決めた。



「わかってないなぁ...。」



「天才になるには、天才の”フリ”をすればいいのさ!」



なおも、ドヤ顔で、リュウジは、一方通行で話を進める。



「天才じゃなくて、奇才か鬼才がお似合いだ。」



「ブゥ!ケチンボ!ムッツリチェリー!」



「やかましいわ!チェリーにしてやろうか!」



口を尖らせながら、ブーイングする

リュウジに、竜司も負けじと応える。



「いやぁ...それほどでもぉ...。」



リュウジが、照れた表情を浮かべながら、

片手を頭を掻いて、嬉しそうにしている。



「褒めてねぇよ!」



この日、会心のツッコミを決めるのであった。



「やれやれ...これだから、チェリーは困りますなぁ。」



リュウジは、両手の平を振りながら、

吐息をして、憐れむのであった。



「まぁ、冗談は、半分個にしておいて。」



「そこは、全カットしろ。」



リュウジの半端な切り替えに、

不完全燃焼感を覚える竜司であった。



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