童貞の覚醒Vol:19
9/19加筆・修正しました。
「俺は...今までの人生が大嫌いだった。」
「死んだも、同然の日々だった。」
「クソみたいな現実を変えられる、キッカケを探していたんだ。」
生まれて初めて、竜司の意志が、本音が溢れ出していた。
「正直、世界を救うとか、調教とか、
現実を変える力があるとか、言われてもわからない。」
「現に、今、俺ができる事さえ、何なのかも理解していない。」
「実感がないし、余裕もない。」
「けれど...」
彼の核心となる、コアが、長い眠りから目を覚ました。
「これだけは、わかる。」
「自分を救えない奴に、弱さを認められない奴に、
世界は救えない事を!」
「他人を傷つけてまで、弱さにしがみついてる、
人間なんかに、そんな資格はない!」
自然と、彼の握る拳が強くなった。
「俺は、弱い!」
「だから、不幸な人生を送ってきた。」
「そんな人生に、決着をつける。」
「フザけた現実は、俺が全部、変えてやる!」
その直後、強く握った右手を、正面に突き出した。
すると、目の前の部屋の空間に、突如、ヒビが入った。
あっという間に、全ての空間へと行き渡り、
ガラスが割れたかの様に、砕け散った。
新しい舞台の開幕を告げる様に、覚醒を迎える瞬間だった。
その光景に、これまで無表情だった聖女は、微笑みを浮かべていた。
彼の門出を祝うかの様に、見届けるのであった。