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かいぶつVol:21



「何が...ガッ!?」



突然の轟音に驚きを隠せない

エージェントの頭に衝撃が走る。



どうやら、その小さな乱入者は、

わざと狙ったのか、ボブに目掛けて

お尻から着地した。



いわゆる、ヒップドロップの形だ。



その勢いで、ボブは、頭から地面にめり込む。



竜司は、目の前で、奇襲を受けた事で、

ボブの手から離れ、距離を取る事ができた。



「いててて...」



「いや、それで済むのかよ...」



竜司は、10mはあるであろう高さから

落下してきた少年のダメージが、

お尻をさする程度なのに、ツッコンだ。



「へへ、危ない所だったでしょ?」



「まぁ、助かったから良いけども。」



思わぬ形での少年リュウジと合流となったが、

命からがら、ピンチを脱する事ができた。



ーーあいつは...。



あの大型黒人は、ピクリとも動かない。



ーー気絶したのか?いや、息はもう...



しかし、油断はできない。



死んだふりをしていて、後から襲ってくる

可能性もなくはないのだ。



「じゃあ、見張りをつけるか♩」



ーーえっ?見張り?



竜司の疑問とは、裏腹に、リュウジは、

どこからか、ホイッスルを取り出した。



10cm前後の縦長の金属製で、シルバー色、



ーーピー!



高めの口笛の音が鳴る、その直後、



「お呼びでしょうか?」



執事の制服を着た、中性的な容姿、

オールバックの男性が、暗闇から現れた。



「コイツを適当に縛っておいて、見張っておくれ。」



「かしこまりました。」



「坊っちゃま。」



「坊っちゃま!?」



竜司が、突如、現れた謎の黒服執事に、

頭の理解が追いついていなかった。



「いつから、金持ち息子になった?」



「さっき♩」



「どういう設定だよ...」



もはや、自由奔放を超えた、おふざけであっても

この男児を止める事は不可能である。



「あと、好きにしていいよ。」



「承知いたしました。」



主人の許可を得た事で、この召使いは、一礼した後、



倒れているエージェントに向かった。



「ゆ..る..さん」



ーーまだ生きているのかよ...。



こときれていてもおかしくないのに

そのタフさに、竜司は呆れている。



もし、近づいていたら形勢が再逆転していただろう。



だが、



「坊っちゃまの御前だぞ。」



「汚い口を慎め、この出来損ない。」



さっきまで、丁寧な受け応えをしていた

執事が人が変わった様な口調になった。



そして、片手で、ボブの顔を更に、

強く押し付け、制圧する。



「ガッ...!」



ボブは、反抗どころか、力さえ入らない。



この黒服の華奢な体型からは、考えられない

パワーが加わっているのだろう。



穏やかな瞳から、目つきは鋭くなり、

威圧する如く、口を開き、ライオンの様な

狩る存在へとなった。



いや、文字通り、肉食獣の様な牙が、

彼の口から2本生えている。



「うん?」



自分の目がおかしいのか、錯覚なのか、

一度、竜司は、目をゴシゴシをこする。



それでも、やはり、鋭利な歯が生えている。



「やっぱりある...。」



「そうだよ。だって、ヴァンパイアだし。」



「サラッと言うな、サラッと...。」



この会話の直後、この執事こと、

ヴァンパイアは、エージェントの首元へ

牙を立てて、吸血を始めた。



「ってか、吸血鬼が召使いって、

お前はかいぶつくんかよ...」



「かーいかいかい♩」



「あっ、黄色の服と青の帽子を着替える?」



「それだけはやめとけ...。」



なんだか別の意味で、疲労感を覚える竜司であった。



「じゃあ、後は、あいつに任せて行こう♩」



「はいはい...。」



竜司は、急なファンタジーに巻き込まれ、

村人Aの立場で傍観するしかなかった。



事実、夢の世界にいる時点で、

ファンタジーなのだが、空想上の生き物や

存在を目にして、未だ信じられない気持ちである。



頭の整理が終わらないまま、

先の扉へと進むのであった。



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