かいぶつVol:12
ちなみのちなみにの、補足説明という名の
悪いニュースがボロボロと知らされる内容に、
雲行きが怪しくスタート、
だが、この神出鬼没なこどもは、ケラケラと笑い飛ばす。
ハンデなぞ、一向に構わないとばかりに、
目の前で、頭を抱え、愕然としている
オトナにも、物怖じしない。
「まぁまぁ!ケセラセラというやつさ!」
「ハクナ・マタタ〜♩いい響きさ〜♩」
「同じニュアンスの言葉を重ねて、いちいち歌わんでよろしい!」
「ってか、やかましいわ!どこで覚えた、そんな外来語!」
「夢と魔法の国!」
「お前は、マジカルファンタジー出身なのか?!」
竜司の夢に登場してきたものだから、
少年の言葉は、真に、魔法の国から
やってきたのかもしれない。
決して、デタラメを言っている訳でも、
ホラを吹いているワケでもない。
きっと彼は、天衣無縫、
雲が流れる様に、自然の成り行きに任せて、
行動にも、言葉にも、生きるという自体にも
楽しんでいるのだろう。
それが、竜司の瞳に、まぶしく映っている。
失われた、忘れられた、かつての姿、
聖女の意図は、全くもってわからないが、
何か意味があって、この幼い、もう一人の
自分といるのだろう。
ーーったく、こんな時に、ケセラセラか...。
全く、こんなフザけた子供に諭されるとは、
思いもよらなかった竜司は、苦笑いしながら
切り替える。
「じゃあ、行くか。」
「おっ♩ヤル気になった?」
やっと、エンジンがかかってきた竜司に、
少年リュウジは、ニヤつきながら、話しかける。
「当然だ、俺の心が燃えないモノだったら、
タダじゃおかねぇぞ?」
「おぉ、ドSな魔王様のおなーりー!ヘヘェ!」
大名行列がやってきたので、正坐をして、
村人Aになりきってみているが、とても
モブキャラの枠にハマらない姿である。
「...さっさと、終わらせるぞ。」
ようやく調子が戻ってきて、
野生児のノリに流される事もなく、
歩みを進める竜司、
歩み始めた時には、竜司は変装をしていた。
黒のロングジャケットに、黒色の
ジーンズと手袋を装着し、中は、
白色のYシャツを着こなしている。
そして、少年と同じ、アイマスクをつけている。
唯一の違いは、色は白く、目元の数センチ
周りは黒く染めている。
「おぉ〜オシャな格好でかっくいい♩」
背後から、竜司の変身モードを褒めそやす、
もう一人のリュウジが追いかけてくる。
「秒殺のKOだ。」
「あいあいさー!」
まだ出会ってもまもないが、
徐々に、呼吸が合ってきた二人だ。
一言、二言、言葉を交わし、路地裏を抜け、
ターゲットのいる根城を目指していくのであった。