表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
131/370

かいぶつVol:10



今の竜司は、とても滑稽な姿である。



顔以外は、砂に埋められており、

しかも、股間付近には、男性器を象徴する

モッコリが、そびえ立っているではないか。



これが、湘南の様な人気の海岸スポットであれば、

人が通り過ぎる度に、クスクス笑いが起きたであろう。



挙げ句の果てには、SNSにアップされ、

とんだ晒し者にされた結果、バズってしまって

デジタルタトゥーという、



一生モノの辱めを受けていたかもしれない。



だが、幸か不幸か、海岸には二人以外、誰もいない。



知っているのは、目の前にいる、

イタズラの張本人である少年だけである。



「ベタな作りをするんじゃぁない!」



追加のツッコミを入れながら、飛び上がる様に、

竜司は、砂から脱出した。



「待ちくたびれたし、ヒマだったからやっちゃった♩」



悪びれる様子もなく、犯行をあっさりと、

少年リュウジは、自白した。



むしろ、自分を待たせた竜司が悪いと言わんばかりに、

あっけらかんとした態度であった。



その余りにも、淀みのない、素直な物言いに、

竜司は、すっかりと毒気を抜かれてしまった。



「はぁ...そこまで素直に言われちゃ、何も言う気が起きないわ...。」



まるで、集合時間に遅れた友人が、

「悪い!寝坊した!」と、言い訳もせず、

清々しい程、正直に罪を認める事で、

相手のこれ以上の追及をさせない、



むしろ、その潔さに感服して、許してしまう程に、

この少年は、自らの過ちをプラスに変える処世術を

ナチュラルにできる、末恐ろしい子供である。



ーー俺ってこんな子だったけ?



竜司は、目の前にいる自由奔放な少年が、

とても昔の自分とは思えない様に感じた。



正確に言えば、荒んだ家庭環境に育っていた為、

幼少期の思い出は、記憶の彼方にある。



だから、どういう子供だったのか、思い出せていない。



いずれ、思い出す機会が訪れるが、

今の竜司には、目の前にいるファンキーキッドは、

外国人と話している気分である。



「まぁねー♩」



少年は、ケラケラと笑っている。



そして、次には、もう別の方に興味が移っていた。



「さっ!行こうか!」



「えっ?どこに?」



これからゲームが始まるワクワク感と共に、

右手で人差し指を立てながら挙げて、

冒険に出発するモードのリトルリュウジ、



かたや、アダルトリュウジはいまいち、

そのノリがわからず、急な切り替えに

困惑した顔で、眉をひそめている。



ーーいや、バスケットボールの試合じゃないんだから...。



ツンツン頭の天才プレーヤーの様な

キメ台詞へのツッコミは忘れていない。



「決まってるじゃーん!」



一体、何を言っているのだと言わんばかりに

笑い飛ばす、少年は、平然と言ってのける。



「ターゲットの居・場・所♩」



「これから大切なお宝を頂戴する、怪盗団が参上なのだ!」



少年がそう宣誓した瞬間、周りの景色が一変した。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ