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かいぶつVol:2



竜司の耳に、声が届いた直後、



口から火を吹き出す様に、叫ぶとともに、

まぶたの裏から閃光が走り出す様に、目を見開いた。



原因は、肛門に経験した事のない痛み、



それが瞬時に脳へと伝達され、全身へと伝わった。



彼の人生史上、一番の声量で、その悲鳴は

公園中に響き渡り、木にとまっていた鳥達が、

一斉に、飛び出す程だった。



「おぉぉぉぉ...。」



経験した事のないお尻の痛みに、

竜司は、両手で、肛門を押さえて

地面に疼くまる。



完全に油断していた為、フイを突かれた一撃は、

芯を捉えたかの様に、効果テキメンだった。



「アハハハ♪」



そばでは、竜司のお尻に襲撃をした犯人と思しき声が、

軽やかに笑っている。



「どう?ビックリした?」



少年は、笑いながら、聞くまでもない質問を尋ねる。



竜司にとっては、ビックリ所ではないのだが、

この言葉に、悪意はない。



ただ純粋に、竜司の反応が面白くて、

少年のイタズラに対する感想を聞きたいのだ。



「だ...誰だよ...。」



言葉を絞り出す様に、竜司は、反応したが、

まだ、犯人の正体を確かめる余裕がなく、

顔は俯いたままだ。



「もう、前に会ったでしょ?」



「あっ、会ってはいないけど、会ったでしょ?」



ーー意味がわからん...。



トンチの効いた噺を聞かされて、若干、

イラついた竜司ではあったが、

この声には、聞き覚えがあった。



ーーどこかで、聞いたことが...?



「あっ!?」



「思い出した?」



顔を見なくても、ニタニタと笑いながら

聞いてきているのは、容易に想像がつく声で

竜司は、憎たらしさを覚えたが、思い出した。



ーーあの時の...!



松田峰香の夢の中で、探索している時、

そして、逃走中、最上階に着いた時、



彼の脳内に、直接語りかけて案内する声が聞こえた。



まだ幼く、声変わりもしていないが、

羽が生えた様な軽く、言葉は明るく、

テンポ感のある声が印象的であった。



いざ、実際に、聞いてみるとより鮮明で、

淀みのない、透き通った声をしていた。



痛みも引いてきて、ようやく、竜司は、顔を上げた。



そして、その少年は、目の前にいた。



おかっぱの髪型ではあるが、

毛先から5cmの部分だけ、所々、

まっさらな白色のカラーで染まっている。



枝の様に分かれており、後ろの髪は、肩上まで伸びていた。



童顔で、目は球体の様に丸く、シャープな顔立ち、



半袖のパーカー、半ズボン、

色は、淡い青色で統一されている。



白色の長いソックスと黒色のシューズを履いている。



今から、遊びにでも出かける様な服装だ。



身長は、およそ140cmの小さな少年だ。



推定、10歳前後といった所であろうか。



竜司は、古い記憶まで遡ってみるが、

この特徴的な子供と出会った覚えがない。



だが、竜司は、直感的に、確信した。



出会ってはいない。



だが、彼自身の身には覚えている。



外見は、全く違うが、竜司は、

この少年を間違いなく、知っている。



「君は...」



確かめる様に、言葉を発する竜司よりも先に、

少年が、答えを告げた。



「そう!ぼくは、キミ!」



「キミの小さいときのボクだよ!」



「よろしくね!」



少年は、ハキハキとした声で、答えに辿り着いた

竜司を迎える様に、飛びついた。




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