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魔女の呻きVol:18



「ハァ...ハァ...」



先程のダメージに加え、追われるプレッシャーから、

キリアンは、肩で息をしている状態だ。



なんとか、身体を振り絞りながら、廊下を歩いていく。



「...!」



前方から足音が聞こえてくる。



ちょうど、このフロアは、先程、松田峰香と

出会ったパーティー会場だ。



キリアンは、急ぎ会場に忍び込み、

テーブルを敷きしめている布下に隠れ、

息を潜める。



ーーカツ...カツ...。



一歩、一歩、こちらに向かう、足音が聞こえてくる。



そっと、顔の一部を出すと、およそ10m先に、

先程のエージェントの部下らしき、人物がいる。



姿形はそっくりだが、髪型がドレッドヘアで、特徴的だ。



体格と相まって、威圧感を放っている。



パワー勝負では、到底勝ち目がない。



ーーここは隠密に...。



幸い、夢の崩壊と共に、建物自体が停電状態で、

全体的に薄暗く、索敵されづらい。



キリアンは、隠れてやり過ごす事にした。



「監視カメラで、この会場に侵入したのを確認した。」



「これより、捜索する。」



片耳につけられた無線でのやり取りからして、

どうやら、こちらの行動は把握済みな様だ。



監視室も今頃、全員が同じ黒の制服で、

サングラスをかけた奴らの装いになっているだろう。



ーードクン...。



キリアンの心臓の鼓動が、一段上がる。



情けも容赦もない、ターゲットの命がある限り、

地の果てまで追いかけてくる、殺し屋が相手だ。



松田峰香の夢では、竜司は、不純物でありウイルスだ。



排除するのは当然なのだが、ここまで

冷徹に、相手を抹殺にくる経験は、

もちろん、彼にはない。



全身がガチガチで、恐怖に堪えるのがやっとだ。



ーーカラン!



建物の崩壊の影響で、落下した破片が

キリアンが潜んでいる近くのテーブルにある

皿やグラスに当たり、落ちた。



「...ッ!」



キリアンは、思わず、叫びそうになるのを堪えた。



見えなくても、エージェントの注意が、

こちらに向いているのを、肌で感じている。



ーーパン!パン!パン!パン!パン!



試し撃ち感覚で、各テーブルを撃ち抜いていく。



幸い、キリアンの隠れているテーブル席では、

落下石で、彼を凶弾から守る形となった。



「...ッ!」



ここは、耐え忍ぶしかない。



キリアンは、この地獄の様な時を

過ぎ去っていくのを待っている。



ただ、黙って見過ごしている訳ではない。



いつでも反撃ができる様に、銃を構えている。



その手は震えているが、勝負所である事を

キリアンは、本能的に理解していた。



ーーコキ。



軽く、首を鳴らす音が聞こえる。



手応えがなかったのだろう。



「ターゲットが見つからない。」



「一人では、捜索が困難な広さだ。」



「応援の人数を...。」



ーーパァン!



連絡しているエージェント・ジョージ(勝手に命名)の

スキを突いて、キリアンが、反撃に出た。



銃を持っている手を撃ち抜いた。



ジョージが、弾かれた反動の痛みで手を押さえ、

キリアンの存在に気づいた時には、すでに遅かった。



ーーパン!パン!



ゴム弾で、致命傷までは負わせないが、

行動の自由を奪うには、十分な威力だ。



右足、左足を狙い、足元を崩す。



ーーパン!



そして、最後に、額を狙い撃ち、倒した。



エージェントの意識が失っているのを確認すると、

キリアンは、一度、深呼吸をした。



「フゥ...。」



無事に生還し、プレッシャーが和らいで、安堵する。



「今のうちに...!」



そして、増援が来る前に、急ぎ、会場を後にした。



出口は、予め、聖女から松田峰香の情報を

インストールする際に、インプット済みだ。



目指すは、最上階。



隠れている間に、休息を十分にとった

キリアンは、駆け出していく。



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