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魔女の呻きVol:17



ーーコッチだよ!



「誰だっ!?」



キリアンの脳に、直接話しかけてくる声がした。



周りには、誰もいない。



ーーバッキ!ボコッ!



ドアは半壊状態、どうやら、相手はこちらの姿を

確認した様だった。



ーーパン!パン!パン!



銃を連射し始め、手当たり次第、撃ち始めた。



花瓶は割れ、壁も弾痕で傷つき、

瞬く間に、戦場と化していった。



キリアンは、その場で身体を伏せて、弾丸の嵐を避ける。



ーーこっち!こっち!



また、彼の脳内から声が木霊する。



『こっち』という声の方向へ視線を向くと、

そこには、窓があった。



すでに、拳銃の弾が命中して割れており、

あたりは、ガラス片で散らばっていた。



「こっちって、まさか...。」



そうは言ってられないのも理解し、

キリアンは、他に手段はないと割り切って、

急ぎ、窓の方へと駆け出していく。



ーーバァン!



窓から足を跨ぎ、外に出ようとした瞬間だった。



扉が蹴り壊され、武装したシステムが入ってきた。



キリアンが、顔だけを部屋に覗かせると、『アレ』がいた。



「マジかよ...。」



スーツ姿に、黒ネクタイ、黒色のサングラス、

肌は黒く、オールバックの髪型、



今にも衣服がはち切れんばかりの、

黒人特有の筋骨隆々の肉体をした連中がいた。



「エージェント・ボブかよ!」



某映画に登場した、エージェント・スミスならぬ、

エージェント・ボブが、彼を捕捉した。



そのリーダー格が、言葉を発し始める。



「I found you Mr.Henderson.」



(見つけたぞ、ヘンダーソン君。)



「笑えねぇ、冗談言うなよぉー!!」



ニヒルな笑みを浮かべる冷徹な殺人システムが、

銃を構え、再び、撃ち始める。



キリアンは、叫びツッコミをしながら、

反射的に、顔を引っ込めた。



窓の外は、断崖絶壁さながらの垂直壁、



両足をカニの様なガニ股にしていないと

落ちそうな位、ギリギリの幅だった。



下を見ると、地上は見えない。



落ちたらひとたまりもないのは、明らかだ。



ーー下を見たらダメだ...。



高所恐怖症で、視線を下に落とせば、

足がすくんで動けないので、キリアンは、

目線を、前だけにして、隣の非常階段を目指す。



ジリジリと近づきながら、手前およそ3m、



その時、後ろで、エージェントが窓から顔を覗かせた。



次の展開は、明白だ。



懐から拳銃が取り出されるのが、

スロー映像の様にゆっくりと、

キリアンの目に映っていた。



ーーヤッ...バ!



躊躇っている暇は、ない。



銃で撃たれるよりも先に、キリアンは飛ぶ事を選んだ。



弾丸は、キリアンのわずか数センチ横を通り過ぎる。



彼の手は、なんとか非常階段の鉄棒を掴んだ。



数メートルずり落ちても、その手は離れない。



「あ...あっぶねぇ...。」



キリアンの額からは、大量の汗が流れ出している。



緊迫したシーンを一つ乗り越えた。



ーーカァン!カン!



ホッとした刹那、弾丸が非常階段にぶつかる

金属音が鳴り響き、現実に戻される。



窓からエージェント達が、こちらに向かって

撃ってきている。



ピンチな状況なのは、変わらない。



ーーあそこだよ!



また、キリアンの頭に声が響く。



目の前に、窓ガラスがある。



「ハハッ...ハリウッドかよ...。」



笑うしかないが、贅沢も言っていられない。



ーーガッシャーン!!!



キリアンは、全力で飛び、全身で

思いっ切り、窓ガラスをぶち破り、

廊下へと転がり込んだ。



「ぃ...イテェ...。」



あまりの衝撃の痛みに、キリアンはうずくまった。



だが、おちおちしていられない。



キリアンは、よろめきながら、起き上がり、

出口へと向かい始めた。



「ヤツは、下に逃げた。追って、始末しろ。」



ターゲットの姿を見失ったエージェント・ボブが

冷静に指示を出す。



夢の脱出劇が始まった。



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