表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼女は悪役令嬢であって探偵ではない  作者: 霞合 りの
case11.追求される助手見習いと提案する悪役令嬢
94/157

11-5.なんなの? 探偵なの?

クロエは首を傾げた。


「言った……? かもしれないけど……」

「ルーカスは一字一句覚えてたよ。嬉しかったんだろうね。想像に難くない」

「そんなの……」

「それだけでもね、ルーカスには充分だったんだ。五年の隔たりを一気に戻したのは君だよ、クロエ」


ベンジャミンは微笑むと、クロエに頷いた。クロエの気持ちなんて、とっくにわかってるんだろう。なんでもかんでもバレてしまうのは、クロエが単純なせいなのか、ベンジャミンが賢いからなのか。きっとどちらもだ。


「確認はしていないけど、ルーカスはこう考えたんだと思うよ。周遊している間は、国の影響からは逃れられる。その間、ルーカスはクロエを独り占めできて、クロエは自分の趣味に没頭できる。その間に、クロエが、ルーカスと結婚すれば、自分のしたいことができると伝えたかった。でもルール違反はしたくなかった。君の気持ちを無理に動かしたくはなかったんだ。でもこのまま戻ったら、王宮から手紙が来るわけだから、ちょっとばかり焦って、急いだんだろう。結果、俺がしたんだけど、こうしてバレて、いい方向に転がったと思うけどね。どう、違うか?」

「……ベンジーはなんなの? 探偵なの? 心理学者なの?」


情けない声のルーカスに、ベンジャミンが笑った。


「クロエを前にすると、尊敬すべき”欠点なき男”も形無しだ。ルーカスには愛すべき欠点がある。クロエに対してだけは、冷静になれないんだよ。だから、許してやって。クロエを助けたいと思ったら、プロポーズして探偵にならないかなんて、ちょっと斜め上だろう? それと同じだ。君に風邪を引かせてしまったのが辛かったから、慌てて愚行に出てしまったけど、反省してるんだ」


ベンジャミンはいい友達だ。本当に。こんなに一生懸命ルーカスの擁護をしてくれる。なんでも知っていて、なんでも相談しあえる、利害のない親友。羨ましいことだ。


クロエはため息をついて頬を膨らませた。


「それがバカだっていうの。少しくらい私に頼ってくれたっていいのに」


しょんぼりしていたルーカスが、ふと顔を上げた。


「まさか……クロエ、……拗ねてる?」

「違うわよ」

「嘘だ。クロエ、もしかして、僕が何も言わなかったから……寂しかった?」

「……違う」


二度も否定したのにもかかわらず、ルーカスはクロエの顔を覗き込んだ。クロエは自分がどんな顔をしているかわからなかった。だが、ルーカスの満面の笑顔を見るに、怒っているわけではないのだろう。


「クロエが怒ってる本当の理由がわかった。僕のこと、心配してくれてるんだ。そうだろう? こんなことを計画して、勝手に実行したこと。君だけが気付かないなら、僕だけが断罪されればいいって、僕が思っていたことが、嫌なんだ?」

「そりゃ……そうでしょ。だって私、婚約してるのよ? それなりに環境に慣れようとしてたのに、無駄になるかもしれないなんて、ひどいじゃない」

「王太子妃になるなら、無駄にはならないよ」

「そうじゃないわ! 婚約したなら結婚するはずなのに、しない前提なんて、おかしいでしょってこと。ルーと結婚するつもりになってた私は何だったのって話よ」


すると、ルーカスは目を丸くした。


「僕と結婚するつもりだったのかい? 本当に?」

「そうじゃなければ、私、何しに来たのよ?」

「でも、……解消してくれって、いつだっていいって、……一人で生きていけるって言ってたし……」

「当たり前でしょう! あなたの気が変わればおしまいなんだから。あんな思いつき、すぐに飽きると思うのは当然だわ。私なんてすぐに飽きられると思ってたし」

「飽きないよ?」


すぐに混ぜっ返してくるのは余裕からか。クロエはムッとして言い返した。


「そうみたいね、残念ながら!」

「クロエ、顔が真っ赤だ」

「あああ……」


クロエが頭を抱えると、ルーカスはクロエの頭を優しく撫でた。


「可愛いな」

「やめて」


本当に。


クロエが身もだえしていると、ルーカスがふと呟いた。


「本当に……僕は、どこで間違えたんだろうか」

「何が?」

「植物しか好きじゃないことくらい、知っていたのにな。話し辛くなって、距離が開いてしまったら、とたんに分からなくなってしまった」

「それは……私も同じよ。勝手にルーカスに怒っていたんだもの。面倒くさがり屋の苦労知らずで、関わると碌なことがないって」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ