表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼女は悪役令嬢であって探偵ではない  作者: 霞合 りの
case06.探偵ではない探偵と助手にしてもらえない助手
48/157

6-5.心当たり

「まぁ。そのようなことをお考えで? 今日のエマ様との会食で、そういったことはすべて解消されたと思ったのですが……」

「そうでしょうか? 私が本当に、意地悪もせず嘘もつかないと?」

「わかりません。ですが、ルーカス様は嘘のつけない方ですわ。その方が、ご自身の婚約者について、あれほど愛情込めて熱弁し、解決能力はピカイチだとおっしゃったのですから、その可能性に賭けたいのですの」


あの男の探偵愛はどうにかならないのか。


クロエはうんざりしてルーカスに目を向けたが、ルーカスは照れ臭そうに笑っただけだった。


何を恥じらってるんだろう……そんな場合?


「僕はクロエの助手だからね。クロエが事件に滞りなく向き合えるよう」

「あ、そういうの、いいから。ルーカスは助手じゃないし、私は推理なんて……」


言いかけて思わずローゼを見た。ニコニコとしているが、クロエが推理なんてできないと言ったら、自分の家の恥をクロエなどに教えてしまったことを、ひどく後悔することだろう。


クロエは怖くなってきた。


つまり、ローゼが言うことは、『ルーカスが言う通りに解決できなかったら、クロエの評判どころかルーカスの評判も落ちる』ということだ。それは結果的に、この周遊の失敗を意味する。そして、ルーカスは後ろ指を指され、クロエはさらに評判を落とす。それどころか、ウェントワース侯爵家の評判が下がってしまう。それはつまり、我が国の評判も下がることになる。


……嫡男ルーカスの評判は高くないとならない。なぜなら、能力はハイスペックにもかかわらず、中身、もとい性格が自己中のボンクラ(推定)だからだ。


どうにかしなければ。


「わかりました。それでは、改めまして、質問させてください」


クロエは覚悟を決めてローゼを見た。ローゼはしっかりと頷き、クロエを見た。


「はい。さすがですわ。私の覚悟をお確かめになっていたのですね」

「ん? え、……えぇ、まぁ、……」


ちょっと違うけど、まぁいいか。クロエは空咳をして、話を続けた。


「えぇと、ローゼ様は、ご兄弟やご親戚が最近いらしたことは? お子様はいらっしゃるのですか?」

「義母が一緒に住んでおります。親族は……ここのところ会っておりませんわね。子供は、息子と娘が一人ずつおりますわ。息子は今は留学しておりまして、娘は婚約者の家で花嫁修行です。ちょうどクロエ様と同じですわね」


違うと思う、と言いたかったが、クロエはニコニコと話を促した。


「ありがとうございます。では、普段は何をしてらっしゃるのでしょうか?」

「普段は、夫は事業ですが、それとは別に、先程お話しした通り、国立の植物研究所の支援をしております。研究内容の確認や論文の選定、研究環境の改善を主にしておりますの。家の事業は花瓶などの陶器の製作と販売なので、やや切り花寄りですが、基本的には全てを確認しておりますわ」

「そうなのですね」

「ですから、うちには商談で色々な方がやってまいりますの。上品な使用人だけではやっていけませんので、用心棒を兼ねることもあったりして……それがみんなの不和の原因なのでしょうか?」


クロエはふと思い当たることがあったが、すぐには言わず、まず確認を進めた。


「うーん……違うと思います。花瓶の製作をなさっていて切り花に関心がおありだそうですが、家の花はどのように活けてらっしゃるのですか? 毎日業者が来る、というわけでもありませんよね」


クロエが言うと、ローゼは思い出すように頷きながら、はっきりと答えた。


「えぇ。業者に頼むのは、大掛かりなお茶会やパーティーだけで、いつもは使用人に任せています。庭師が選んだ花以外に、時折、市場で新しい花を買ってきてもらったりします。そのせいか、メイドたちも花の種類をよく覚えて、楽しそうですわ」

「なるほど……」


クロエは頷いて、思い至った結論に躊躇した。


花をよく知っているようなのに、気づかないことってあるかしら。


でも、専門家ではないのだし、研究を支援していると言っても、すべての植物を網羅しているわけではない。そもそも、切り花に適した植物は限られている。新しい植物は好きでも、見た目や香りなどの方が重要で、性質や植生などは、そこまで知らないのかもしれない。


「では、違法な植物を買うような場面はないということですのね」


クロエが言うと、ローゼは驚いた顔をした。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ