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彼女は悪役令嬢であって探偵ではない  作者: 霞合 りの
case06.探偵ではない探偵と助手にしてもらえない助手
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6-4.部屋での質問

「えぇ、そうなんです。トラブルは、些細なことから、犯罪まで。盗みがあった時は驚きましたわ。宝石箱も衣装箱も、どれも、しっかりチェックされ、無造作に置いてあることはありません。誰でも開くことなどできないんです」

「侵入者の可能性もなし、と……クロエ、どう思う?」

「どう……って……」


クロエはルーカスの振りに戸惑った。


話の内容は、当然、フィンケ家でのトラブル頻発事件だ。ある時から、トラブルによる諍いが絶えず、今ではみんな、お互いに疑心暗鬼になって、暗い雰囲気だそうだ。


クロエは早くもローゼの話に頭を悩ませていた。


実際にローゼとの会話を進めていたのはルーカスだったが、非常にやりづらい。ベルトルトは口を挟まない様子で黙って腕を組んでいるし、ルーカスはまるで探偵のように丁寧に聞き込んでいる。


もうルーカスでいいよね? そうよ、探偵はルーカスで……はダメらしい。


クロエがルーカスに視線を移すと、彼はにっこりと微笑んだ。とにかく何か話さなければ。


「えぇと……何か、心当たりはないのでしょうか? 待遇が悪いわけではないとおっしゃっていましたが、金品の問題ではなく、設備の問題かもしれません。それを主人に言えなかったり、メイド長に止められていたり、そういったこともあります。何か、心当たりはありませんか?」


クロエはドキドキしながら尋ねた。だが、ローゼは首を傾げただけだった。


「心当たりと言いますか……急に事業がうまくいって、屋敷を広くしたり使用人を増やしたのが原因かもしれません。だとしたら、精査できずに、そういう人も雇ってしまったのは私たちの問題です。その者たちに罪をなすりつけようとする使用人も出てくるかもしれません。ですから、疑うのも慎重にしなければなりません。安易に伝えたらみなさん、さらに疑心暗鬼になってしまうし、証拠が必要なんです」

「あぁ、間違えた時のことも考えねばなりませんし、逆恨みされたら困りますからね」

「そうなんです……」


ローゼが深くため息をつく。身内を疑うことも、かなりストレスになるのはよくわかる。ローゼはことさら責任を感じているようで、そのため息に憂いが見て取れた。それに雇った自分たちの責任が問われるものだ。原因がわかったとしても、それですっきり解決、とは言えないだろう。


「お心の優しい方ですのに、責任感があって、素晴らしいことですわ。うやむやになさらず、ご自分たちで突き止めようとなさって」


クロエが言うと、ローゼは頭を横に振った。


「そんなことはありませんわ。勇気がないだけなのです。盗みに至っては、警察に相談もできず……保身の気持ちもあるのでしょう。噂になりますから。ただ、たった一人か二人の悪心のあるもののために、善人たちが疑われるのも嫌なのです。警察は、使用人たちにはつらくあたりますし。ですが、盗むのも盗まれるのも、いいことではありません。決して許してはならないこと。私たちは毅然とした態度で立ち向かわなければ……」


クロエはローゼに好感を持ち始めていた。先ほどは、明るくノリがいいだけに見えたのだが、それも、不安を抑えてはしゃいでいたに過ぎないのだろう。本来は、このように、思慮深く、正義感の強い方なのだ。おそらく、ベルトルトもそんな夫人を信頼して、自分の気持ちを抑えて解決したいと思っている。


それなのに、悪い噂ばかりのクロエに解決を頼もうと思うなんて不思議だ。


評判の良いルーカスのおかげだろうか? エマが事前に話していたのだろうか? それとも、噂を知らないのだろうか? 知らないはずはないのに……それほど困っていたということなのか、あるいは。


「そんな中、私などに話を聞かせてしまって良いのですか? 確かに、ルーカス様は身分も立場もしっかりし、秘密も守るでしょう。ですが、私は評判も良くありませんし、自国では悪役令嬢とも言われ、ルーカス様にふさわしいとは思われておりません。自分でも思いませんし。そのような私が、ローゼ様の秘密を知ってしまってもよろしいと、本当にお思いですか?」


クロエが質問すると、ローゼは驚いたように目を見開いた。





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