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25.小話「酒場にて」(改)

「あーあ。今日も役人のしつこい取り調べに参ったぜ。……リュドミラの店で一杯やるか。ってか、早く帰りてー」


 いきなりのアドリブに、リュドミラは台詞が飛びそうになった。


「あ、あ、あら、スライムのスーさん」


「よっ。十日ぶりだな」


 アドリブの応酬に目が回る。


「……スーさんが、ススーッとやってきて、スーッスーッと通り過ぎていく」


「俺は違うぜ。そいつは、職もなく金もなくボロを纏って路頭に迷っている国民を、貧弱な馬に引かせたご大層な馬車から見下ろす貴族どもだぜ。着ている服がケバケバしくて、裸の猿のディミトリの方がまだましだぜ」


 露骨な貴族批判に驚いたリュドミラが目だけ動かして周囲を見ると、全員が敵意を露わにしていた。


「いつもの奴をくれ」


 突然、スライムの台詞が飛ぶので、リュドミラは面食らった。


「……い、いつものですね。は、はい、これ」


「おい! 国王名義で偽の署名がある強制労働の召集令状じゃねえか! ん? 違うか、重税の取り立て書かよ。役人の搾取ってーのは相当えげつないぜ。これ、本当に国庫に入るのか? かすめ取って私腹を肥やしてんじゃねーのか?」

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