閑話
「……数値はどうだ」
「異常なし、被検体R17518は完全に回収されたと判断します」
「そうか、存外つまらない結末だったな」
「それでどうします? これ、経緯がばれたら大事ですよ? 」
「そのための身代わりを何人用意したと思っている、実験と称した拷問を繰り返した連中に責任を擦り付けて、僕らは実績を盾に監視付きの研究継続で済むだろう」
「でしょうね、そのために被検体とも親身に接してきましたからね」
「そうだ、わかったらとっとと報告書を作り給え」
「了解しま……これは……? 」
「どうした」
「窯の内部で数値が……現在も上昇中……」
「なに? 」
「個体識別コード、R17518と合致、奴は……まだ生きている? 」
「……なるほど、まだまだ私を楽しませてくれるようだな」
「ドクター! このままでは何が起こるかわかりません! 避難を! 」
「馬鹿を言ってはいかんよ、こんなに楽しいイベントを見逃すことなどできるはずが無かろう。さぁ、何が起こる。何を見せてくれるローリー・グリム! 」




