表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/40

プロローグ

 僕の最初の記憶、それは沢山の人間が僕を見ている風景だった。

 触覚を刺激しない気体のような液体、時折浮かび上がる気泡、見えない壁、それらを通して僕を見ている人間と僕は同じ形をしている。

 そう気が付くまでにしばらくの時間を要した。

 人間は互いの肩をたたき合ったり、口の端を上げていたり、目から水を流していたりと様々な様子を見せていた。

 後に、それが喜びという感情であると知った。


 知ること、それが僕に与えられた使命であり存在理由だと理解したのは自分の形を把握するよりも早かった。


「誕生日おめでとう、R17518」


 一人の人間が僕に向かってそういった。

 僕は、その言葉の意味が理解できなかった。

 言葉を理解しているのに意味が理解できない、何かが体の中でうごめくような錯覚に襲われ身体に触れる。

 その時、ようやく自分が目の前の人間と同じ形状をしていると気が付いた。

 正確にいえば小柄なことなども含め細部に違いがあったが些細な事だ。


「ふむ、言葉が理解できない……いや、意味を知らないというべきか……ホムンクルスと同時に新たな問題も生まれてしまったというわけか」


 その人間は何かを呟きながら他の人間に向けて言葉を発した。


「諸君、我々は今時代を動かした。だがこれは始まりに過ぎない、休む暇などないと思うように! 」


 その言葉を聞いた人間たちは慌ただしく動き始め、その言葉を発した人間は僕に向かって再度言葉を発した。


「この世に神はいない……」


 酷く歪んだ顔だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ