2/43
思い出の、かけらの中で
その日、私は新しい弟に出逢いました。
魂のない抜けがらのような私の前には、黒髪の幼子が1人。
まだ2歳だったその子は、よちよち歩きでゆっくりと私に近づいてきました。
あどけない瞳を、無邪気な好奇心で揺らしながら。
ほどなく私にたどりついた彼は、倒れかかるように私に抱きつきました。
そして肩にとどく程度だった私の髪を、ぺたぺたとさわりました。
あどけない顔を、無邪気な笑みで輝かせながら。
トクン……
のちに彼は、私の髪を太陽のように綺麗だと言ってくれました。
でも私にとっては、彼の笑顔こそが太陽でした。
暗闇に沈む私の心を照らしてくれた、まばゆいばかりの太陽でした。
トクン……トクン……トクン………
気がつくと、
抜けがらだったはずの私は、かすかな胸の高鳴りを感じながら考えていました。
私が髪をのばせば、
この髪がもっといっぱいになれば、
この子ももっといっぱいの笑顔で、私を照らしてくれるのかな、と………
その日、私は新しい、そして世界で一番まぶしい弟と出逢いました。




