思い出の、ガレキの中で
あの日、僕は〝太陽〟を手に入れた。
人生の、最初の記憶は何だろう。
人生で、最初に話した言葉は何だろう。
そう聞かれて答えられる人は、どれほどいるだろう。
でも、僕は覚えている。
最初の記憶は、まぶしい白金色の髪だった。
最初の言葉は、〝おねえちゃん〟だった。
それが、僕の人生を変えてくれた。
僕の本質は、ろくでもないものだと自覚している。
あらゆるものを、奪い、壊し、支配する、そんな底なしの〝闇〟だ。
その本質のまま成長していたら、とんでもない人間になっていただろう。
でも、まぶしい〝太陽〟が〝闇〟を追い払ってくれた。
今も、僕のそばで〝闇〟を追い払ってくれている。
いつも、僕のそばにいてくれている。
出逢って以来、僕と〝おねえちゃん〟はいつも一緒にいた。
一緒にご飯を食べて、
一緒にお風呂に入って、
一緒に布団で眠っていた。
時には、
光の剣と光のツブに満たされる、天国のような空間で、
普通の人は一瞬で死んでしまう、地獄のような状況で、
心ゆくまで、手合わせをしてきた。
〝おねえちゃん〟は世界でも数少ない、僕が全力で戦えるヒトだった。
それも、僕にとっての幸せだった。
だから、幼い僕は思った。
『おねえちゃんは、ぼくがまもる』
その思いは、今も僕の胸にある。
幼いころより、ずっと強く、はるかに大きくなって。
そのためなら、あらゆるものを奪い、壊し、支配してもいいと思うほどに。
――あるいは、僕はとっくに〝闇〟に喰い潰されていたのかもしれない。
〝太陽〟がまぶしいほど、〝闇〟は濃くなるのだから。
〝太陽〟と〝闇〟は、一緒に大きくなるのだから。
〝太陽〟と〝闇〟は、いつも一緒なのだから。
あの日、初めてまぶしい髪に触れて、
あの日、初めてまぶしい笑顔に照らされて、
あの日、僕はまぶしい〝太陽〟を手に入れた。
一緒に、
無限の〝闇〟も、手に入れたのかもしれない………