Prologue
青春ーーー!
確か、最初に死んだのは木下だった気がする。そこは曖昧だ。
首がなくなった死体なんて、誰のかなんて分かるか?
*
「告白、いつするの?」授業が終わると、いつものことながら、木下が話しかけてきた。太ってるが、いいやつだ。
「は? お前何言ってーー」
「いやいや、言ってたじゃん?」後ろから抱きついてきたのは悠馬だ。中1のときからの友達だが、これでいて少ししつこい。
「まあ、中間後くらい?」はにかんで答えると、悠馬が「は!?」と大きい声を出した。教室中の視線が向けられる。もちろん、木村結衣も例外ではない。
彼女は真っ黒なショートカットに、大きい目、背は少し小さめ、勉強ははっきり言って、できないほうだ。背が小さくて、会うサイズがないのか、制服のセーターの袖が指までかかっていた。
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「中間後ったら、2週間も先じゃんかよ」悠馬は目頭を手で押さえた。本当に落胆しているようすだ。
「まあ、今中間2週間前だし、時期じゃないっていうか?」椅子を後ろにひいて、悠馬に答える。
「いや、こういう時期だからこそだよ、『結衣さん、一緒に勉強しませんか?』って誘えば?」と笑いながら木下。
「そうだよ。俺の内なる本能が、そう告げてんだよ」悠馬は自信たっぷりだが、悠馬自信、美術部の内気な女子と付き合ってる。ただ、この彼女がまた、太っていて、陰気な女子だ。
人の趣味はわからない。
「でも、お前だってーー」言いかけてやめた。僕の隣の通路を、木村結衣が通りかかったからだ。横目で彼女を追っていると、悠馬にはやしたてられた。「次の授業あるから」そう言って立ち上がったが、やはり彼女の横を通るとき、意識せずにはいられなかった。
*
4時間目のチャイムがなり、同時に先生が入ってきた。
いつも授業は真面目に聞くほうだが、なぜかその時はまったく頭に入ってこなかった。だから、木村結衣について考える時間はたっぷりあった。
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以下、頭の中の「俺サミット」から引用。
自信 「大丈夫でしょ。なんとかなるって!」
心配 「でも、もし嫌われたら? 2度と目を合わせられなくなったら?」
恋心 「でも、僕は木村さんが好きなんだ。それの何が悪い?」
冷静 「でも、悠馬を見ろよ。彼女できてあんなに苦しんでるだろ?」
恋心 「いや、木村さんはそんな人じゃないって」
協調性 「うん、うん、よく分かるわ」
性欲 「でも、木村さん、ペチャパイじゃない?」
恋心 「僕は今日、告白してやる」
バカ 「どうせ日本は核戦争が起きて消滅するんだ。無駄だ無駄!」
冷静 「今日告白? 正気じゃない!」
恋心 「今日なら、できる気がするんだ」
採決 賛成 5票
反対 1票
国外逃亡 1票
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告白することを言ったら。
「えっ、今日?」悠馬の声はいつになく静かだ。
「は?」木下は2秒フリーズしてから、「え、待って待って、今日? 嘘、待って。は? え?」
*
放課後、木村結衣を呼び出した。部活があったみたいだけど、無理に頼み込んで。
明日にでも次話投稿します!
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