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婚約破棄物・息抜き系

婚約破棄?ええ、どうぞどうぞ。

ちょっと掘り起こしたつたない作品。

けれども、楽しめるかもしれないのでどうぞご覧ください。

「ルーバスト・フォン・ヴィーラ公爵令嬢!!貴様の暴虐無人な非道は既にこの耳に入っている!!よってこの場を持ってこのわたしデロンギ・フォン・バーズナッタ次期王太子(・・・・・)との婚約を破棄し、王太子命令として国外追放を命じる!!」



・・・・・バーズナッタ王国の、学園の卒業式会場で堂々となされた宣言。


 あまりにも突然な宣言に、周囲は静まり返った。




 そして、皆が次に目を向けたのは、婚約破棄を言い渡されたルーバスト令嬢であったが、彼女は扇を取り出し、口もとを隠していたのだが、何処か笑っているように見えた。


「あら、殿下がそうおっしゃいますなら受け入れますわよ」

「そうだろう、受け入られないからって・・・・・え?」


 こうもあっさり受け入れられるとは思っていなかったらしいデロンギは、ルーバスト令嬢の言葉に驚愕した。


―――――――――――――――――




「…‥‥ふふふふふ、こうもうまい事行くなんて思っていなかったわね」


 追放用の馬車におとなしく乗り、国境付近の森に卸されたルーバストはニヤリと笑みを浮かべていた。


「どうせ、あの国はもう長くもないですからね」



 そう、私ルーバストは分かっていた。


 あのバーズナッタ王国がこの先滅亡することは、教えてもらっていたのだ。



「おいおい、まさか本当にこうもうまく国を出られるとは思わなかったな」

「あら?あなたの発案でしょう?」


 と、ここで声がしたので彼女が振り向くと、そこには真っ黒な猫がいた。


 

「いやまぁ、本当はこの計画は我が妹が考えたやつなんだが‥‥‥あの王子ってやはりとんでもない愚者だったのかよ。うわぁ、最悪だろ」

「でも、そのあまりにも残念過ぎる頭ゆえに、こうして私は無事にこの国からでて、新た人生を歩めますもの。感謝しますわ、悪魔ゼスリア様」

「悪魔的に感謝されると微妙なところだがな・・・・・」


 そう言いながら、黒猫は人の姿を取った。


 月明りに生える銀髪で、目が赤く、顔も整っており、全体的に黒っぽい服装の人間のようにも見える。


 だが、彼の正体を示すかのように、耳が鋭くとがり、尻尾が生えていた。





――――――――――――



 事の起こりは1年ほど前である。


 この私、ルーバストがデロンギもとい屑王子の婚約者として、王妃教育をしている最中に、ひょんなことから頭を打ち、前世を思い出したのだ。


 そして、その思い出してから最悪な事に私は気が付いた。


・・・・・私、悪役令嬢じゃん。





 そう、この世界はどうやら前世遊んでいた乙女ゲームの世界に酷似しており、中でも私は最終的にギロチン送りになる悪役令嬢として登場していたのだ。


 まぁ、色々と登場者たちの性格は違っていたけどね。あの屑王子、もう少しまともだったはずなんだけどなぁ。




 そして気が付いたときにはもう遅く、当時通っていた学園内にはすでにヒロインが入学しており、様々な殿方を籠絡していたのである。


 遅かったことに、あの屑もとっくの前にヒロインにのめり込んでしまったのだ。


 ああ、これでもう少し早く気が付いていれば入学を阻止できたし、あの屑王子も軌道修正できたのかもしれないのになぁ。


 そもそも、なんで私があんな屑と婚約していたのかというと、この国の国王がお父様に土下座した事が原因である。


 あの屑、学力は下から数えたほうが早く、怠け癖アリ、うぬぼれの自信家・・・・・早い話が無能だったのである。


 第1王子ゆえに次期王にと考えていたが、余りの使えなさに国王は嘆いたのだ。


 かといって、第2王子とかがおらず、実質次期国王はその第1王子のあの屑しかなれない状況だったのだ。



 そこで、幼い時から明晰だった私に目を付けた国王は、あの王子を傀儡にしていいから何とか国がつぶれないように支えてやってくれと頼まれたのだ。






 ま、もう遅かったんだけどね。


 あの屑王子はヒロインにのめり込み、私のいうことを聞かず、もうどうすればいいのやらと途方に暮れた。


 というか、あのヒロイン確実に転生者でしょ。何やら逆ハーレムとかいうのを築き上げているね。


 というか、ヒロインの名前なんだっけ‥‥‥







 とにもかくにも、このままでは最終的にギロチン送りになることが確定。


 手っ取り早い手段としては、あの屑王子の愛を私に向けさせればよかったけど‥…おおぅ、身の毛がよだつというか、生理的に無理である。




 どうしようかと悩み続けたそんなある日、私はいつの間にかある森の中にいた。


 あれ?さっきまで王城内だったよねと思いつつ、先を進むと一軒家があった。


 看板があり、そこに書かれていたのは‥‥「解決屋」。


‥‥‥名前適当すぎない!?




 まぁ、興味を持って中に入ったところで、そこで私は今目の前にいる黒猫の姿を先ほどまで取っていた悪魔ゼスリア様にあったのである。


 最初はただの黒猫かと思いきや、話しを聞くためにお茶を出し、わざわざ人の姿になったが‥‥なんだろうこのイケメン。乙女ゲームに出た記憶がないんだが。




 とにもかくにも流れるままに、いつの間にか相談してしまっていたのである。


「なるほど‥‥‥ギロチン決定の未来か。じゃぁ、ちょっと変えてみないか?」

「え?」


 そんな軽く言われて、私は思わず声に出した。


「そ、そんなことができますの?」

「ああ、できるとも。何しろここは『解決屋』。人のお悩みだろうと、世界の危機だろうとなんでもござれ、たちどころに解決して見せるんだ!」




――――――――――――


‥‥‥そして現在、この森の前にて私は再び悪魔ゼスリア様の下にいた。


「いやまぁ、しかし本当にうまくいくとはなぁ。死刑制度廃止、重罪人は国外追放もしくは強制労働などにするように、わざわざ法律をいじくった後に、あとは冤罪なのに君がいろいろやらかしたとあの王子に吹きこんだだけで、ギロチンを免れるとはね」


 ちょっと苦笑いしつつ、面白そうに語るゼスリア様。




 何をどうしたのか、この方は国にあった死刑制度を廃止させ、強制労働か国外追放を最も重い刑に置いたのだ。


「でもって、君はあの屑王子に国外追放されたわけだが、これからが本番だ」


 そう、実はあの時点で・・・・・私の国外追放を言い渡したところで、あの屑王子は既に次期王太子の座ではなくなっている。




 冤罪の証拠は全国民にくまなく配送されており、馬鹿王子がそんなことも分からずに私を国外追放を言い渡したことは、既に広まっているのだ。


 王家の威信もなくなるだろうし、国王には悪いけど、そういう教育しかできなかった責任をきちんと取ってもらうしかあるまい。

 

 そもそもの話、あの屑王子が無能すぎたがゆえに私が婚約者としていることで王太子の話はあったのに、私を捨てたことで、完全に周囲から見限られ、誰も下にはつかない愚王になっているのだ。




「すでに動き出している貴族たちがいるようだし、見限っているのは間違いないだろうね。国民たちは逃げ出し、あの屑が王位についたときにはだれもいない空っぽの国なるだろう」


 そして、他国はその空っぽになった国をこれ幸いとばかりに侵略してくるだろうし、兵士なんかもいなくなった愚王が身を守れるはずもない。





 ふと気が付けば、何かが飛んできた。



「兄さまぁぁぁぁ!!その方の家族たちが迎えに来ましたよぉぉぉぉ!!」


 夜空を箒にまたがって飛んできたのは、この悪魔の妹である魔女のミーナらしい。


 とはいっても、本当の兄妹ではないそうだが、どちらもシスコンブラコンと言っていいだろう。



 ちなみに、この少女が今回の婚約破棄までのシナリオを描いた魔女なのだが、その清純無垢さで信じられない気持ちである。



 

 箒から彼女がおり、真っ先にゼスリア様に抱き付く。


「兄さま、真夜中だけど頑張って彼女の家族の公爵家の馬車を案内してきました。ほめてほめてぇ!!」

「ああ、偉いとも我が妹よ」


 抱き付くミーナに対して、ゼスリア様は嬉しそうにその頭をなでる。


・・・・・いや本当にね、どちらも美男美女で絵としてはかなり映えるのに、シスコン・ブラコン過ぎて残念感が漂う。


 というか、ミーナさんのスタイルが良いんですけど。年相応じゃなくて完成されているんですが。




 と、馬車の音がしてきたのでその報告を見れば、私の家である公爵家の馬車が見えてきた。


 この婚約破棄の仕掛けはもう家族には分かっており、国を見捨てるために準備をしてきたので、その迎えに来たのだろう。



 ここで寂しいけど、彼等とはお別れである。


「ありがとうございました、ゼスリア様にミーナさん。私のこの婚約破棄のために、色々と動いてくださって、感謝いたします」

「まぁいいってことだ。『解決屋』はいつでも困った人を助けるために動くからな。とはいえ、もう二度と会うことはないだろう」

「では、これで依頼完了しましたし、さっさと帰ってお菓子を食べましょう兄さま!」



 そう言いながら、彼等はまるで最初からその場にいなかったように、一瞬で消えてしまった。


 まるで、これまでの動きが自然に起きたかのように思えるけど、私は彼らのことを忘れないだろう。



「・・・・・・二度と会えないと言ってましたけど、また会えると思いたいですね」


 そうつぶやき、迎えの馬車に私は乗り込んだのであった。







 それからしばらくして、バーズナッタ王国が滅んだ噂を耳にした。


 なんでも、国民すべてが逃げ出した国を他国が攻めまくり、あの屑王子は引きずり出されて、そして奴隷に落とされたようだ。


 そのうえ、無能すぎたのか奴隷にも使えず、見世物小屋へ連行されたらしい。ヒロイン?さぁ、彼女は知らないですね。


 とにもかくにも、もうあの国には心残りはない。



 あの日、「解決屋」の悪魔と魔女の二人に出会わなければ、今のような平穏はなかっただろう。


 


 私は引っ越した他国にて、とある貴族と恋に落ち、そして結ばれた証としてお腹にいる子供を愛しく思いながらも、彼等の事を生涯忘れることはなかったのであった。


実はゼリアスとミーナって、本当は連載作品を作ろうと思った時にできたキャラだったりする。

「解決屋」というタイトルで、色々な世界や時代に出て、何かしらの困っている人の手助けをする悪魔と魔女の兄妹って感じ考えていたけど‥‥没になっていたんだよね。

余裕があれば、もしかしたら続編というか、連載版を出すかもしれません。

ここまでのご愛読、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 結局、他がいなくて即位するならやっぱり実質的に皇太子じゃないかと
[気になる点] 誤字報告 奥義→扇 受け居れられない→受け入れられない 生準無垢→清純無垢
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