表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
春夏秋冬の月  作者: myu-myu-
43/49

4-7

9月19日


3人で秋月大学に下見に行った。


大学内は丸敷大学とは比べ物にならないくらいに広かった。


幅20メートル以上はあるメインストリートが校門からまっすぐ通っており、沢山の人が往来している。そのメインストリート沿いに、すでに特設ステージが設置されていた。劇はその上で行われるらしい。


胸のあたりの高さのステージで、幅は多分15メールくらい。サイズが思ったよりも小さいなと思った。


中野は計画のすり合わせをしているらしく、自作の計画表を片手にぶつぶつ独り言をいいながら学内をうろうろしていた。


どんな内容を書いているのか覗いてみたが、字が汚くて全然わからなかった。


メインストリートですれ違う学生たちは、誰もみな品があるように見えた。やはり丸敷大学とは全然雰囲気が違う。


偶然でも愛菜ちゃんと遭遇しないかと心配だったが、こんなに沢山の人の中で遭遇するとは思えず、杞憂だったなと思った。


月兎祭当日は大混雑が予想される。中野が言うには、歩くことすらままならないほどの状況らしい。


「どうだ、実際の舞台をみて、思いっきり今までの気持ちをぶつけるイメージが出来たか?」


それとなく、中野が聞いてきた。


「まあね」


「そうか、それはよかった。お前がやっぱりできないという心配もあったんだ」


決行する、と伝えた時、中野は喜んでいた。


でも、舞台で僕がすることは、中野が求めるようなことではないんだ。


中野に相談しようかと迷っているうちに、


種田が「わりい、おれ計画に参加できないかも。用事が入った」と言った。


え、と僕と中野は種田を見る。


「お前、ここまで来ていまさら参加できないっていうのか」


驚いた声で中野がいう。


「どうしても動かせない用事が入ったんだ」


「彼女か?」


種田は答えなかった。


「ごめん、できるだけ間に合うように早く済ませていくから」


種田は申し訳なさそうに顔の前で手を合わせる。


「おいおい彼女かよ。相変わらず依存してるなあ。どれだけ大事な計画かわかってるのか」


中野が呆れたみたいに言った。


種田はただ「ごめん」としか言わない。


そして中野が、


「室さんのサークルの手伝ってくれる人は何人だ?」と僕に聞いた。


「15人くらいって聞いてるけど」


「くそ……1人でも人手が多いほうがいいんだが。また計画を練り直さないと」


中野は渋い顔でそう言っていた。中野と僕は、種田を責めることはしなかった。


種田は前、最近彼女とうまくいってなくて、色々大変な状況だと言っていた。大変という意味が僕にはわからなかったけど、色んな事情があるのだろう。種田は語ろうとしなかったし、僕もあえて聞かないようにしていた。


種田が彼女には逆らえないのだろうか。種田は恋愛にドライで、手のかかる女の子はあっさり別れそうなイメージだが、付き合っている相手には優しくするんだろうか。


中野は計画の練り直しに夢中で、種田の彼女との事情には興味がなさそうだった。そのせいで僕の方も種田に事情をきく雰囲気にならなくて、今回も種田の事情を聞かないことにした。


後日、中野がPCで綺麗に作り直した確定版の計画表を、室さんに渡してもらうように頼まれた。


実際の舞台をみて、計画表をみても、何故か僕は緊張だとか、特別な感想を持たなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ