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4月5日
コンビニでバイトすることにしたことを母に相談し、履歴書の書き方を聞いてなんとか仕上げた。志望動機の欄に書くことを悩んだが、母が言うには「正直に言うのが一番」らしい。社会勉強、小遣いを自分で稼ぐだめ、家が近いから。の3つだ。所詮学生のアルバイトだしこれでいいだろう。
面接当日は「愛想よく笑顔で話しなさいよ」と送り出された。若干ぎこちない動きで店舗に向かった。
結果から先に言うと、面接は上手くいった。
店内に入ると人は少なく、パートさんらしき人が数名。その中の一人に面接で来た旨を伝えると、アラタニさんが現れた。アラタニさんは「こんにちは」と言った。
思ったより少し小柄だったが電話越しに感じていた雰囲気とのギャップはほとんどなく、優しそうなおばさんというより、お姉さんだった人が年をとった人という方が正しいだろう。24時間営業であるコンビニで女性店長ってのも大変なんだろうなあと余計なことを考えながら、奥の事務室に案内された。
コンビニの裏側なんて普段見ないものだから物珍しさでキョロキョロしてしまう。小さい丸椅子に座って落ち着かなくしていると、アラタニさんが
「緊張してる?」と聞いてきた。
「いえ、普段見られない場所だから珍しくって」
「そう。じゃあ履歴書出してくれる?」
それから質問を受けた。母に言われたことを思い出し、出来るだけ笑顔で愛想よく、対応した。
なぜアルバイトをしようと思ったのか。なぜうちのコンビニにしたか。高校の時の部活動。どんな役割をしていたか等、大体予期していたこと質問ばかりだったのでそれほど苦労はしなかった。あとは、覚えること多いけど大丈夫か。深夜バイトも可能か等などを聞かれ、後半は雑談のような話の方が多かった。最後にシフト関係について、どのくらい入れるか、入れる時間帯などについてなどを聞かれた。
コンビニというものは基本的に時間帯ごとにシフトが決まっているものらしい。早朝の人は早朝のみ。夜勤の人は夜勤のみ、という形式をとっている店舗が大半だということだ。しかし、このローソンでは時間帯シフトや固定シフトにせず、パート・アルバイトが自分のシフトで入る時間をその都度決められるらしい。とはいってもパートは昼が基本、学生は夕方と夜勤が基本なので、実質あまり違いはないそうだ。「出来るだけ融通を効くほうが双方嬉しいでしょ?」とアラタニさんは言っていた。
ここは直営店ではなく、フランチャイズ店だから店長の裁量である程度は自由にできるらしい。後から調べてわかったのだが、フランチャイズ店は直営店より規則などが甘いという事を知った。
「では、合否についてはまた今度、えーと5日以内には連絡しますね」
とニッコリ笑いながらアラタニさんは言った。
大体想像していた「面接」というものほど堅いものではなく、雑談が大半だったので、「こんなもんか」という印象が強く残った。
「久保田くんが来てくれてよかった~大学生少なくて困ってたのよ~みんな就職しちゃってねえ」
という事も言っていたので、8割方合格だろうと思う。
「今いる大学生は一人だけでねえ。みんな大学卒業して就職してしまって一気に辞めちゃったのよ」
大学生のアルバイトもいるということで安心した。どんな人だろう。仲良く出来るだろうか。その大学生はもちろん、フリーターの人とかパートの人とも上手くやれるだろうか。
いや、それよりも仕事そのものが出来るかどうかの方が心配だ。ちゃんと接客できるだろうか。この僕がにこやかに「いらっしゃいませ」なんて、笑顔で言ったりするようになるのか。
これが僕の初バイト、初仕事になるのか、と考えながら帰り際に店員をちらりとみてみた。不安と心配はもちろん、意外と期待もしている自分に気付いて、少しくすぐったくなった。




