12/49
1-12
クリスマスソングが聞こえた。
次は僕の側を、幾つもの笑い声が通り抜けた。
僕はその声を目で追った。
その先には世界がたくさんあった。
僕はある映画を思い出した。男主人公がフラれた後に大号泣する映画だ。
こんなもんなんだなと思った。
僕は涙が出なかった。出る気配も無かった。
僕は世界樹に背を預けて、鞄から袋を取り出した。
綺麗にラッピングされているその袋は、手に持つだけでガサガサと見た目以上に大きな音をたてた。僕はリボンをゆっくり引っ張って解き、中に入っていたぬいぐるみを取り出した。
すると地面に紙が落ちた。
手紙だ。僕が彼女に宛てて書いた手紙だ。
僕は手紙を拾って開いた。書いてある文字を目で追っていると、一つ、また一つと手紙の上に雪が乗った。
僕は、また空を見上げた。
真っ黒な空から白い雪が湧いてくる。どの瞬間から雪が見えるだろうと気になって、しばらくその空を見つめていた。
もう少し気温が高ければ雪ではなくて雨が降ったのに、とか。
そんなどうでもいい考えばかりが頭の中でぐるぐると回っていた。




