第2話
無事に理事長への挨拶を終えた。
私が勝手に想像していたような怖い人ではなく、とても気さくでいい人だった。そのことにひとまず安心した。
、、、それにしても、だれかと手を繋いだのはいつぶりだろう。
小学低学年の時、母とつないだ以来かもしれない。
だれかと手を繋ぐことがこんなにも温かいことだとは知らなかったな、、、。
人とは関わらないって決めたけど、あの子となら、悪くないかもしれない。
無表情な子だったけど、それがあの子にとっては普通なのかもしれない。
表情が変わらないから、わかりづらかったけど、彼女の目は穏やかなものだった。
それに彼女には道案内をしてもらった恩もあるしな!!
、、、とりあえず、教室にいこう。確か2年A組だよね。
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せっかく人が気持ちよく寝ていたのに、知らない人に起こされた。
さすがに少しムッとした。
その人は、私に「道を教えてほしい」と言ってきた。
明るい髪色、大きい目。眉間にしわを寄せているが、それでも彼女はかわいい人だった。
眉を吊り上げ、強気な顔を作りつつ、笑っている。かっこつけた笑い方。
でも明らかに口の端がひきつってる。無理やり作った笑顔。
私はその人をじーーーーと見た。
なんでそんな変な笑い方をしているのか、理解できない。
すると、その人の顔が徐々に曇っていく。
ああ、私が無言で見ていたから、断られると思わせちゃったのか。
「どこ?」
「え?」
「行きたいところ。どこ?」
「、、、理事長室」
「そう」
彼女はきょとんとした顔で私を見ていた。
自然な顔。やっぱりかわいい。
私は彼女の手を取り、歩き出す。
理事長室は言ったことはないが、寝床を探しているときにたまたま見つけたのを覚えている。
行ったのは、一回だけだけど、たぶんたどり着けるだろう。
道中、私はちらと振り返り、その人を見た。
顔、真っ赤。
じっと握った手を見つめている。
かわいい、と思った。
いや、ずっと思ってはいたけど、それとは違って、なんというか、、、この人と一緒にいたい。
まだ会って1時間もたっていないが私はそう思うようになった。
理事長室に着いたところで、彼女からすごく感謝された。顔はまだ少し赤い。
私としては、もう少しの間、傍にいたいなと思ったが、彼女はそそくさと理事長室へ入って行ってしまった。
私は彼女とつないでいた手を見つめた。、、、また会えるかな。
もう一度ベンチで寝なおそうかと思ったが、きっと寝れないだろう。
、、、教室にいこ。