068話
新玉「あれ?第二次大戦始まっているよね、この時期」
新玉「それどころじゃないってことでしょ?」
新玉「羽生さん、大丈夫かな……」
新玉「なるようにはなるんじゃないの?」
もう一つの「報連相」を済ますべく、小野田幕僚のもとを訪れたが、あいにくと留守であった。
代わりに留守を預かっている千堂幕僚長が報告書を受け取ってくれると言う。
「摩耶とはこの後会議があるから、その時に渡そう。心配なら、受け取ったかメールで確認すればいい」
「では、お言葉に甘えさせていただきます」
手渡した報告書の表紙を早速めくり、さらりと読み始めた千堂幕僚長。
「って」
「ふむ、霖も面白いことを始めたものだな」
「いや、そうでなく……」
「ああ、私も摩耶も同じ派閥だから問題はないだろう。後で、摩耶に見せてもらうからな」
そうだったのかと思っていると、ちょうどいい機会だからと言って、派閥の話を始める千堂幕僚長。
「今の国防軍にはいくつか派閥があるのだが、主な派閥は「天野派」「新玉派」「鳥頭派」「直橋派」だ。私や摩耶、山本幕僚長、神童幕僚長なんかは「新玉派」。本崎幕僚総長や霖は、天野技術幕僚長が派閥長を務める「天野派」。こよ……鳥頭幕僚長は「鳥頭派」。おそらく会ったことはないだろうが、近衛師団を中心とした派閥は「直橋派」という。この派閥は政界の派閥とも深く関係していて、天野派は大島総理率いる「大島派」を支持している。まぁ、大島総理は当時の防衛庁長官だったし、天野幕僚長は当時の防衛技術研究所の所長をしていたから、関係は深くて当たり前なのだがな……。次に鳥頭派。この派閥は、国防軍内では少数派に分類されるのだが、政界では大島派に次ぐ次席派閥だ。この鳥頭派は大島派とは仲が悪いから、情報は流さないほうがいいぞ。次に、我らが新玉派だ。この派閥は主に新玉霖海将の同級生や仕事仲間が作った寄合派閥だ。所謂『新玉んズ』と呼ばれる奴らが所属している」
「質問よろしいでしょうか?」
「うむ、いいぞ」
「新玉海将は、天野派なのですよね?」
「……ああ、その通りだ。派閥を新設するときに、誘ったのだが断られてしまってな……。まぁ、天野派には協力的な派閥なので、それほど大きな問題になったことは……無いと思いたい」
無いと思いたいということは、それなりに問題を起こしていると言うことではないのか。
不安に思えてきてしまう。
「コホン。では、続けるぞ。と言っても、直橋派に関わることとは基本的にはないだろう。直橋派は直橋剛陸将が率いる派閥だ。直橋将軍は、日本共和国の衛星国で内閣総理大臣を歴任していて、政界や経済界に大きく知れ渡るほどの重鎮だ。父親はSIJで第498代目内閣総理大臣を務め、妻もSIJ第499代目内閣総理大臣の娘だ。余りにも影響力がありすぎて、ふとした発言で政治が混乱するレベルのお方だ。マジで気を付けるんだぞ?」
「それは、気を付けられるものなのでしょうか……」
「たぶん、大丈夫」
非常に不安な返答をもらったところに、小野田幕僚が帰ってきた。
その表情は非常に疲れており、これから会議ということで、更にうなだれている。
「む?どうした摩耶。そんなに疲れた顔をして」
「どうしたもヘチマもあるか……、この後の会議が変更になって、皇居で行われることとなったんだぞ」
「…………?ん?んんん?どういう事だ?三行で説明ぷりーす」
「晴空陛下が、
例の件で、
激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム(神)」
「ファッ!?」
例の件で思い出したが、企業癒着の件で本土が荒れ狂うだろうと、警告を受けていたことを思い出し、今更ながら冷汗が背中を伝った。
「何時からだ!」
「およそ2時間後の1400からだ」
「な、なんだってー!あ、マジやっば、礼服なんて持ってきてないよ」
「とりあえず、秋詩のを借りなさい」
「胸が入らないのだが?」
「サラシでも巻け。邪魔なら秋詩が小さくしてくれるそうだぞ?」
秘書殿の方を見ると、軍刀に手をかけている。
それに対してイヤイヤをして、自らの秘書官を引き連れて隣の部屋へと駆け込んでいった。
「羽生君、君も早く出ていったほうがいい。無理なら、せめて横須賀から出ないでくれ。あと、報告に関しては電子メールで構わないよ。以上だ」
「はっ!失礼しました!」
俺はいそいそと国防省を後にしたのであった……。




