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お前らいい加減にしろっ(A)  作者: 加賀函館
第5章 皇紀2600年記念大観艦式
62/72

059話

 ここトラック諸島に2隻の潜水艦が入港したのは、夏を過ぎた9月に入ってからだった。

 艦体全部を黒塗りにし、艦橋に水中翼を装着した見た事もない型式であった。

 その2隻が入港してから3日後、トラック司令部に呼び出しを受けた。

当然ながらその2隻が関わっている事は明らかであった。

「また、会いましたね」

「トノマツ大佐!?」

「ええ、ガイテナル・トノマツ1等空軍大佐ですよ」

 以前よりも疲れた顔をしているが、本人だった。

 ここの司令は襲来した来訪者に、苦虫を噛み潰した様な顔をしているがそれも当然であろう。

 機密である筈の東部水道を使ってこのトラックに入港を果たしたのだ。

 そう説明されて俺も冷汗が出た。

日本共和国とは同盟関係にあるとは言え、我が国と正式に同盟関係になっている訳ではないのだ。

「しかし、よく水道の入り口が分かりましたな」

 俺の言葉にポカンとした顔をした後、何かを思い出したかのように理由を説明しだした。

 あの水道の入り口は海底200m以上の深海にあり、特殊なビーコンを拾わなければたどり着けないのだ。

 ただし、そのビーコンパターンはレキシントン側に既に通達されていたものであった様で、その事を知らなかったのはコチラ側だけと言う事だと言われた。

「あのビーコンは長距離誘導用の超長々波でしてね。昔、日本共和国が開発したものなのです。とは言え、架空戦記からインスパイアされた物だと伺っております」

「……またですか」

「日本共和国に期待するだけ無駄でしょうね」

 おそらく源田参謀に聞けば、どの作品かは分かるだろう。

最近はオタク加減に磨きがかかっており、日本共和国人っぽくなってきているのは公然の秘密だ。

「ところで、何か用事があるのでは?」

「ええそうです。実はご相談したい事がありまして」

「それは…、私ではなく東京(赤レンガ)へ相談するべきでは?」

「ああ、通信で問い合わせたところ、本人と相談してくれと言われましたので」

 小野田幕僚……またあんたか!

心の中でそう叫び、満面の笑みを浮かべる。

 その笑顔にトノマツ大佐は痛ましいものでも見る様な目をしている。

仕方ないではないか!

「では、私の乗座艦へ移動しましょう。ここでは基地司令に迷惑がかかりますので」

「ア、ハイ」

 恐縮するほど凄んだつもりは無かったが、部屋にいた数名も顔が引きつっているのでやってしまったようだ。


 司令室から退室して、鈴谷へと戻ってきた。

「最上型ですか」

「鈴谷ですよ」

 ラッタルを上がり、出迎えに来ていた艦長のダキオン中佐を簡単に紹介した。

そのダキオン艦長を物珍しそうに見るトノマツ大佐は、完全に不審者であった。

「貴官の出身は?」

「小官はここトラック出身です」

「ほう。チュークの方でしたか」

 珍しくダキオン艦長が目を見開いて驚いている。

ただしそれは周りの乗員もであり、俺だけ仲間外れにされた気分だ。

「どうかなされましたか?」

 そこに黒島がやってきた。

「これはこれは、黒島統合大佐。初めてお目にかかります、歴親沌保存帝国空軍所属ガイテナル・トノマツ1等大佐と申します」

「な!貴方が噂のトノマツ参謀ですか!?」

「噂などと…その様な事を申されましても困ります」

 はい?有名人だったのか、この人……?

俺や周りが、不思議そうな顔をしている事に気付いた黒島は少し興奮気味にトノマツ大佐について語り出した。

「歴親沌保存帝国軍大学を次席に大差を付けて首席卒業した秀英で、その知略によって数多の海戦に勝利してきた歴親沌保存帝国空軍最高峰の参謀です!その功績が認められ、空軍最高位である朝烏元帥の元にいると伺っていましたが……。しかし、何故この世界に…?」

 きらきらとした目で見られ、トノマツ大佐は照れていた。

 だが、確かにそんな逸材が田舎の中の田舎の様な、この方面にいたのであろうか。

「え?ああ、大体日本共和国のせいで説明が付きます。私とて、日本共和国大使の任務さえなければ、とっくに昇進していたでしょうがね……。ただ、面白い人員を発見できたのは良かったと思っておりますが」

「あ、あぁ……。それは、大変残念でしたね」

 黒島が言うとおり、運が無かったとしか言いようがない。

 関わっただけ損をするとは…、もうどうツッコミを入れていいか分からないほどだった。


 トノマツ大佐が今回来訪したのは、合同演習を行いたいがためであった。

 そのため海軍省改め、国防省海軍庁にかけあった結果。

現地指揮官と話しあってくれればいいと、返答が返って来たそうだ。

 あれ?海軍庁と言う事は、小野田幕僚ではなく山本長官が犯人と言う事になるのか…。

「しかし、何故今なのでしょうか」

「それも併せてご説明させていただきます」

 もう、犯人はどうでもいい。

俺はトノマツ大佐の説明を聞く事にしたのであった。

 今回の演習につながる事の発端は、海防戦艦カルフォルニアに乗船していた抜き打ち審査官達であったそうだ。

 クロノ・シュナイター元帥を始めとした海軍の審査官達は、俺達と共にナスカ運河を使用した訳だが、その時に格納庫の異常を目の当たりにする事となった。

 グロス中佐が言っていた様に、審査官達は西ナスカにあるファスサ・アメリカーナ州政府に直撃を食らわせ、本国にもこの件を報告したそうだ。

 それに対し本国もすぐに動き出し、即座に出庫できる艦船に関しては本国送りにし、そうでないものも早急に格納庫内から出庫させる命令を下した。

 そのせいで政治的な混乱が発生し、一部の過激派によるテロリズムが横行し始めたそうだ。

そのため、空軍海兵隊や海軍陸戦隊から人員を割いて治安維持に宛てているそうなのだが絶対数が少ないのだ。

 そこで新兵を、火急的速やかに戦線投入させる事を目的としてスパルタで育成。

その仕上げとしての合同演習であると言う。

「燃料、食費など諸々をこちらで負担しますと、お伝えしておきます」

「ほう、ほうほう。それはそれは…、宜しいのですかな?」

「え?ええ、本国も了承済みですので」

 丁度次の訓練を考えねばならないと、思っていたところだったのだ。

燃料を使い過ぎる事が問題視されていたため、中々外洋航行演習が行えないでいた。

 最初は何をと思っていたが、中々楽しめそうな演習になりそうであった。

トノマツ大佐には了承したと伝え、盛大にほほ笑んだつもりだったが、後で鏡で確認したら極悪人面だったよ……。


 今回の演習には、第10艦隊だけでなく第7艦隊にも協力を請う事にしていた。

 あちらも燃料など諸々、相手持ちで訓練が出来るとあって歓迎していた。

「羽生君、今回は誘ってくれてありがとうね」

「いいえ、恩師である國岡少将を誘わないなど。できる筈ありません」

「君も変わらないね…。まぁ、ここまで出世するとは思わなかったけれどもね」

「それは小官もです」

 國岡羽月(くにおかはづき)少将は、海兵時代の恩師で現在は第7艦隊司令を務めている。

来年定年となり、予備役になる予定だった。

「しかし、君もたまには大胆だね」

「そうでしょうか?」

「そうだと僕は思うよ?まさか、無断でアメリカに演習相手になって貰おうなんて、誰も考え付かない事だよ」

 そう今回第10艦隊は、ファスサ領レビヤヒヘド諸島へ向かう。

その間にはアメリカ領だけでなく、オーストラリア領やイギリス領フランス領の島々が存在する。

 そんな海域で、各国の哨戒線に引っ掛からない様に演習海域に向かおうと言うのだ。

 ただし、ただ単に向かうのも面白くないので、艦隊を二分してそれぞれどちらが早くたどりつけるのかを争ってもらう。

 その前哨として第7艦隊にも、お手伝いいただこうと言う魂胆だった。

 現在の第10艦隊に所属する艦は、


戦艦:

朝比奈

空母:

瑞龍、驗龍、大鷹、海鷹

巡洋艦:

鈴谷、熊野、矢矧、酒匂、大岡、新田間

駆逐艦:

朝波、穂波、夕波、夜波、新波、澤波、江波、海波、風波、荒波、凪波、彩波、森波、音波、雪波、雨波、晴波、雲波、白波、黒波、巻波、寄波、高波、長波、清波、初波、吉波、旗波、親波、島波、岩波、辰波、追波、松波、竹波、梅波、春波、冬波、夏波、秋波、華波、穹波

補給艦:4隻


となっている。

 戦艦朝比奈は、大和型を一回り小型化した様な戦艦だ。

防御はそれなりだが、速力を重視しており空母艦隊の護衛として建造されている。

 本来なら朝比奈に司令部をおくべきなのだろうが、集中砲火を受ける可能性があるため意表を突く形で鈴谷に決定したのである。

 空母は瑞龍驗龍以外にも、補助戦力として大鷹型が2隻所属している。

ただし、補給艦の護衛としての配備であり、搭載機も戦闘機と哨戒機のみの為、前線配備はできない。

 艦隊を二分するに当たり、各々の分艦隊の旗艦は瑞龍と驗龍とする事はほぼ決まっていた。

 俺が乗座する鈴谷は、朝比奈、大鷹、海鷹、熊野、穹波、穂波を伴って2分艦隊とは別経路で向かう事となるだろう。

 正直な話、朝比奈の様な大型艦……。

空母である瑞龍型2隻も大きいが、新型戦艦である朝比奈は悪目だちする。

 瑞龍、驗龍も目立つであろうが、空母と言うモノが未だに艦隊戦の補助と言う見られ方をしている現在は、それほど重要視されるものではないだろう。

 一応保険として、見つかった時の責任の所在は書面にて確認しておいた。

現場に外交を持ち込んだ山本の親父に仕返しをプレゼントしてやったため、赤レンガ(海軍庁)では騒然となったようだがもう知らん。

「ちなみに羽生君はどうやって向かうつもりなのかね?」

「……今のところ予定としましては、一路本土へ戻る航路をとります。その後北上し、北太平洋航路を通る予定です。時間はかかりますが、周囲に気を配れば比較的簡単に向かう事が出来るでしょう」

「電探さまさまだね」

「ああ、私達は電探は使わずに行こうと思います。逆探の恐れもありますし、訓練にもなりますし」

 だからと言って、國岡少将まで付き合う事は無いと付け加えた。

 様々な装備を使えた上での訓練にしてほしいと念を押す。

 それは残念だと肩をすくめた國岡少将に、危ないところだったと思った。


先日、スパ・イアスに行きました。


ガストで食事をした後、ダイエーで買い物をして中を抜け、橋を渡って向かった訳ですが、そこでイアス(正確にはハマボウル)の前に流れる川の名前が書かれた看板があった訳です。

そう、大きく「新田間川」と。



うん。巡洋艦の名前で悩んでいたため、付近を流れる川の名を使えばいいんだ!と思ったモノの、付近を流れる川が「宮川」「谷津川」「侍従川」ぐらいしか無かったので、大変助かり増した。


なお、新田間より前の予定では「鶴見」になる予定でした。

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