閑話 社蓄戦士ミカドちゃん
閑話です。
年代は、一応不明って事で…。
※あと、生々しい表現がかなりあります。苦手な方は、ブラウザバックしてください。
昔から母は、「あなたは特別なのよ」と言われて育って来た。私は特にそうは思わなかったが、いつからだろうかそう思えるようになったのは。
何となく受けた有名高校に合格し、次は無いだろうとタカを括って受けた難関大学にも合格。自分の学力を遥かに超えたところだったが、トントン調子で卒業する事が出来た。勿論、就職先だって簡単に決まった。
そのためか、母の言うとおり自分は特別な存在だと思っていた。社会人になるまでは。
ニュースで記事になるブラック企業では無かった筈なのに、毎日残業がある。論じるまで無く、サービス残業だ。え?新入社員って、研修から始めるんじゃないの?その疑問に上司は、「部署に依る」と言う一言で終わらせ、更に仕事を積み上げた。
どうやら、私が入った部署は人手不足だったためか、新人研修をすっ飛ばして実地研修のみを行っている。と言うよりも、実地研修すらないと言う理不尽。
そんなこんなで、半年後にようやく忙しさは過ぎ去った。いや、過ぎ去った訳では無く、慣れてしまったと言うべきだろう。最初の頃は、書類の書き方が違う。書式が違う。配送地が違う。渡す部署も違う。遅い。もっと詳しくなどなど……。先輩方に突かれながら仕事をしていたが、今振り返れば面倒を見ていてくれたのかと思ってしまった。いや、正直にありえなかったのよ?
「ほいほい、休憩は終わりよ三迦堂ちゃん」
多分恐らくきっと、この人さえいなければ、もっとゆっくりとした社会人デビューができたんだろうなーと言えた。
この方は、この課の課長である「アラン・ガルトリア」さん。名前は兎も角、スーパーOLと社内で言われる仕事できる人だった。この人、毎日7人分の仕事をこなし、それを定時間で済ませてしまうのだ。その上で、仕事の遅い人の仕事を手伝って、帰宅する。
勿論、タダで手伝ってくれる訳では無く、その日手伝われたら、課長席にある貯金箱に千円を入れるルールがある。
このルールのせいで私は、この半年間毎月2万4千円前後ずつ、給料を失ってしまったのであった。でも、仕事をするのに一生懸命で、遊びや趣味に殆ど使えなかったためか、貯金は少しばかりあった。喜んでいいのかな?
「それは、喜ぶべきじゃぁ無いんじゃないのかなぁ。ねぇ?三迦堂ちゃん」
「こ、心を読まないでくださいアラン課長!」
「いや、だって……。それじゃ社蓄の考え方だよ?人生、エンジョイしないと、ね?」
「私、アラン課長とは違いますから」
「うー。そう、僻まないのよ」
事実、社内トップのデキる女のアランさんと、入社半年の新人では雲泥の差がある。僻むなと言う方に、無理がある。
「まぁ、と言う訳で。こんなに卑屈になっちゃった三迦堂ちゃんの為に、社員旅行に行きたいと思います。賛成の方、挙手!」
私以外、全員が手を挙げて、社員旅行が決定した。なお、私は強制参加だった……Orz。
社員旅行は、私が所属する課に所属する全員…と言っても8人だけだが…が参加した。私とアランさんを入れて10人になる。
その日の内に、アランさんは総務課に突撃して、全員分の有給申請を通した。総務課長のネクタイを締めあげてお願い……あれって、絶対脅していたよ。絶対に。
兎に角、お願い(物理)によって休みを取る事が出来た。ただし、私は有給休暇の前借りをした事になるらしく、注意が必要だと言われた。そんな事、していいんですかねぇ…?と聞くと、「後半年は、辞表を出しても受理しないから。ダイジョーブよ」と、凄味の効いた笑顔でアランさんに言われた。アハイ。
「ああそうそう、これ渡しておくわね」
そう言われ、茶封筒を渡された。諭吉さんが3枚と野口さんが4枚入っていた。今回の最初に必要な旅費を引いた分と言われた。まさか、今月のお給料から引かれた!?だが、これは課長席の貯金箱の中身だと言われた。でも、他の人のも入っているよね…?
「もう1つルールがあってね。次に使う時までに、最も多く入れた人にキャッシュバックするって決めているの。今回は三迦堂ちゃんだったから、あなたに渡したのよ。まぁ、殆ど飲み会とかで消えちゃうから、キャッシュバックするのは珍しい方ね」
突然、涙が頬を伝った。アランさんも驚いているが、私も驚いている。そして、それを見た先輩達が茶化す。珍しくアランさんが慌てている。そして、いつの間にか笑って、いた。
宿の主人はぶっきらぼうだが、アランさんの知り合いなのだとか。と、言うよりもアランさんの扱いが、凄まじく酷い。客の筈のアランさんが、仲居さんの様に働かされている。
「あぁん、クリスぅ~」
普段のイメージからは、想像できないくらいとろけたアランさんがそこにいた。それを見て、宿の店主。クリスさんは、引いている。
「全く、困った奴だ…。君の連れが、困っているではないか…」
「そんなの、しりましぇ~ん」
即座に顔面を握られ、宙ぶらりんになるアランさん。痛いと主張するが、ブンブンと回された揚句、窓から外へ投げられてしまった。
だが、次の瞬間には天井からシュタッと現れて、またクリスさんの隣に座りなおした。ただし、着ていたゆかたの一部が肌蹴て、大変ケシカラン事になっている。
何がケシカランかって?ちょっと、南半球どころか赤道に浮かぶ島が見えているところとか、下着が破れていたりとか……。
「何見ているのよ!」と、女性陣のグーで男性陣が容赦なくボッコボコにされる。もし、私も男だったら危ないところだっただろう。
取りあえず、肌蹴たのを直すが、首に手を回されて抱きかかえられてしまった。それを見て、すかさず逃げ出したクリスさん。私はイケニエですか!?
「んふふ~。捕まえた!」
「うわ!酒くさ」
「ちょーっと、飲んだだけよぉ?」
「ちょっとも何も…どこ触ってるんですか!?」
「三迦堂ちゃんの若々しいお・し・り」
そう言って、ビデオとかで見る様な、イヤらしい手つきでお尻を撫でまわすアランさん。誰か、助けてと涙を浮かべて訴えるが、誰も助けてくれない。こうなると、巻き込まれただけ損するのだろう。
「ほーう、未経験ですかー。へー」
「そんな、情報公開しないで!って、そこはダメですぅ!」
「げっへっへ、ならなおの事さら教えてあげないとねぇ…。オンナノコのタノシイ事を…ねぇ?」
お尻の方から前の方へ指が伝って来た。するりと下着を引っ張ろうとするが、脱がされまいと抵抗する。
「着けたままがイイなんて、通だねぇ」
「ひゃぁぁああ!本当に!これ以上は!」
そこで、アランさんの首が落ちた。冗談では無く、ゴトリと。余りの急な事に、誰もが何も反応できないでいると、アランさんの身体が頭を拾い上げて、元の位置に戻した。
「クリスのいじわる」
「いい、酔い覚ましになったか?なら、説明してやれ」
カチンと鞘に収まる音がする。クリスさんの手にはいつの間にか、カタナが握られており、今のはその音だろう。あれ?今、首が落ちたよね?それをアランさんが拾い上げて、元の場所に戻して……?え?
私を含め、全員が悲鳴を上げた。カタナを持つクリスさんからもだが、首を落とされて生きているアランさんからも後ずさる。
「どうするんだ、これ」
「こんな空気にした張本人が、投げ出さないでよ!」
本当に、何故こうなったし…。
説明しよう。実はアランさんは人間では無く、古代の科学技術を結集したロボットだったのだ!それをクリスさんが発掘して、貢がせているのだ!……。誰が信じるかそんなテキトー設定!
「でも、首を落とされてもダイジョーブな理由にはなったんじゃないの?」
「いやいやいや、手品かなんかなんですよね!?そうですよね!?」
「そんな、準備していないし」
「あーあー、コレハ手品コレハ手品…」
仕方ないと、クリスさんが指を鳴らすと、私の前にもう1人アランさんが現れた。しかも、物凄く顔が近い。
「あらあら、アランじゃ説明できなかったの?」
「何故出てきた、この駄肉」
「口が悪くてよ?それに、我が契約主の命令ではないの?」
「うぐぐ…」
駄肉と呼ばれた彼女。確かにガワはアランさんそっくりだが、中身が違う。なお、おっぱいも大きい。それに、近未来型ロボットアニメに出てくるパイロットスーツの様な服装をしている。
うん。一気に、現実が遠のいちゃったよコレ。
「それに、いくら即興で考えたとは言え、嘘はよくありませんわよ?」
「人間じゃない。ロボット。嘘言っていない」
「古代文明と発掘の部分は、全くのウソではありませんの。それに、微妙にロボットと言う部分も嘘の様な気がしますわよ?」
「いや、説明する言葉が分かんないから!」
「……。事実をそのまま述べては?」
「絶対にドン引きされるからね!」
「既に、手遅れですわよ?」
言い合いになってるこの2人を余所に、私を含めた9人はクリスさんの方を見た。あの顔は、完全に呆れている顔だった。
「代わりに私が、説明しよう」
「おねがいします」
腕を組んで仁王立ちとなったクリスさん。金髪だった髪の色が白っぽい銀髪になり、目の色も黒から赤に変わった。わお、魔法みたい。
「「それだ!」」
言い合っていた筈の2人が、指をさしてこちらを向いた。それを刀の鞘で薙ぎ払って、床へと沈めたクリスさん。この人も大概、恐ろしい人だな…。
「こいつらは私のペットだ」
「ペットって……」
「それ以上は聞かない方が身のためだ。このまま、平穏に暮らしたければな…」
これって、マンガとかでよくある巻き込まれちゃう系のヤバいヤツなんじゃ?
「何やら、不穏な考えを持ってる様だが、私は狙われたり、厄介事を持っていたりはしないから安心してほしい。まぁ、コイツらが煩いのが難点だがな…」
心を読んだ!?凄い!エスパーだ!と、言う事にしておこう。関わるとロクな事が無いって、クリスさんも言っているしね……。先輩方も無言で頷いている。私もそれに倣って、一緒に頷く。これで、安泰だね!
「ただし、君はダメだ」
「何で!?私の心を読んで、答えたんじゃないの!?」
「自覚なしなのか……。では、言うが。キミ、神様だよ」
「はい?」×9
先輩方を含め私も疑問符を口に出した。今度は、オカルト方面に?やめてよねー。
「正確には、天子だが…」
「翼とか生えていないし、環っかも浮いてないですよー」
「そっちではない。天の子。父親または母親が、神様の人間と言う事だ。まぁ、君の霊力を見れば、父親が誰だかは一目瞭然だがな」
何だろう。某国の王族の様な設定…。しかも、父親を知っているだとっ!?母を残して蒸発したクソ親父を!
「いや、クソはマズイだろう。無責任なのは、否定しないが…」
「では、マダオはどんな奴なのですか」
「……」
クリスさんが、急に口を噤んでしまった。流石に、マダオは言い過ぎただろうか。しかし、母に苦労をかけさせておきながら、自分はのうのうとしているヤツなのだから、これくらいは許されなければならない筈だ。
「どんな奴…か、だと…。いや、女性を前にして言うには、余りに……」
「そんな、ゲス野郎なの!?」
「ばっ!そ、そうではない…、その、カワイイ女の子を見かけると、「今から私の子を身籠ってみないかい?」と声をかけて、本当に身籠らせるのだ。彼を祭る神社がある地方では『磁麗様』と呼ばれて、夜遊びする女の子のところには、磁麗様が来ると脅し文句になるほどなのだ…」
2人の先輩が顔を見合わせ、頬をひくつかせる。どうやら知っているらしく、微妙な顔をこちらに向けてきた。イヤー、そんな子作りマッスィーンの子供だったなんて、知りたく無かったよぅ!
「これで地方の神様だったら、良かったのだが…」
「都会の神様なの!?」
「全国区の神様なんだな、これが…」
「イヤーっ!」
クリスさんが言うには、磁麗様は学問、子宝、安産、出世、良縁、文学、工芸の神様であり、特に学問と良縁にご利益があるとされる。なお、東京にある磁麗様を祭る神社で最も有名なのが、明治神宮だと言われた。
正確には、その内宮にある祠の1つだそうだが、テキトーな神様の祠が作られる訳が無いため、由緒の正しさが滲み出てくると言われた。
正直な話、私にはチンプンカンプンだった。そもそも、明治神宮にあるから、由緒正しいの意味が分からない。明治神宮って、そんなにすごいところなの?それが、私や先輩方の思った事だった。
クリスさんは、深いため息をついてここから説明しなければならないのかと、呆れかえっている。意味が分からないしー。
「明治神宮は、明治天皇が崩御した後に建てられた、明治天皇とその皇后を祭る神社の事だ。もちろん、その敷地内に作られる祠は、天皇家ゆかりの神が祭られていると言う事になる。つまり、磁麗様は天皇家ゆかりの神なのだよ」
「それって、凄い事なんですか?」
「凄いも凄い。会社で言えば、実は社長の妻でしたと言っている様なものだ」
確かに、それは凄い。と、思いつつ。何で、クリスさんはこんなに詳しいのだろう。いや、これ以上突っ込むと本当に帰れなくなる。私は、心を読まれている事に気付きつつも、黙秘する事にした。
代わりに、先輩が後の話しを付けてくれたお陰で、これ以上ボロを出さずに済んだのであった。
体は休まったが、心がボロボロになった社員旅行になってしまった。アランさんは平謝りしていたが、普段通りの業務に戻ってしまった事で、忌避感が前に出る暇さえ与えられなかった。
取りあえず、今度の休みの日は母に会いに行こうと思う。マダオの事を聞かなければならない。そんな事を考えていたせいで、アランさんと2人きりで残業をする羽目になった。
もう、凄まじいの一言で済むほどの速さでアランさんが終わらせ、飲みに誘われた。勿論、手伝ってもらったので、早速野口さんが1枚貯金箱に消える。
「たるんどるぞー」
「どなたのせいですかねぇ?」
「うぐっ。あはは、これは、きついなぁ」
取りあえず、私はジュースを頼んだ。酔っぱらったら最後の様な気がするからだ。
「この間のフザケタ事をまだ根に持っているのね…」
「貞操の危機でしたので」
「貰ってくれる殿方は?」
「うぐぐぐぐ…」
だからと言って、同性は無い。いや、マジで。なので、太ももをさするのをやめていただけませんかねぇ?
「はいはい。では、本題に移りましょうか」
届いたビールを一気飲みして、静かにジョッキを置いた。すると、当りのけん騒が急に聞こえなくなり、当りは静まり返った。せわしなく動いていた店員も、石像の様に動かなくなった。
「一時的に、時間を止めてみました☆」
「あの、それで本題とは?」
「…………、実は三迦堂ちゃんの命が狙われているみたいなのよ」
「え?」
私の命が狙われている?
「誰かは分からないの。でも、同じ社内にいる人らしいって事はわかるの。どう?心当たりとかある?」
「毎日、人を殺しそうなほど、仕事を積み上げてくれる方はいますが、それ以外は特に」
「あら~、誰かしらね~、そんなひどい人」
「目をそらしながら言っても、説得力がありませんよ」
まぁ、アランさんが忠告してきたが、アランさん以外で人を殺しそうな人が思い浮かばなかった。それに、アランさんは命を狙っている訳ではない事は理解できた。それに、命を狙っているならば、こうやって話してくることもないだろうとも。
「言っておくけれども、こう言うのもワナって可能性もあるからね?」
「えっ!?」
「油断した隙に、こうやって…むふふ」
「ふひゃぁぁあああああん!そ、そんな、そこ、らめ…」
「ああ、もう、こんなにカタくして…。油断した結果がコレなのだから、大人しくしてなさぁい」
「だっ…めぇ…。くっ………。ハひゅ…」
ガクガクと震え、一気に力が抜けたが、アランさんがすかさず支えてくれた為、カウンターテーブルに頭から突っ込む事は無かった。
それでもパンツが濡れたため、おしぼりで水気を拭き取る。後で、変なニオイがするって言われないよね?足りなくなって、隣のおじさんのおしぼりも使ってしまった。年代的に、おしぼりで顔を拭きそうだったが、そうならない事を祈るしかなかった。
うん、拭いてた。ニオイも嗅いでたし、不思議そうな顔もしていた。私、恥ずかしくて死にそうだよ。いたたまれなくて、席を立った時にすぐ前に蛇口と排水溝があって、絶望したよ!
そして、今はトイレに来ている訳だ。個室に入って、トイレットペーパーで拭き直して席に戻った。隣のおじさんは、相変わらずいたがアランさんが会計を済ませて待っていてくれた。
店をでて、少し歩いたところでアランさんが噴き出した。私は、顔を真っ赤にしてパシパシとアランさんをはたく。だって、想定外だったんだもん。
「隣のおっさんのかwwwwおwwwwぶふっ!」
「そんなに笑わなくたって…」
「だってwwwwww、鼻の下がwwwwwwwwwwwwびろーんってwwwwwwww、目もキラキラしてwwwwwwぶふふふwwwwwww」
口元を押さえて爆笑するアランさん。これは酷い。少なくとも、隣のおじさんのツマミになってしまった事は、間違い無い様だった。
「いやはや、面白いものを見させてもらったよwwww」
「元はと言えば、アランさんのせいじゃないですか!」
「ああ、すまなかったwww。今度、埋め合わせをしようw」
「本当ですかー?」
「本当だって。大丈夫、君は私が護るから……」
「……」
急に真面目モードにならないでほしい。その、カッコ良く見えてしまうから…。
次の日、隣にアランさんが寝ている。そして、見た事もない部屋にいた。確か、2件目に突撃してその後の記憶があいまいだった。
まぁ、アランさんが自分の部屋に連れ込んだのだろうと思ったが、何だか内装がアヤシイのですがこれは…。
そして、発覚。ラブホでした。
人生初のラブホに女性と来るなんて…。私はレズじゃないよ!だからそんな目で見ないでね!今すぐでいいよ!いや、マジで…。
朝食を牛丼屋で済ませて、出社。午前中はいつも通りの忙しさだったものの、午後からは緊急の昼礼が行われた。
「席に座ったままでいいよ。で、今日の午前中の事だけれども、6課の野田君が逮捕されてね。彼と関わり合いの有った人物全員の事情聴取を取ると、警察から言われたそうなんだよ。でだ、業務上は彼と接触する事は無かったと思うけれども、個人的に付き合いのある人は、後で教えて欲しい。なーに、それで逮捕されると言う事にはならないから安心していい」
まだ、罪状などはよく分かっていないそうだが、会社に不利益の出る関係ではないかと言われている。つまり、産業スパイだ。
「野田君は優秀で、信頼が置けると各課長達が絶賛していただけに、残念でならなのだがね」
「つまり、アラン課長は知っていたと言う事でしょうか?」
「そう言う答えに困る質問には、答えられないな。兎も角、昼礼はここまで。仕事を開始してくれ」
すぐに、溜まった仕事を片付けるべく、キーボードを叩く音と、電話をかける音が埋め尽くした。その日は、そのまま平穏に仕事が終わり、残業をして各自帰宅した。
次の日。私はアランさんの補佐として、重役会議に出ていた。意味が分からないよ!
「ガルトリア君。君のお陰で、産業スパイを排する事が出来た。ここに、お礼を言おう」
頭を下げようとした重役に対して、まだ終わっていないと言ってやめさせたアランさん。それを見て、他の重役はざわめいた。え?他にもいるの!?
「彼以外にも、4課の駒沢さん。8課の佐田君。営業課の芳田さん。総務課の細田係長もです」
サラリとそう言ってのけたアランさん。てか、産業スパイってそんなに多いものなの!?
「なんだと!」
「とは言え、当然ではないのですか?わが社が手掛けているプロジェクトの重要性を考えれば、まだこれからさらに増えるでしょう」
プロジェクト!?何ですかそれ、これこそ、巻き込まれちゃう系じゃないですか、ヤダーッ!
「君が、国から派遣されてきた時はどうなるかと思ったがね。確かに、本プロジェクトが外、特に国外に漏れる事は望ましくない」
何やら物騒な事になっているのですが、てか、私を巻き込まないで!
「で、彼女は?」
「私の助手です」
即答!?即答なの!?
「なお、彼女の父親は副社長と、同じお方であると結果が出ております」
重役たちがざわめいた。私も内心ざわめいた。副社長と私のマダオが一緒!?マダオ…いつからヤリチン野郎やってたんだよ……。
「君、名前は?」
その副社長が声をかけてきた。見た目は30代中頃だけれども、実年齢はもっと上だと思う。
「み、三迦堂皐月です…」
「三迦堂君か。分かった」
一瞬だが、副社長の瞳の奥で何かが光った様な気がした。気のせいだろう。と、言うよりも重圧で死にそうです。たすけて……。
アランさんからは、通常業務を行っていればいいと言われた。まぁ、忙しさに忙殺される様に、仕事を積んで下さったおかげで、気に留める時間も無かったよ。
ヘロヘロになりながら帰宅して、コンビニ弁当の夕食を済ませて就寝。次の日に、シャワーを浴びて通勤途中で、サンドイッチ片手に野菜ジュースのパックを飲む。少し早目に出社して、今日の仕事の準備をする。朝礼が終わったら、さあ仕事である。
特に、今日からは4人も来なくなったので、その分仕事が回って来る事来る事。アランさん以外全員が悲鳴をあげたよ!
昼食後、副社長に呼び出された。一般社員が入らない様な応接室に通され、カチコチに固まって待っていると、副社長が入ってきた。
「待たせて済まない。急な電話があってね」
「イイエ、大丈夫デス」
「そうは見えないが…まぁ、いいだろう。前回の会議の時に、ガルトリア君が私と君の父親が同じと発言していたが。君は、父親の名を知っているのかね?」
「確か、クリスさん…それを教えて下さった方は「磁麗様」と仰っておりました」
副社長は、眉間にしわを寄せた後、ため息をつく。クリスさんの名前にも、マダオの名前にも反応しているではないか。
「ふむ、磁麗様…ね。確かに、私の父は洲針磁麗だ。そして、磁麗様とも呼ばれている。つまり、同じ父を持つと言う事になるね」
「あの、それで、私に何か御用でしょうか…」
確認だけでわざわざ呼び出しはしないだろう。そして、さも当然の様に話しを始める。この前の会議で言っていたプロジェクトと言うのは、「Project Eden」の事であると言った。
この計画は、神の血筋を持った人間に、神の力を行使できる様にして、新たな世界を創生する計画であると。そして、私にもこの計画に参加する権利があると言ってきた。
世界創成を行う事が出来れば、わざわざこの世界に留まる必要性も無い。神話に謳われる様な、生活を手に入れることもできるだろうと。
一瞬、それも良いかとも思えたが、本能なのかそれは危険だと警告してきた。まぁ、某錬金マンガでも等価交換の原則があるし、そううまくいく訳がないと思わなくちゃねー。
「君には、才能がある。だから、なるべくなら参加してほしいとも思っている」
「才能ですか?」
「ああ、ガルトリア君が助手を取るなんて、初めての事でね。皆、驚いていたのだよ。それに、彼女は心だけでなく相手の強さまで分かる。つまり、君自身は気付かなくとも、十分な才能があると言う事の現れだよ」
まさか、副社長にここまでベタ褒めされるとは、想定外だったよ。まぁ、神の力とか言う中二病ワードを取り逃すなんて、勿体無い事できる訳が無かった。
私は、二つ返事で計画に参加する事にした。だが、どこから計画がっ漏れるか分からないため、アランさんにさえも、極秘でと言われたのであった。
まぁ、速攻でバレたんだけどもねー。その日は、急に全員定時であがる様に言われ、悲鳴を上げた。あげたので、アランさんが殆どを片付けてくれたが、全員が野口さんを3枚ずつ失った。ひぎぃ!
そして私はと言うと、アランさんの家に連れ込まれて早速壁ドンされている。表情から分かる通り、激おこ金剛丸である。こあい。
「ヨケイナコトハシナイデネッテイッタヨネ?」
「で、でも、神の力って凄い事じゃないんですか?」
「あなた達じゃ、使えても死ぬだけよ?」
「え…?」
「世界創成なんて、通常の人間が持ちうる霊力でどうにかなる物では無いわ。出来なくは無いけれども、いまの参加メンバー全員が死ぬほどの霊力を注ぎ込んでも、維持が出来ないの。ある一定期間維持できなければ、その世界は消えてなくなる。ほら、意味無いでしょ?」
「じゃぁ、何で私をあの場に出したんですか」
「あなたは釣り餌よ」
つまり、プロジェクトに参加できる要件を満たした人間を出して、ホイホイつられた人間から成敗しようとしているって事だ。って、あれ?なんかおかしい。
当初、アランさんは計画に賛同しているって思ったけれども、これじゃぁ計画を潰そうとしているって事になる。それを察したのか、続きに答えれくれた。
「私は、洲針磁麗様から依頼を受けて、この「Project Eden」を潰すために入りこんだの。何かしらの縁で、あなたの事も頼まれたので、本来配属されるべきではない部署に、配属させてね」
「あの悪意ある配属は、アランさんのせいですか!?」
「いま、そう言ったでしょ?」
ちなみに、私の社内評価は「ガルトリア子女のお気に入り才女」らしい。このお気に入りの意味は、生贄みたいに思われているそうだ。まぁ、私達の課が「防壁部署」とか呼ばれている辺り、察しちゃいけないけど察するしかないよね。
「言っておくけれども、参加メンバーの殆どが男で、中年を過ぎたあたりだから、本当に気をつけなさいよ?」
「それ、どう言う意味ですか…」
「それは、皆若い女の子に飢えているってことよ」
「アハイ」
再来!私の貞操の危機!これって、ぐるぐる回されちゃうタイプのヤバイ奴に810するかもしれない!?もう、おっさん同士で810しててくれないかなぁ……。
なお、今も貞操の危機が!そんなところに、手を入れようとしないでよ!
あの後無茶苦茶腰を揉まれた。と言うか、整体された。もう、ゴッキゴキでしたよ?なんでも、クリスさんの為に覚えたそうだ。本人が嫌がるので、殆どその機会が無いのが悲しいところだそうだ。まぁ、ねぇ?
「取りあえず、正座してちょうだい」
「Q.何を始めるんです?」
「A.霊力の扱いを教えるんです」
扱えていた方が、色々と便利なのだとか。つまりは、イメージらしい。よくある、魔法マンガのイメージで大丈夫だそうだ。ぐーるぐーると、血の巡りと同じ方向に霊力を流す練習をする。
んん?時計回りとかじゃないんだ。てか、意外と難しいよコレ。あ、ちなみに少量の霊力は、放出しても問題ないそうだ。まぁ、私の微量の霊力じゃ、何も起きないだろうけれども。
「身体がポカポカしてきました」
「その調子、その調子。これ、意外と冷え症の解消に効くのよ。ほら、役立つでしょ?」
「私、冷え性じゃありませんが…」
「ダイエット効果もあるわよ?」
「もう大変、役立ちますです!霊力バンザイ!」
霊力は気力に似たものらしく、気の巡りもよくしてくれるそうだ。疲労回復や、むくみの改善などなど…良い事だらけ!悪い事にも使えちゃう欠点もあるけれども、意志をしっかり持てば問題無いよねー。
「じゃぁ、ご飯にしましょ」
「はい。…はい?」
「今日は、泊まって行きなさい。それに、早く食べないと、明日にヒビクわよ?」
時計を見ると、もう22時を過ぎている。だって、来たときは、18時半前だったよ!
「もう、それはぐっすりだったわ。このまま起きなかもしれないって、思えるほどにね」
「ひぃいいい!何も、失ってないよね?ねぇ!」
「それは大丈夫。私はご飯の支度とかで忙しかったから」
「……。ご飯の支度ですか?」
「料理くらい毎日しているわ。まるで私が、仕事一辺倒の女みたいに思っているようだけれども、炊事掃除洗濯は女の嗜みよ?」
ああ、この人やっぱり完璧超人だよ…。自称ロボットだから、できるんですネー。分かります。
「その、残念そうな顔はやめてくれるかしら?」
「だって、中二じゃないですか」
「私は元からこう言う性格なの!育った国が違うんだから、当たり前でしょ!?」
そう言えば、ロボットなのに性格とか育ったとか…。
「私は、元々人間だったの。死んだ拍子に、この体に転生したのよ」
「異世界転生って奴ですか!ムッハー (;゜∀゜)=3」
「あなたがオタクじゃないの……」
隠れオタですがなにか?彼氏がいないのも、友達も少ないのも、これのせい。でも、キニシナイ!
「男の人、紹介した方がいいかしら?」
いや、そこまで心配しなくとも、どーにかなりますから!私、そう言う強運はあるんです。白馬の王子様は無理でも、ぶつかったイケメンと恋に落ちるとかありえそうだから!
「あなたの男運の無さでは、無理よ」
ナ、ナンダッテー。え?○イ○から始まる恋もダメってレベル?そもそも、男がより付かない程?そんな守護運いらないよぅ!
取りあえず、ステータス画面カムォーン!
名称: 三迦堂皐月
種族:人類(強)
職業:社蓄戦士
レベル:58
HP:118(+12)
MP:0
SP:81(+12)
ATK:81(+12)
DFS:66(+12)
INT:71(+12)
SPD:66(+12)
HIT:65(+12)
運:100(男運-1000)
耐性:微弱
EXP:500
称号:隠れオタク、社会人、神子
スキル:隠密(並)、一般知識(強)、遅老長寿(強)、忍耐(強)、精神(強)、霊力操作(弱)、気力操作(弱)
ひえっ!なんか出た!
「ステータスね」
「これが、ステータス…って、現実どこ行ったし!」
「あなたの霊力で表示しているのだから、切ればいいのよ」
と、取りあえず、確認しよう。てか、レベルの割に、数値が低い。何でも、人間はこの程度なのだとか。では、比べたいのでアランさんのステータスも見せてと言ってみたら…。
名称: アラン・ガルトリア
種族:天陽
職業:神兵
レベル:79286
HP:2432534
MP:1673356
SP:2052734
ATK:2044294
DFS:1799534
INT:3234334
SPD:1689814
HIT:1698254
運:800
耐性:最強
EXP:0.0001
称号:転生神兵、禁断兵器の契約者
スキル:禁断兵器の枷、国津神、鑑定妨害(最強)
比べられ無かったよ…。レベル7万ってどれだけですかねぇ…?
「クリスはもっと強いわね」
「うわ、人外…」
「言っておくけれども、あなたも既に人外よ?」
フツーは種族のところは、(弱)か(並)なのだとか。(強)はつまり、人外扱いで間違っていないそうだ。
ちなみに、レベルも一般人で20程。軍の特殊部隊員で55程。その国最強の男で60程。つまり、私はこの国最強の男と、タイマンを張れるほどつおいと言う事になる。データ上は。実際は、スキルなどの補正によって変わるそうなので、鵜呑みはよくないそうだ。
なお、世界を創るには、SPまたはMPが最低10万必要で、その後の維持に30万必要なのだとか。なら、人間の私じゃ到底無理って事じゃん。
参考の為にクリスさんのステータス。
名称:クリス
種族:竜鬼
職業:無職
レベル:198332(鑑定当時)
HP:7287333348
MP:176294237
SP:887397348
ATK:18518214
DFS:18518214
INT:183404388
SPD:18518214
HIT:18518214
運:8000
耐性:最強
EXP:8000000
称号:転生八百万の神、禁断兵器の契約主、超魔王の資格を有するモノ、世界を滅したモノ、世界創成神
スキル:黄泉神、禁断兵器使い、鑑定妨害(最強)
これなら問題ないね(白目)!やっぱり、本物の神様じゃないと、世界創成なんて無理ってことかぁー。残念。
次の日、副社長に呼び出されたので会議室に入ると、何やら怪しい儀式の真っ最中だった。クルバショヲマチガエマスタ。そう言って、退室しようとしたがダメだった…。
何でも、この儀式を毎日するとSPが増えるそうだ。そのため、今日から私もする事になったが、変な阿波踊りEKみたいな踊りを踊るなんて…。
うん。増えた。なんと、基本値と同じ量増えた。
「すごい!20も増えたよ!」
「なん…だと…!」
それは、言ってはいけなかったらしい。たしか、フツーの人は、基本値が10とかなんだよね…。副社長に肩をがっしりと掴まれて、逃げる事が出来なかったよぅ……。
私のはじめてが…。そんなに、見つめないでよぅ!
「な、なんだこの種族(強)って!レベルも、十分おかしいだろっ!」
確かに、昨日覚えた鑑定スキルを使うと、ここにいるメンバーの殆どが一般人と言える数値だった。副社長がレベル49だったぐらいだし(でも、(弱)なんだよねー)。
「ふむ、なるほど。ガルトリア君が抱え込もうとする訳だよ。これ程強力な人間なら、なおの事さらね…」
「え?でも、この調子で毎日20ずつ上げて行っても、世界創成に必要な数値に達するまで、20000日…つまり55年近くかかる事に……」
今度は、恐い笑顔で両肩を掴まれた。はれ?まさか、知らなかったの?ヤッバーイ。
「ダイジョーブ、モットハヤクアゲラレルカラ…ネ?」
「アハイ」
今度は中央に座らされて、周りを参加者が囲った。そして、例の阿波踊り(変)曰くを踊り始めた。すると、霊力が体に充満し始めた。ただし、すごく気持ち悪い。
他人の魔力が、混ざり合うと魔力酔いを起こすのと同じ…では無く、腐ったお酒を無理矢理飲まされる様な嫌なものだった。しかも、悪酔いする。ちゃんぽん酒を一気飲みさせられている気分だ…吐きそう。虹色に床が染まっちゃう…。
気持ち悪くなる上に、気分まで最悪になるが、SPは増えた。基本値10が6人、基本値15が3人いたので、合計105増えた。でも、女の子として耐えられなかったので、トイレに駆け込む事に……。
「うわーん!アランかちょー!」
「よしよし、泣かない泣かない」
アランさんに、霊力調整を行ってもらった結果。アランさんだけで、基本値18000の半分に当たる9000もあげてくれた。
「「……」」
「今夜も、私のウチにおいで」
清々しいまでにドス黒い笑顔でそう言われ、私に拒否権は無かったのであった……。
あの日から1カ月かけて、霊力操作(弱)を(強)に、気力操作(弱)を(強)にさせられた。ついでに、鑑定妨害(並)と体術(並)も覚えさせられた。お陰で、腹筋が割れました。
体術(並)を覚えるために、クリスさんに稽古を付けさせられた結果。レベルが625になりました。そして、自動再生(強)も生えた。これ、骨折しても次の日には治っているんだよね……。
そして、これが今の私のステータスである。
名称: 三迦堂皐月
種族:人類(強)
職業:企業戦士
レベル:625
HP:714(+450)
MP:0
SP:677+3150(+27000)
ATK:677
DFS:661
INT:666
SPD:661(+450)
HIT:660
運:600(男運-100)
耐性:並
EXP:500
称号:オタ社会人、神子、禁断の弟子
スキル:一般知識(強)、遅老長寿(強)、忍耐(強)、霊力操作(強)、気力操作(強)、体術(並)、鑑定妨害(並)、自動再生(強)、自動回復(強)、苦痛耐性(並)
なんと、男運のマイナス値が減りました。クリスさんが、減らしてくれたんだとか。やったね!
でも、称号のところに変なヤツが…禁断の弟子?どう言う事だろう。で、検索妨害はカッコ内の数値が、自分以外に見えなくなるそうだ。(並)なら称号とスキルも見えないらしく、ダダ漏れることは無くなるだろうと言われた。ただし、相手が検索妨害(強)を持っていなければだ。
「禁断の弟子が生えた?まぁ、当然だろうな」
当たり前だとクリスさんは言った。さも当然の様に言わないで下さいよ。で、これって何?
「取りあえず、マイナス数値をプラス数値に変換すると覚えておけばいい」
「良い称号って事ですね」
「……」
そこで、沈黙してほしく無かったよ…。取りあえず、おっぱい揉まれた。
このクリスさん、アランさんやセリューガさんとお付き合いしていると思っていたが、全く違った。押しかけ女房らしく、いつも呆れている。そのためか、弱い私にセクハラしてくる。
貞操は失っていないけど、色々と無くしたものが多い。トイレを覗かれたり、お風呂に入ってきたり、一緒に入ったり、寝床に忍び込まれたり、その、舐められたり…。もう、おっぱいを揉むのは挨拶代わりである。
それでも逃げ出さないのは、居心地がいいのと、逃げる場所が無いから。母のところに行けば、母に迷惑がかかるのは目に見えていた。マダオは行方知れずなので、選択肢にはない。
「ところで、何で世界創成しちゃダメなんですか?」
「創るのがダメでは無く、面倒事に巻き込まれる可能性が高い。つまり、本人に十分な強さが必要と言う事になる。皐月は、女性なのでもっと強くならないと、簡単に殺されてしまうだろうね」
「え゛?でも、HPが1000を超えてますよ?」
「車に轢かれた素のダメージが3000とかだから、一撃死する程度しか無い。その防御でも、軽減しきれないし、スキルも足りない」
「車に轢かれて死なないステータスになるまで、あとどれくらいあげればいいのですか…?」
「うーん、レベル2000ぐらいになれば十分かな?」
「え、ええ!あと3倍近く有るじゃないですか、ヤダー」
「それか、私と契約するか…だな」
ギラギラとした目でそう言ったクリスさん。私の身体目当て!?そうなんですか!?
「いや、流石にそれは…。磁麗殿に殺される」
「マダオってそんなに強いんですか?」
「……ああ、まぁ、持っている武器が反則級なだけなのだが…………。それでも、十分に気を付けなければならないレベルでもある」
レベル20万のクリスさんが怯える程って、マダオやるな!
「そう言えば、磁麗殿が会いたがっていたが、会わないのかい?」
「何の話です?」
「いつも、ぶちのめすと息巻いているのだから、会ってあげればいいものを…」
「ですから、何の話です?私は、そんな事聞いたこともありませんよ?」
「え?」
「え?」
どこで情報が遮断されていたのかは不明だが、マダオが会いたいらしい。連絡先をクリスさんに教えてもらい。早速、電話してみる。
「もしもし?」
『もしもーし、どちら様ですか?』
「あなたの娘ですよー」
『うぉお!皐月ちゃん!?驚いたなぁ。元気にしてたかい?』
「分かるのかよ」
『こちらで娘と言えば、皐月ちゃんしかいないからねぇ?で、今どこにいるの?てか、今から会わないかい?』
「今は、クリスさんの家で今は無理」
『ほう、クリス君の家か。わかったよ』
そこでプッツリと通話が切れた。最後に、凄い怒っていたので、クリスさん逃げてーって言おうとしたら、ちっちゃいクリスさんみたいな人が、クリスさんを羽交い絞めにしている。
「ウチの娘に、なーに、しちゃっているのかなぁ~、ク・リ・ス君?」
「何もしてないです!死んでしまいます!」
「竜鬼はそんなに簡単に死なないから、安心して☆」
まぁ、それを邪魔するべく、飛び膝蹴りする。それをするりと交わして、私の背後に回り込んでおっぱい揉んできた。こいつもかーっ!
「また会えたね、皐月ちゃん」
「おっぱい揉むな、このマダオ!」
私が嫌がると、するりと前に移動した。
「マダオは酷いなぁ」
「娘の体に触るクソ親父にそう言って、何が悪いんだ!」
「ただのスキンシップです」
「それをセクハラって言うんだよ!」
そこに、復活したクリスさんが割って入って落ち着く。ついでに、クリスさんにしがみ付くと、マダオが青筋を浮かべた。
「で、何の用?」
「む?…いや、アラン君から大体は聞いているから、アレだったのだけれども、直接会いたくてね」
大きくなったと頬を撫でられた。嫌な感じはしない。でも、今まで放っておいたのに、今更会ってもと言う気がしなくもない。
「いや、ずっと会いたいって彼女には言っていたんだよ?でも、会わせてくれなくてね…。だから、影ながら見守っていたんだよ」
「お母さんが、会わせない様にしていたの?」
「そうとも言える。でも、少し違うよ。彼女の交際相手の男がそうさせていたんだ。まぁ、皐月ちゃんは知らないだろうけれども」
母が交際していたなんて知らなかった。いや、多分その人には会った事があるのだろうけれども、はぐらかされていたんだと思う。
「その人は…」
「皐月ちゃんの会社の副社長、洲針幸太郎だよ。不肖ながら我が愚息でもあるけれどもね」
「……」
「アレは軍に居た時に、色々と知ってしまってね。無駄な事をしようとしているのだ。私の忠告を聞いてくれれば、問題は無かったのだが。そうはいかなかった。だから、クリス君達に計画を潰す依頼をしたんだよ」
そんなに強いなら、自分で動けばいいんじゃないのかと思ったが、強すぎるのも問題らしく、中々動けないのだと言う。マダオじゃないか。
「何だか、本当はよくない意味なのに、言われている内に心地良くなってきたよ?」
「このっ、マダオめ!」
この人、真面目なんだか、不真面目何だか分からないよ…。
「で、クリス君にもう1つお願いが出来たからね」
「え?はい。なんでしょうか」
マダオはクリスさんの両肩をガシリと掴んで、この世が終わりそうな恐ろしい顔で、「娘を頼んだよ」と言った。
「味見したなら、最後まで面倒みて欲しい。本当は、不満だけれども、もう1人に任せたら、絶対に大変な事になるって分かりきっていることだからね…」
「もう1人…ですか?」
「ああ、瀧山君にもお願いしてあるんだ」
クリスさんも聞いた事の無い名前なのか、首をかしげていたが、基本的に会う事は無いと言われた。てか、娘の為に会わない様にしてくれと念を押したらしい。
「え?じゃぁ、クリスさんと瀧山さんだったら、どっちが強いの?」
「それはもちろん、瀧山君だよ。だって、クリス君クラスの神を千切っては投げ、千切っては投げした事があるからね」
神様って怖いよ!クリスさんだって、滅茶苦茶強いと思ったのに、それ以上が居るなんて……。
「クリス君は、元人間の転生者。瀧山君は正真正銘、本物の八百万の神で、主祭格。つまり、祭られる程の信仰がある神様だからね」
信仰があると+α部分が大きく上昇するそうだ。つまり、全国で信仰されているマダオも+α部分がクリスさんよりもでかいと言う事になる。そして、特に日本の神様は、兼任が多いため、集める信仰は凄まじくなる傾向にあるのだとか…。
その日、マダオは夕飯まで居座って、少しお酒を飲み交わして帰って行った。その背中は寂しそうにしていたが、引き留めるほどの義理も無いので、ただ見送るだけにした。
アランさんと相談の上、この事は隠しておく事にした。そして、計画が止まられなくなったところで、クリスさんに助けを求める。クリスさんの戦力が加われば、諦めるしかないだろうし、そんなところで頓挫すれば、再起も難しくなるからだ。
「副社長にお聞きしたい事があるのですが…」
それは阿波踊り(変)曰くが終わって、少し落ち着いた時だった。慣れは、恐ろしい。でも、気持ち悪くなるのはなる。
「ん?なんだい」
「…「Project Eden」をどうして行おうと思ったのですか?」
一瞬、あれ?みたいな顔をして、もう一度私の顔を見なおす。私、何かおかしなこと言ったかなぁ?
「説明、していなかったかい?」
「特に、これと言ってされた記憶がありませんが…」
「それは、失礼したね。では、改めてしようではないか。「Project Eden」は、私が昔軍に居た時に、知った陸軍の計画が元になっているのだよ」
「はい?陸軍?自衛隊では無いのですか?」
「陸軍だよ。私はこう見えて、106歳だからね」
見た目が30代だけど、50代くらいだろうと思っていたよ。まさか、働ける年齢を超過しているとは、想定外すぎるよぅ。昔、会った母方のおじいちゃんよりも、年上だよこの人。
「マヤオ…、そんな昔からヤリチンだったのか……」
「んん?マヤオ?」
「マジで役に立たない親父の略です」
「最近の若者は……。あの方は、お忙しいのだよ。それなのに、気に掛けてくれるのだから、その様な言い方は看過できないな」
「え。喜んでいましたよ?」
うん。言い過ぎた。一瞬で、優しい眼差しのまま、雰囲気が変わる。
「いつ、会ったのかい?」
「少し前、です」
「……。まぁ、いいだろう。君には、協力して貰っている事だしね。しかし、口を滑らせるのは、頂けないな…。もし、これ以上余計な事をするのであれば、自主参加で済まさなくするよ。それは、覚悟していて欲しいね」
「アハイ」
眼差しもやさしいし、話しの内容を聞かない限りは、労いの声をかけている様に見えるだろう。ちびりそうなほど、怖かったけれども…。
「コホン、それに女の子なのだから、その、ヤリチンなどと言わないのだよ……」
「娘のおっぱいを、嬉々として揉むマヤオに向ける言葉として、最適では無いのでしょうか?」
「それは…、災難だったね…」
顔は笑っているが、苦笑いだった。そして、一瞬私のおっぱいを見る。そして、私の顔を見てギョッとする。
「この、マエオ」
「あー、はい。ゴメンナサイ」
それ以上、責めないでくれと退散して行った。勝った!コロンビアのポーズ!
「何で、コロンビア?」
「おお、アラン課長。副社長に言葉で勝ちましたよ!」
その後、ボロッた事がばれて、言葉でボッコボコにされてしまった。そして、肝心の目的を聞き忘れた事を指摘され、完全敗北したのであった……Orz。
仕事が、仕事が溜まる。余計な事ばかりする私に、バツを与える様に、山脈が形成される。しかも、それを片付けたくとも、副社長に呼び出される訳だ。そして、ようやく解放されて帰れば、野口さんを3枚失うの悪循環……。
「と、言う事なので、費用請求を致します」
「……。その、ルール自体を変更してはくれないのだろうか?」
「なら、ウチの部署に仕事を回さないでください」
「わ、分かった。過去の分も含めて、請求して欲しい。私の方から費用を出そう」
取りあえず、今日の分と言われ、ポケットマネーを渡される。何だか、売春しているみたい。違うけれども……。
「今年の新人の中で、最も優秀だね君は。変な知恵も付いているけれども…」
「それは、育ててくれちゃった上司にお願いします」
副社長は、こめかみを押さえて渋い顔をしている。と、思い出したかのように、「Project Eden」の話の続きをするといった。あのまま、終わらせるのかと思ったけれども、やましい事が無いってことなのかな?
「やましい事か……。そうだね、他の人間からすれば、やましいのかもしれないね」
「世界征服でもするのですか?」
「いや、そんなにくだらない事では無いよ。ほぼ、自己満足の様なものだよ…。君は私達、神の子が長寿である事をどう思う?しかも、殆ど老い無い」
「不老長寿だったら、ずっと若いままですよね?それって、人類の夢じゃないですか」
「そうだ。そして、その夢をかなえた存在が、目の前にいたら科学者はどうすると思うかね?」
「え?その、まさか……」
「そうだよ。私には、病弱な妹がいたのだがね…。入院したと嘘をつかれて、人体実験に使われたのだよ。私が、発見した時は、それは人の形を保っていなかった…。それでも、生きてはいたんだ…。心臓も動いていて…、瞳も光りを失っていなかった……。そう、動いていたんだよ…、胸部を切開されて、心臓を体の外に出されて……。もう、元の姿に戻す事が出来ない状態だった。だから、私は……。でだ、私はこう言った事例を2度と出さないために、「Project Eden」を起こしたんだよ。少なくとも、新たな世界で、新たな常識。つまり、不老長寿が当たり前の世界ならば、この様な悲劇が起こる事は無いからね……」
「その、科学者はどうなったのですか…?」
「聞かなくても、分かるだろう?殺したんだ、妹よりも醜く………ね」
優しい眼差しで、サラリと殺したと言った副社長に、後悔の念は無い。そして、それがようやく叶うのだから、邪魔だけはしないでほしいとも言う。
「邪魔するなら、私は容赦しない。例え、君が私達と同じような存在だったとしても。それに、君は恵まれすぎている。嫉妬、してしまうぐらいに…」
肩をポンとたたき、副社長は立ち去った。
今日は、社長に呼び出された。ただし、私だけでは無く、アランさんや副社長もだ。そう言えば、社長ってどんな人だったっけ?
「やぁ、影のうっすーい社長だよ~ん」
アランさんが小声で言うには、この人は人類(強)だと言った。
「社長、おふざけはそのくらいにして頂けませんでしょうか?」
「幸太郎君、すこしのお茶目は許してよ…」
取りあえず、この人の見た目は20代前半に見える。と、言うよりも私よりも若いんじゃないかな?副社長とは全く違ったベクトルで、ヤバい香りがする。
「あー、では、改めて。私は社長の瀧山宏徳と言うんだ。まぁ、洲針幸太郎君の計画の賛同者と言う事になるね」
あれ?この人が、ボスじゃないの?マジで、副社長がボスなの?てか、瀧山って……。でも、マヤオはクリスさんを上回る神様だって言っていたし、私の鑑定でも人間だって出てるし、名前の空似?
「お呼び頂いた理由を、教えていただけませんでしょうか。業務が、まだ残っておりますので」
「ガルトリア君、お茶でもどうだい?」
「では、単刀直入にお願いします」
「…………、では、単刀直入に言おう。ガルトリア君、この会社を辞めてもらえないかい?」
「ならば、解雇を言い渡せば宜しいのでは?」
「それは、他の社員から疑問を持たれてしまうから、無理な話だよ。まぁ、クリス君と結婚でもしたって事にして、身を引いてもらえると、とっても嬉しいんだけれども……だめかな?」
この人、クリスさんの事を知っているの!?副社長さえも、疑問符をあげている事から、知らないのだろうし…。
「年寄りの知恵って奴でね、三迦堂君。こんな見た目だけれども、2千年程生きているから、知識と経験だけは負けないよ?」
「くっ…脳内に直接…」
「いや、それは流石に…。出来れば、確かに面白いけれどもね」
「ノリノリですね」
「そう?まだまだ、若者には負けないよ?」
呆れられた。副社長が、ものっそい顔で見てくる。
「解りました。では、辞表を書かせていただきます。ただし、引き継ぎの為に、半年ほどの期間を頂きたいのですが、宜しいでしょうか」
「いいよ、それくらいなら」
何だか、潔く辞めるって言い過ぎじゃないの?これって、私も辞表を出してもいいのかな?でも、社長の顔を見る限りだと、それはダメそう…。それって、私の味方が社内に居なくなるって事だよね?
「あ、私も辞めたいです」
「それを、許すと思っているのかね、三迦堂君」
「職業選択の自由を主張します」
「……、別にいいけれども。私の影響力って、大きいからバイトすらできないよ?それでもいいなら、どうぞ」
それはつまり、選択肢がほぼ無いってことなんじゃ…あれ?
「ん?」
「ア、ナンデモナイデス」
「何でも無いのに、あれ?って思わないと思うんだよね。何が、あれ?なのかなー、カナー?」
この人、心を読んでくる事をすっかり忘れてたよ。てか、そんなスキル使えるって、チートじゃないですかヤダー!
「ああ、ちなみに、世界創成を個人でするのはオススメしないよ?これは本当。どうなっても、責任は取れないからね?」
「何故です?」
「抜けるんでしょ?なら、知らなくても問題ないよね?」
「世界創成、しちゃいますよ?」
「今ここで、私に殺されたいのかい?」
「え゛?死んだら、世界創成出来ないじゃないですか?それって、副社長の計画が…?」
「別に、死体でも使えるし、その方がムダが無くていいんだよ。死にたくなければ、大人しくしていろ。いいな」
(^ω^)←こんな顔文字みたいな顔で、命令してくるから全く恐くないよ…。その上、オーラが変わる訳でもないから、どれが本心かもわからない。この人が、一番恐ろしいかもしれない……。
「社長、流石に殺すのは…」
「案外優しいんだね、幸太郎君」
「彼女はまだ若いので、これからあるであろう苦労を知らないだけです」
「そんなの知らないよ。私が知りたいのは、「はい」か「いいえ」の二択だからね…?まぁ、妹さんにそっくりだから、気が引けていると言う事だと、思っておく事にしておくよ」
「……、妹はこの様に、手のかかる子ではありませんでした…。そうだったのです……」
うわー。えぐった、社長が副社長のトラウマをえぐったよ。頑張れ、副社長!もっと、熱くなるんだよ!
「ああ、帰って良いよ?三迦堂君は辞めないって事で構わないんだね?」
「……、最悪…」
「大人ってね、悪い生き物なんだよ。特に、我々はね…。君の様な、若輩者を騙していた事は、悪く思うけれども、それを後悔する事は無いんだよ。もう、思いっきり我々の糧になってくれればいいよ」
もう、この部屋から逃げるしかなかった。逃げて、アランさんの胸の内で泣くしか、無かったよ……。
一言言おう。アランさんが社長室から帰ってきて、すぐに辞表を人事部に出したので、社長に悪い評判がついたよ。
しかも、私はぐちゃぐちゃになるまで泣いたので、話しに参加しなかった秘書や、その他諸々の人たちにも悪い噂が!やったね社長!悪評に尾ひれがついたよっ!
「何も、良くない気がするのだが…。それに、それをもみ消そうとしたって、秘書達に言われているのだが、何故だと思う?」
「それは、簡単です。私が、社長のお茶汲み係を拝命したのが、原因です」
「いや、あの部署をそのまま残せないから、こうするしか無かったんだよ?」
「なら、適当に閑古鳥が泣く部署に放り込めば宜しかったのでは?それに、半年間の余裕すら与えない様に、防壁部署を潰したのは、本当にまずかったと思いますよ?」
「うがぁぁああああ!それだよそれ!確かに、私が悪人なのは否定しないけれども、社員全員から後ろ指を指されるって…あり得んでしょっ!?」
「でも、会社は潰れないんですね」
「まぁ、殆ど幸太郎君に任せているからね…」
ただし、今まで以上に忙しくなって、副社長にここ最近会っていない様な気がする。この人、マジでゴクツブシ。
「……そう言えば、個人で世界創成してはいけない理由を話していなかったね」
「…ええ、そうですね」
個人でと言うよりも、既にある世界で世界を創成してはいけない理由は、極簡単だった。既に、世界を管理している存在がいるところで、そんな事をすれば、最悪どちらも滅ぶ可能性がある。なので、許可を取るか、元からいる管理者から管理者権限を奪うかしなければならない。
そして、その管理者が未だに見つからない現状で、事を起こせば…。なので、今はダメと言う事だった。
「2千年も生きているのに、会った事無いのですか?」
「いや、そもそも人間の姿をしているとは限らないんだよ?」
「それって、マヤオに聞いたら分かります?」
「教えてくれないと思うよ?」
取りあえず、メールで聞いてみた。
「もしもし」
『助けが必要かい?』
「あ、そう言うのじゃなくて…」
『脅されているんじゃないのかい?』
「自分の意思なので……」
『………………。分かったよ、メールで送っておくけれども、気を付ける事だよ…。彼の「問いかけ」は、本当に意味不明だからね……』
「問いかけ?」
『そう、問いかけ。……そう…か。もう、話す事も出来ないかもしれないのか……』
「成功すれば、いいんでしょ?」
『……、世界の維持は大変だから…、皐月ちゃんが今の皐月ちゃんでいられる保証は無いよ?だから、助けを求めるなら、今だけれども…?』
「うっさい、このマヤオ!」
『この、不肖マヤオは本当に役立たずだったね…。済まない』
電話はあちらから切られた。もう、かけ直しても取られる事は無いだろう。それが、悲しくて、寂しい事だってあらためて分かったのに、涙さえも出ないよ……。
メールに書かれていたこの世界の管理者は、シンガポールにあった。まさかのマーライオンである。問いかけとか言うから、スフィンクスとか勝手に思っていたよ……。
ちなみに、社長と副社長だけでなく、アランさんとセリューガさんとクリスさんもいる。私がダダをこねた結果ではある。
「ほう、磁麗殿が用向きがあると言っていたから待っていれば、中々面白い」
「えと、そのー」
「日本語は分からねえが、神代語は話せる。で、我に何の用だい」
マーライオンが変形したりすると思っていたら、噴水の前に座っている日に焼けたおっさんが、そうらしい。
「世界を別に創成したいのです。許可をください」
「別にいいが、聞いていると思うが、問いかける。『君は、その世界に何をかける?』面白い答えを期待しているよ」
すぐでなくてもよい。ただし、期限は7日後だと言われた。それまで、観光をしながら考えればいいとも言われた。
「我は、観光案内もしていてな。案内してもよいぞ?」
「あ、ではお願いします」
「面白い、面白いぞ。今までのヤツは、断るか、殺そうとするかだったからな!よーっし、頑張っちゃうぞ!」
私とマーさん以外は、呆然として固まっていた。それに、もう、答えは決まっているの。だから、めーいっぱい遊ぶ事にするって決めたんだ。
「問いかける前から、答えを見めてくるとは、面白い。だが、余りにも危険だな」
「そうですね。でも、私にはこれしか考えつきませんでしたし、マヤオ…父から十分なヒントも頂きましたから…」
「ほう、磁麗殿も意味が分からないって言っていた筈だが?」
「何をかけるかですよね?難しく考えたら、おしまいって事ですよね?」
「いや、難しく考えろよ。と、言うよりも、難しい答えを聞きたいのだがね…?」
「え?」
「え?」
「そ、それはちょっと……」
「まぁ、考えてくれや…」
うん。観光しよう。遊ぼう。後で考えよう…。良いよね?
その日の夜、5人に呼び出された。遊んでいる暇は無いと。
「『君は、世界に何をかけるか?』か……」
それ程、難しい答えだろうかと思ったけれども、これが案外難しいと言われた。フツーなら自分の命をかけると言うところだろうが、そんな事を言えばその場で殺されるに決まっている。
それ以外に、かけられそうなものは、大量の生贄と言う事になるだろうが……。
「そうでしょうか?生命と同じくらい、重要なものがあるじゃないですか」
「種族を差し出すのは無駄だよ。人間をやめるのに、人間を差し出すのは、愚か者のする事だからね」
「そんな方法も有ったんですね!」
「なん、だと…」
マーさんから、他人に言うのは禁止と言われたので、答える答えは秘密だった。
「ああ、そう言う事か」
「社長、分かったのですか!?」
「ああ、そうだと思う…。だが、それで君はいいのかね?大切なモノではないのかね?」
命の様に大切な命…。これが無いと、私だって誰も分からなくなっちゃうって事だよね?でも、いいの。何だか、諦めがついたから……。
「勿論、大切です。だからこそ、かける価値があるのではないですか?それとも、今頃改心するのですか?人に、「我々の糧になってくれ」って言っておいて、それは無いんじゃないですかねぇ…?」
「……。そうだったな、その通りだよ全く…」
社長がゲスい顔をして笑う。
「なら、遊ぶか!」
「その前に、社長の思った事を話してあげてください。あ。口は使わないで下さいね」
「ああ、この間の「直接脳内に」って奴だね……」
クリスさんは何も言わなかったし、アランさんやセリューガさんも口をつぐんでいた。ただし、副社長はそうでは無かった。
何か、口にしようとするけれども、それ以上言葉には出なかった。クリスさんが、私と副社長の間に入って、副社長を威圧する。
「彼女の決めた事なんだ。もう、いいじゃないか」
「お前に、何が分かると言うんだ…」
「過去にとらわれたままの君に言われたくは無いな。それに、ここまで付いてきたのだから、大人らしくしろ」
「……」
くるりと振り返ったクリスさんに頭を撫でられた。その顔は、愛しむ様に慈愛にあふれた顔をしていた。
「では、取りあえず男が3人いる訳だが……」
「男が3人…、クリス君もワルだねぇ…」
「君に言われたくは無いが、同意する他無いな」
「トコトン楽しませてあげないとねぇ……!」
嫌な予感が、バッシバシするので、退却…したかったけれども、アランさんとセリューカさんが私の両手に絡みついてきた。まぁ、ちょっと期待してたけれども……。多人数って言うのは想定外よ?本当なんだからね!
物凄く、腰が痛いです。ついでに、顎も痛いです。顎が外れるかと思ったよ……。
「ふくしゃちょー、何うなだれてるんですかー?」
「いや、母親が違うとは言え、兄妹に当るよね?私達…」
「面白い経験が出来て良かったですね!」
「何も、面白くないと思うのだがね……。取りあえず、おっぱい揉ませなさい…」
最近、おっぱいの揉まれ過ぎか、垂れてきたような気が……。よく、おっぱいを揉むと大きくなるって聞くけれども、あれって男が揉みたいって言う都合を合法化しようとしただけなんじゃないの?実際、私は垂れてきたし…。
「どうです?若い女の子のカラダは?」
凄く険しい顔で睨んできた副社長。でも、まんざらでもないよね、それ。
「……。まぁ、若いころ以来なので、随分と勝手が違っている事に戸惑っているところだよ…」
「へ?若い頃以来?」
「32歳以降は手を付けた記憶がない。そういう気分ではなかった事が、主な原因だがね…」
不意打ちで、下から突き上げられた。でも、何だかスカスカ…副社長、ゴメンナサイ…。代わりと言っては難ですがと、中々カタイ胸板におっぱいを押し付けて、口づけをする。互いの舌同士を絡み合わせて、じゅるりと吸い合う。
「全く…困った子だね……」
「何が、困った子なんですかねぇ…?」
「困るは困る、もっと締めてくれないかい?」
「では、もっと大きくしてください。それか…ね?」
これでも私、さっきまでこんな事した事無かったんだよ?まぁ、ハジメテはクリスさんがいいって言ったのは私だけれども……。やめておけばよかったよ…。何がって?それは…ねぇ?
「今、治しますわね」
「セリューガさん!?治すって…?」
セリューガさんが触れた箇所から、筋肉の痛みが引いていく…?いや、別の痛みが…。引きちぎられる様な、アノ痛みがっ!
「あだいっ!」
「あれーぇ?」
アランさんに頭をスパーンとされたセリューガさん。アランさんが痛みを感じない様にしてくれたお陰で、助かったけれども、人生で何度も感じたくない痛みだよコレ……。
それに、クリスさんや社長はダウンしているからまだよかったと思う。いや、副社長がどうって訳じゃいんよ?比べる相手が悪いだけだろうから…。
「何故か、失礼な事を言われた様な……」
「ソンナコトナイデスヨ」
「……」
「何だか、このまま自堕落でもいいかなーって思ってきましたよ?」
「観光は、まだ終わっていないだろうに…」
「そうなんですよねー。案外、シンガポールも広いんですね」
軍に居た時に、シンガポールに来た事があると言う副社長も同意する。当時は沼南市って呼ばれていたらしいけれど。
「明日は、私は別行動をさせてもらう。行きたいところがあるのでね」
「いいのですか?いっしょでなくても?」
「一緒でない方がいいだろう。分かってくれ…」
軍人時代にしか来た事がないって事は、そう言う事なんだろうなぁ…。
何故にか、社長も副社長についていった。副社長は諦め気味だったから、アレだったけれども……。
なので、マーさんにそれとなく聞いたけれども、分からないと言われた。支配者の横暴なんて、いつの時代でもあるので、1から100まで全部覚えていられるわけがないと。
「所属していた部隊が分かれば、戦争博物館に行けば分かるだろうが、分からないなら諦めなさい」
「そっかー」
こんな話をしたので、山の上にあった要塞跡を巡る事に…。でも、2人を見かけなかったのはどうしてだろうか…。
何故にか、社長だけ戻ってきた。副社長はどうしたのかと聞いても、何も答えてくれなかった。
「まさか、じさ…」
「それは違うから、大丈夫。まぁ、ケジメがつくまで放っておいてあげてくれ…」
「社長って、案外物知りですよね?」
「いや、無駄に長生きはしていないよ。それに、幸太郎君と出会ったのは、ココだからね」
「じゃぁ、昔話を聞かせてください」
「いや、放っておいてって言ったよね?」
「聞くだけですから」
ならいいかと、社長は言うと副社長の昔話を始めた。
当時の副社長は、特務。特殊な任務を行う軍人として、シンガポールに着任してきたそうだ。まぁ、想定通り、血生臭い事をする任務ばかりだったそうだが…。
でも、着任した時期は、既に敗戦が色濃く出ていた時代だったためか、手段を選ばなくなった頃でもあったそうだ。表通りのすぐ近くで、人間の死体が転がっている様な、酷い有様だった。そんな中、社長も軍人として副社長を見かけたと言う。ただ、社長は徴兵されて、副社長は軍学校をでたエリートの差は有ったそうだが。
ある時、社長が仲間と街中を哨戒していると、ふらりと副社長が路地から出てきたそうだが、隣を過ぎ去る時にイヤなニオイがしたため、失礼を承知で引き留めた。これが、知り合った経緯だとか。
その時、副社長は牛刀で斬りつけられて、お腹がぱっくり開いて、中身が出てきていた程の超重傷だったそうだ。即座に病院送りにされて、手術した結果。2週間ほどで全快すると言う、医者さえもビックリな事になり、仕事に復帰できずに敗戦を迎えた。
その際に、切腹して死のうとしたそうだが、失敗して自暴自棄になったのを宥めたりして、復員したとしみじみに語る社長。
復員後は、それぞれ分かれたそうだが、次に会った時は以前よりも更に酷い状況だったらしい。まぁ、妹さんの事があったって事だよね?
その際に、「Project Eden」に繋がる陸軍の計画を聞いて、それを行えるような人員を集める目的で会社を興した。だが、意外と人員は集まらず、諦めかけていたところに私が現れたと。
「でも、それだとシンガポールにいる知り合いって…」
「いや、彼女は戦後に移り住んできたから。そこまでじゃないとは思うけれども…」
「女性関係!?」
「そう、女性関係。元奥さんの子孫って事になるね」
あ。そう言う。妹さんの事があって、別れたって言う事になるんだよね…?ただし、詳細は不明。これ、聞かなければよかったってほど、気になるよ?
「言わんこっちゃない…」
「てか、副社長は帰って来るんですかね?」
「来るだろうね。絶対に…」
そう言って、社会の窓を開けた社長。もう、分かりましたよ…。
観光も満喫したし、そのほかも大体済ませたし。後は答えるだけの状態になって、7日目。マーさんに答えるべく、噴水の前に来たのだけれども、人だかりが出来ていた。
何でも殺人事件があったそうで、警察が現場検証をしていると言う。そこに、マーさんがやってきて「君の連れの男が倒れていたが…」と言った。
「ふ、副社長が!?」
「今見る限りでは、間違い無いだろう。だが、答えを待つ事は出来ないが?」
仕方ない。本当は、最後くらい顔を見たかったけれども……。ん?
後ろが騒がしい。と、そちらを向くと、腹の部分が真っ赤に染まった副社長が立っていた。
「遅れてすまない」
「副社長!?」
これって、刺されて血だらけなんだよね!?
「撃たれて血だらけなのだよ……」
「こんな時に、心を読まないでください!」
「それよりも、早くした方がいい。奴らが来る…!」
その奴らに心当りがあったマーさんが、アランさんとセリューガさんにシールドを張る様に言った。それを実行した直後、副社長の頭めがけて銃弾が飛んできた。銃弾は、シールドに弾かれて地面に穴を開ける。
野次馬が次々に倒れて行き、最後には銃を持った人間しか残らなかった。
「あら?しぶとく生きていたなんて、予想外ね」
「王、言っておくがもう手遅れだ。諦めなさい」
「この死に損ないの癖に、あたしに命令するな!」
名前からして中国人だろうか。派手な衣装の女性が、副社長に罵詈雑言を浴びせている。
「「Project Eden」を渡してもらうわ!」
女性はそう言って、配下に命じて副社長を殺す様に言った。だけれども、クリスさんが刀で細切れにする。やっぱり、速いよこの人…。
「何よ、あんた」
言葉を発する事も無く、女性を切り付けたクリスさん。それを防いだ2つの影があったけれども、姿を確認するまでも無く、赤い水溜りとなってしまった。4本のひしゃげた青龍刀が、かろうじて両手剣使いだった事を証明する。
今度こそはと女性を切り捨てようとしたクリスさんに、警察官が発砲してしまう。それを合図に、周りの警官も銃を手に取り、構えたのだけれども、一瞬で砂となって崩れてしまったのだった。
地面に転がっていた死体も、細切れになった死体も……。だけど、それをしたのは私たちじゃなかった。
腰が抜けて、無様に後ろに下がる彼女のすぐ後ろに、灰色っぽいクリスさんに似た人が現れた。その人は、彼女の事をひょいと、猫を持つ様に持ちあげると。噴水の池に投げ込んだ。
「フォローは必要なかった様だね」
「君は…?」
「磁麗様から話しは聞いているよ。私は瀧山。そこの、瀧山宏徳の主だ」
この人が、瀧山さん…?こうして並ぶと、瀧山さんの方が背が高いし、顔も怒っている様に、目がつり上がっている。でも、一番気になったのは、社長の主って行った事だろう。
「はい?私は、君みたいなのは知らんぞ」
「それはそうだ。君の身体を創ったのは私では無いからな」
「それは、どう言う意味だ…」
「君は、貰い物でね。こう言う、正体がばれるとマズイ仕事に使っているに過ぎない」
「……、では、私の記憶も創り物と言うのかね?」
「君の魂は、本物の人間のものだよ。戦後、君は不慮の事故で死んだ。そこで、勝手にだが使わせてもらった。そう言う事だ」
この人、人間をモノみたいに言ってるよ…。しかも、感情が全く読みとれないし…でも、そんなところは似ている様な……。
「あたしを無視するな!」
王が噴水から上がろうとしたところで、瀧山さんが頭を掴んで池に浸ける。そして、窒息寸前に引き上げて、地面に転がした。
「確かに、この人に任せたら大変な事になるよ…」
つい口が滑ったため、瀧山さんに睨まれてしまった。いや、睨んだ訳じゃなく、見たってことになるんだろうなぁ…。その証拠に、目は怒っていないから。
「君、余計な事を口走るなって、警告されなかったかい?」
「うっ…」
「磁麗様に接触禁止と言われなければ、色々と弄って去勢しているところだよ、それ」
去勢って…イヌネコじゃ無いんだし…。
「瀧山…君がなに用だね」
「私は磁麗様の依頼を果たしているまでです。用事は済みましたので、失礼します」
マーさんが、シーサーみたいな恐い顔で瀧山さんを威嚇した。てか、凄く嫌われている印象…。
「瀧山君、少しばかりその体は貸してあげるよ。君の魂が、離れた頃に回収はさせてもらうけれどもね」
そう言葉を残して、瀧山さんは裏路地へ消えて行ってしまったのだった。
「さて、答えを聞かせてもらおうか?」
「はい。私が世界にかけるのは「皐月」の名前です」
「…………。ほう、どう言う意味だね」
「私と言う命の名前が、世界にかけられる価値があると思います。名前は、命そのものでもありますから」
マーさんは、腕を組んで沈黙してしまった。遊び呆けて、この答えはダメだったかなぁ…?
「想定外の良い答えだよ。良いだろう、許可を出そう」
「ほえ?いいんですか?」
「構わないよ。でも、少しばかり力が不足している。だから、あとひと文字追加してくれないか?我が力を分け与えよう」
あと、ひと文字…。つまり、名字からって事になるよね……。私、三迦堂じゃ無くなるのか…。
「なら、ミカドウのウの字を捧げてはどうか?」
「副社長…!」
「それで、君はミカド…帝になる。めでたいではないか」
副社長の顔色はかなり悪い。今すぐに病院に連れて行った方がいい程に。
「私は、十分に生きた。だから、今度はミカド。君の創った世界で生まれ変わりたい。我儘だが、頼む…」
「…………。分かりました、私頑張りますから…」
5人が見守る中、マーさんの導きで世界を創る。もう、誰も不幸にならない楽しい世界がいいね…。そして、末永く続く様に願いを込めて……。
昔は、純粋だった。だから、そう言う話をされると、恥ずかしくなってしまうものだった。特に、あの時見送ってくれたこの3人がいると。
「よく、飽きもせず、昔話が出来るものだな」
「いや、君の顔を見るたびに「昔はあんなに可愛げがあったのに…」って思ってしまうのだよ」
「クリス、そう言う君は「昔から何も変わらないエロジジイ」だな」
「ああ、純粋な頃が懐かしいよ…」
そう言われても、仕方がない。案外、神と言う存在は注目を集めてしまうモノらしく、有象無象がちょっかいをかけてくるのだ。下手に出るとやられてしまうため、態度は大きく出なければならない。そういうやり方をまさか、あの瀧山に聞く羽目になろうとは、予想外だったが効果はてき面だった。
「クリスも世界を持てば、私の苦労も分かるだろう?」
「もう、お腹一杯です。私は、眺めているだけでいいのさ」
セリューガがお酌して回り、アランがつまみを持って来た。人の台所を勝手に使うあたり、手慣れたものだ。
「ところで、幸太郎君はどうなったのかい?」
「……。エデン」
エデンと呼ばれた神兵を側に呼んだ。一見、天陽に見えなくもないが、少しばかり違う。
「カラドルドか…」
「宏徳には、ゼラと言う名を。幸太郎の妹には、ゼーレと名付けたよ」
「兄妹一緒ではないのか」
「流石に、シスコンは治させるべきであろう?それに、この状態なら生き別れなど、あり得んからな」
一気に酒をあおったミカドの杯に、エデンが酒を注ぐ。感情は無く、ただのロボットの様に無感情だった。他のカラドルドもそうであり、ミカドがそう言ったモノを排除してしまった事は、簡単に分かった。
「少し、お灸を据えるべきかねぇ…?」
「む?エデン」
しかし、エデンはミカドを床に押さえつけ、クリスの手助けをし始めた。
「なっ!」
「我が主、少しばかりお気を沈めてはどうでしょうか?」
「それで、男に抱かれろと言うのは、随分とおかしいと思うが?」
「人肌と言うのは、案外大切なのですよ?」
「後で、絶対に去勢してやる!覚えておk……ひぁ!」
この後無茶苦茶にされたので、無茶苦茶去勢した。
磁麗は日本共和国の神様です。
取りあえず、瀧山のステ置いておきますね。
名称:瀧山
種族:竜鬼
職業:星神
レベル:850000(当時)
HP:3321600000×12
MP:2720640000×12
SP:3152000000×12
ATK:2835200000×12
DFS:2835200000×12
INT:2771200000×12
SPD:2800000000×12
HIT:2768000000×12
運:8800×12
耐性:最強
EXP:0
称号:捨て子の神、星神、竜鬼最強神
スキル:星神(ステボ×10)、主祭神(ステボ×2)、鑑定無効(最強)




