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お前らいい加減にしろっ(A)  作者: 加賀函館
第4章 マインの詩
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044話

古代レキシントン人現る!なお、歳の割に強靭な肉体を持つ模様。


 ルイス・マウントバッテン海軍大佐は、急遽船と飛行艇を乗り継ぎ、エジプトはアレクサンドリア港に。そこから潜水艦に乗り、サラメアの港町カイテナドールへとやってきた。

 そこで待っていた男に案内され、列車で州都サラミスを目指した。キプロス島北部にあるサラミスは、州都と言いつつも田舎町である。

 本当は、南部にあるシエロドールがサラメア最大の都市になるのだが、とある事情によりこちらが州都となっているそうだ。

 州都に着く頃には日も傾いているため、ホテルで1晩を明かし明日、州長と特別顧問と面会して貰うと案内の男はそう予定を話した。

 しかし、このサラメアと言う所は、不思議であった。街の至る所にユダヤのシンボルである、ダビデの星に似たシンボルが数多く存在していた。

「ああ、それはこのサラメアの住民は、98%がユダヤだからですよ」

 かく言うこの男もユダヤだと言った。ナチスの台頭により、数多くのユダヤ人が迫害されている。しかし、彼らはその事を気に留める様子もない。

「確かに、ナチスの非道は目に余るものもありますが、だからと言って我々サラメアには関係の無い事なのです。我々は、ユダヤの中でも異端に分類される派閥でした。そのため、この地に落ち伸び今に到ります。つまり、大陸のユダヤの人々にとっては、忘れられた存在と言う事になりますね」

 正確には、彼らはユダヤでは無いと言う。ユダ民族の住まう地を追われた彼らに新たな安住の地が与えられた。それが、このキプロス島であった。ただ、紀元前500年前後に、この地に先祖が渡ってきたが、その時には既にここはサラメアであったと記されていた。

 そのため、サラメアに住まう人と言う事で、彼らは自らをサラミス人と名乗ったのであった。

 明日会う特別顧問は、この事を良く知った人物であるので、色々と教えてくれるだろうと男は少し興奮気味に語った。

 ただ、マウントバッテンは、観光目的では無く軍事作戦調整のために派遣されてきたので、悠長に話しを聞いている暇は無いだろう。少なくともそうである。

 駅に到着したが、ド田舎であった。しかし、そこには似つかわしく無い車が停車しており、促される様にそれに乗り込んだ。

 田舎のホテルと言う事で、余り期待はしていなかったのだが、しっかりとした造りであり、内装や調度品にも十分気を配り、落ち着いた雰囲気を漂わせていた。従業員の教育もいきとどいており、ここがリゾートホテルだと言われても納得できた。

 事前に、マウントバッテンの好みを調べていたのか、料理や酒にも大きな文句を言えなかった。

 ただ、ここを利用する客の少なさゆえか、敷地はそれほど大きくは無かった。何故、こんな立派なホテルがあるのか疑問を持たざるを得ないほどに…。

「その疑問は、もっともでございます。ですが、この地は州都。そして、州都にいらっしゃるこの国をお創りになられたお方は、保存帝国でも稀有なお方なのです。そのお方に、面会するために保存帝国の王族の方々がここを利用なさるのですよ」

 つまり、ここは王族御用達の宿と言う事になる。しかし、この国を創った人物?この国が出来たのは、最低でも2500年以上前であると聞いた。その疑問も、会って話せばわかるの一言で終わらされてしまい、渋々その日は寝る事にしたのであった…。


 次の日、モーニングを少し長く楽しんだ後、迎えの車に乗り込み、州庁舎へやってきた。王族御用達の名に恥じない、気持ちの良い朝を迎えさせてもらったのだが、つい食べ過ぎてしまったようだ。

 州庁舎では、サラメア州の州長の男が出迎えた。この男は保存帝国人であったが、非常に気さくな男であった。

 王族の相手をしなければならないため、変な人選はできないから、自分はここにいると言った州長だった。しかし、それでも実力はある。昨日泊まったホテルは、彼が用意させた上に、マウントバッテンの情報も伝えていたと言う。できるなと、マウントバッテンは表情にも漏らさずそう思った。

「こもーん!こもーん!お客人ですよー!」

 案内された応接室で待つように言われ、州長は隣の部屋へと入って行った。しかし、目的の人物が見当たらないのか、呼び声を上げていた。すると、奥の方から返事が聞こえた。ただし、州長が入って行った部屋では無く、こちらの応接室の方からだ。

「なんと!もうそんな時間か!」

 左側のクローゼットが開き、緑色の鱗で覆われた尻尾が姿を現した。ピンと伸びた尻尾だったが、慌てる様にブンブンと振られ、「引っかかった、たすけてくれえ!」と声がした。

 急いで駆け付けた州長とマウントバッテンは、尻尾を掴んで思いっきり引張る。

「あだだだだだだ!ぬけるぅううううう!」

 と、するりと抜け、尻尾の持ち主は反対側の壁に叩きつけられた。部屋を飾っていた飾りや、花瓶がガシャンと音を立てて床にぶちまけられてしまい、この部屋は何事かが起こったかの様な、有り様となってしまった。

「うわっちゃー、また怒られるわー」

 尻尾の持ち主は、そう言うと頭の後ろをかく仕草をした。すぐに、ハウスメイド達が飛び込んできて、片付けを始めるが、この状態で話し合いもできないため、部屋を移動する事となった。

 つまり、先程州長が入っていた部屋。特別顧問室にだった。尻尾の持ち主は、部屋の中央にあるソファーに腰掛け、州長とマウントバッテンを向かい側に座るように促した。しかし、部屋には資料らしき紙が乱雑に詰まれており、いつ崩れてもおかしくは無かった。

「さっきは、ありがとーな。ぼくはこの歴親沌保存帝国領サラメア自治州で、特別政策顧問をやらせてもらっている。マインディリストコリエンティア・ファスサ=サラメア・レキシントン:ベツレヘムと言う者だよ。あんまりにも長いから、皆からは「マイン」って呼ばれているよ」

 そこに、茶と茶菓子を持って来たハウスメイドが入ってきた。さささ、とテーブルの上を綺麗にして、ティーセットをセッティングする。

「また、やってしまわれたのですね。マイン様」

「うぐぐ…、角が引っ掛かったんです…」

「ふむ……。確かに、少しお伸びになりましたね、後日お削り致しましょう」

「ああ、頼んだよー」

 メイド長と思わしき女性に叱られ、小さくなったマイン。特別顧問と言うからどの様な人物かと思えば、まるで子供の様な人物だった。……そもそも、人なのか?

「慌ただしくて、驚く暇も無かったようだねー。ぼくは見ての通り、人間じゃない。竜人、またはドラゴノイドと呼ばれる人類だよ。そして、歴親沌保存帝国の旧王族でもある。まーぁ、本業は考古学だから、そっち方面は州長に任せっ切りなんだよねー」

 頭には、まるで悪魔の様な2本の巻き角が生え、猫の様に細い瞳孔を持った黄色い瞳。顔立ちは人間に似ているが、鱗が全体を覆っており、爬虫類の様に長い爪を備えた6本の指を持った手。長い尻尾に、筋肉隆々の足。サンダルを履いているが、前に3本、後ろに1本の鍵爪が見える。服装は、ラフな格好であり、着飾った様子は無かった。鼻先に乗る眼鏡ぐらいだろうか。

 恐ろしいと思える容姿を持つが、雰囲気は気さくに話せる初老の男といった雰囲気だった。実年齢は不明だが、年上である事は間違い無いだろう。

「マイン様、御冗談を。神話に謳われる戦士で、在られたではありませぬか」

「それ、どれだけ前の話だい?4億年とか、5億年とか生きてきたけれども、もうすっかり鈍ってしまって、若い頃の様には動けないんだよー?」

 ただの人物では無かった。と、言うよりもそんな年月を生物が生きていられるのか、ほとほと疑問に思うしか無かった。

「しかし、ファスサは何をしているのだか…。クロちゃん(シュナイター元帥)も随分と、大変そうだったねぇー」

「なら、お手伝いされてはどうでしょうか?」

「ぼかぁー、そういうのはむりだぁー」

 マインは紅茶に手を伸ばし、器用にカップを持つと少し口に含んだ。

「あぁ、いいお茶だねぇ」

「ジェダの最高級茶葉です。もう、殆ど残ってはおりませんが…」

「はぁ、ドイツのせいで…ねぇ。確かに、これは困った事だねぇ…」

 ちらりとマウントバッテンの方を見て、今度は壁に掛けられた地中海の地図に目をやった。それにつられ、2人もその地図を見る。

 フランス占領後、ドイツは戦力を整理してイタリア支援の為にユーゴスラビアと、ギリシア攻略を進めていた。それを阻止するために、英国はギリシア支援を表明しているが、肝心の兵力が心もとない。とは言え、サラメアから貸し出せる人員も無い。まさに、指をくわえて見ているしかない状況だった。

「インド洋方面から、戦艦を回航しては参りましたが、護衛となる駆逐艦の数が足りません」

「そうは、いうのだけれどもー州長、今いる駆逐艦はどんな艦なの?」

 州長は手元に控えさせていた資料を、マウントバッテンに見せながら説明する。


型式:サファラ型

外観:武装トロール

耐久:200

防御:対15cm砲弾防御

武装:

76mm砲×8門

61cm連装魚雷発射管×4基

35mm近接防御機関砲×2基

爆雷投射砲×2基


型式:改橘型

外観:丁型駆逐艦

耐久:1100

防御:対31cm砲弾防御

武装:

14cm高角砲×5門

203cm重噴進砲×1門

35mm近接防御機関砲×2基

噴進爆雷砲×6基


 上記の2種類が今配備されている駆逐艦であった。一番数が多いのがサファラ型護衛駆逐艦で、艦隊に随伴できそうなのが、基本的に単艦行動を行っている改橘型となる。ただし、改橘型は数も少ない。

 では、巡洋艦はどうなのかと言えば…。


型式:ジャイコーニ型

外観:ゴトランド級巡洋艦

耐久:1400

防御:対25cm砲弾防御

武装:

14cm砲×2門

75mm砲×320門

35mm近接防御機関砲×2基

爆雷投射砲×2基


型式:改仁淀型

外観:大淀型巡洋艦

耐久:1800

防御:対31cm砲弾防御

武装:

15.5cm高角砲×6門

41cm砲×2門

35mm近接防御機関砲×2基

噴進爆雷砲×6基


型式:改シュレジェン型

外観:ドイッチュラント級戦艦

耐久:1900

防御:対28cm砲弾防御

武装:

100cm砲×4門

61cm3連装魚雷発射管×4基

35mm近接防御機関砲×2基

噴進爆雷砲×2基


 以上、上記の3種類だと書かれていた。しかし、最後の1種類は、巡洋艦ではない様な気がするのだが気のせいであろうか…?なお、ジャイコーニ型以外は既に出航しており、今すぐに使えるのはこれしかない。

「…………。これは、酷い」

「仕方ありませんよ、ここは2級戦線も良いところですし。それに、この様な事になるのは想定外でしかたからね」

 シュナイター元帥は潜水艦も使えると言っていたが、このラインナップでは全く期待できなかった。


型式:改イ-251号型

外観:波200型

耐久:250

防御:対14cm砲弾防御

武装:

35mm近接防御機関砲×2基

61cm魚雷発射管×4門


型式:改イ-410号型

外観:伊400型

耐久:450

防御:対14cm砲弾防御

35mm近接防御機関砲×2基

61cm魚雷発射管×8門

搭載:

航空機70機

または

305cm噴進弾(中距離弾道弾)40発


型式:改イ-9号型

外観:巡潜甲型改4

耐久:300

防御:対14cm砲弾防御

武装:

35mm近接防御機関砲×2基

61cm魚雷発射管×6門

28cm砲AGS×2門

搭載:

航空機40機

または

車両20両


型式:改甲標的丁型

外観:鮫竜

耐久:100

防御:対38cm砲弾防御

武装:

35mm近接防御機関砲×2基

61cm魚雷発射管×2門

誘導機雷投下機×1門


 この方面はどうやら潜水艦戦力が豊富なようだった。しかも、どの艦も水中高速艦であった。しかし…、物理法則を無視した艦ばかりなのが気になる…。書き間違いではないのかと、州長の方を見るがそうではないと回答があった。

 この方面の洋上戦力は、今は英軍で賄うしか無かったが、潜水艦による通商破壊や対地攻撃を行う事で合意が図られ、行動が起こされたのであった。


 改イ-410号型4隻からなる潜水艦隊は、予定通りイオニア海を北上していた。この艦隊の目標は、イタリア海軍の軍港であるタラントを、航空機で空襲する事にあった。

 イタリア海軍が、戦艦を持ってギリシア本土を艦砲射撃すると言う情報が入った為だった。それを阻止するべく、英国軍が発案し、サラメア州軍が実行する。初めての作戦であった。

 サラメア州軍の実戦経験は、少なそうに見えるが、保存帝国本土へ数年送られる事を前提に徴兵されるため、多少の実戦経験を積んだ兵は多かった。

 そのため、薄暮航空攻撃を仕掛け、航空機はマルタ島へ着陸。その後、キプロス島のアリトリア飛行場へ帰還する事にし、潜水艦隊はタラントから逃げ出した艦隊を洋上で撃滅すると言う作戦に出る事となった。

 この作戦で最も重要なのは、艦船に攻撃を当て過ぎない事にあった。駆逐艦などは爆弾1、2発で撃沈してしまうため仕方無いとして、防御に不安のある戦艦を水深の浅い湾内で撃沈しても意味が無い。

 そのために、港湾施設を攻撃して艦隊を軍港内から出す必要があった。しかし、護衛となる駆逐艦を沈め過ぎれば、出航する事を躊躇うだろう。正に、紙一重の加減が必要だった。

「艦長、時間です」

 副長の合図に頷き艦長が静かに号令を発した。それに合わせ、水中通信が行われ、各艦が浮上を開始する。浮上して30分は、全力で航空機の出撃を行い、潜航後は各艦が己が担当場所へと向かう手筈となっている。

 しかし、この30分の間に見つかってしまえば、この作戦は失敗となる。周囲に音も無く、船影もない深夜2時を回った頃、海中から巨鯨が姿を現した。次々と、航空機をとなしていき、何事も無く潜航。4隻は、結果を知ることも無く、薄紅色の朝を迎えようとしている海上から、光の届かない海へ消えて行ったのであった。

 航空機の攻撃は、港湾施設と貯蔵施設に向かい。飛行場と、迎撃に上がれなかった戦闘機、迎撃に上がったが、敵機の早さに逆にたたき落とされた戦闘機は完全に破壊された。

 停泊中の艦にも多少被害が出ており、巡洋艦ポーラとゴリツィアが中破する被害を受け、他も爆弾の直撃により防空火器に多くの被害が生じていた。

 イタリア艦隊は、一時的にジェノバに退避し、修理の後に再侵攻を行う事を決定し、防戦網の無い軍港外に姿を現したのであった。

 護衛の駆逐艦に護られながら、巡洋艦、戦艦の順で単縦陣を組んでいた。それを、側面に付けていた3番艦が雷撃。巡洋艦2隻に2本ずつ、駆逐艦3隻に1本ずつ命中させ、巡洋艦2隻と駆逐艦1隻を撃沈した。

 魚雷1本は誘導装置の不調からか、沈降してしまったが、まずまずの戦果だった。

 左舷から攻撃を受けたため、左舷側に集中して気を配っていると、右舷側つまり陸側に配置されていた2隻が魚雷を放ち、駆逐艦14隻を撃沈。これにより、駆逐艦戦力の全てが失われた事になる。そこからは、一方的な虐殺だった。対潜水艦戦闘能力の無い艦しか残っていなかったため、出航した艦隊は、2度と同じ場所に戻って来る事はかった。


外観と、中身が合わないのはデフォ。超腐心船とか超腐心船とか超腐心船とか……。

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