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お前らいい加減にしろっ(A)  作者: 加賀函館
第4章 マインの詩
44/72

043話

海軍の話しなので、海軍の偉い方がやって来ます(トノマツ大佐は空軍所属)。

 モンテビデオ沖海戦が行われた余波は、イギリス側にとっては最悪と言ってよかった。まず、戦艦を2隻失った。

 いくら、お荷物と言われていようが、国家の象徴であり、世界7大戦艦の内の2隻だったため、失った意味は図りえない。

 次に、護衛となる駆逐艦や、古参の潜水艦を失った。どこの海軍もそうだが、艦隊戦に参加する駆逐艦と護衛の駆逐艦は、その乗員に到るまで訓練する内容や、投入される作戦が違う。特に、艦隊型駆逐艦を失ったのは痛かった。

 また、潜水艦に関しても同じ事が言えた。ドイツの通商破壊戦に対抗するために、潜水艦による哨戒も重要性が増したため、信頼と実績のある艦と乗員を失った事は、賠償だけで済ませていい問題にしたくは無かった。

 特に、警告を発してきたはずのファスサとの戦闘だったため、英国議会でもファスサは協力する気があるのかと、疑問が上がるほどであった。

 ただし、それは直接言葉を交わし、今は首相となっていたチャーチルも言いたい事であった。そのため、英国議会としてファスサ側の責任者を召喚し、説明を求める事になったのであった。

「海上封鎖を受けている現状で。我が国に来れるのでしょうか…?」

 補佐官の心配を余所に、絶対に来れると踏んでいるチャーチルが居た。とにかく、この方面での責任者らしいトノマツ大佐に事情を確認するのが先決であった。


 ファスサ側の回答は、「現在政策決定権が停止しているため、臨時執行責任者を派遣する」と言う返答だった。そして、来訪したのは、トノマツ大佐では無かった。肝心のトノマツ大佐の姿も無い。

 部屋に入ってきた一行は、女性1人と男2人であり、女性が「臨時執行責任者」であった。

「召喚により参上しました。私は歴親沌保存帝国海軍1等元帥、クロノ・シュナイターと申します。現在、ファスサは本国より、政策決定権が停止させられており、私が代行を務めさせて頂いております」

 シュナイター元帥は、そう自己紹介した。身なりはもちろんキチンとしており、ほぼ無表情の顔は軍人向きの落ち着いた印象を受けた。

 髪は黒…と思いきや、限りなく黒に近い紅色で、集まっていると黒く見え、光の当たり具合によって紅く見える。そして、その髪と合わせる様に、紅い瞳がチャーチルの方を見ている。

 人種は判別できないが、東欧(スラヴ)系であるかもしれなかった。

 チャーチルは自己紹介もそこそこに、本題を切り出した。何故、あのような事が起こったのかと。これは、議会上に入る前に、絶対に確認しなければならない事であった。

 シュナイター元帥は、不思議そうな顔をするが、その後ろに控えていた男の1人が、資料を彼女に手渡した。そう言えば、見覚えがあると思えば、トノマツ大佐の部下だったグロス中佐ではないか。

「モンテビデオ沖海戦…でしたか?さて、何故でしょうかね」

「なぬ!?」

「我が国は、自国防衛のために、戦力を太平洋から大西洋へ移動させただけです。それに、外交上でお断りを申し上げた筈です。何故、湾内に突入する必要があったのか、それを私も聞きたいのです」

 自国防衛のために艦隊を動かしたと言うのは良いだろう、外交上でも断わりを入れていたので、攻撃をするに到ったのは何故かを知りたいというのだ。

 ただ、簡潔に言えば、今は中立国であるファスサが、ドイツに譲歩してしまう可能性があると、現場側が判断したのであった。

 それに、たった1隻とは言え、通商破壊で大きな戦果をあげていた以上、戦闘不能にしなけれまたどこかで現れるのではないかという疑心があったのも事実だった。

 ただし、それはファスサ。いや、レキシントンと言う国を知らない人間が決めた事であり、チャーチルも意図した事では無かった。この国が、他国になびく可能性は限りなくゼロと言っていい。

 究極の孤立主義国家と言っていい国が、他国に干渉するなどあり得ないのだ。それを最近になって気付いたチャーチルは、今回交渉をしてきたという行為が、どれほど異常であったのかを気付いたのであった。

「なるほど。それなら、仕方がありませんね」

「しかし、仕方ないでは済まされないでしょうな。いくらなんでも、死者が多すぎる…」

 あれ?とでも言いたげな彼女に、更に資料を渡すグロス中佐。もう、チャーチルに渡した方が、話しが早いのではないかと思える。

「今回の戦闘での死者は……、ゼロと書いてありますが?」

「……」

「そんな、恐い顔をされても困りますよ。これには、列記とした理由がありますので」

 今回、死者がゼロである理由を話す前に、日本帝国で起こった622事件を話す必要があると。

 622事件は、陸軍将校が発起人となって、海軍がクーデター未遂を起こした事件だった。そして、日本共和国が陸上戦力を投入した結果、1万を超える人間が死亡した。

 しかし、日本共和国は死んだはずの人間を蘇らせ、人的被害を最小限にとどめたのだと言う。死人を生き返らせるとは、お伽話ではないかと、誰もが言うが事実だった。

 日本共和国は、とうとう魂まで再構成できる様になったため、それを実験的に取り入れた結果なのだとか。ただし、人間の肉体を再構築するには、時間も費用モバカにならなかったため、蘇生された人間は機人の機体に入れられたのであった。

 そして、それを知ったレキシントン本国の科学者達も大いに奮起して、ほぼ同じ物を作り出したそうだ。

 極まった科学技術は魔法の様とは言うが、限度を臨界突破してしまっている。

 そして、こちらは肉体も再生できると言うフザケタ仕様であったため、死んだ人間をそのまま生き返らせた事になる。勿論、1度は死んでいるので、その記憶はあるが、トラウマにならない様に、巧みに操作はしていると言った。

「取りあえず、シュペーの乗員と共に引き渡します」

 チャーチルは、頭を抱えざるを得なかった。日本共和国の無茶苦茶加減は、大体察したが、見てそれを再現できてしまうなど、レキシントンも大概である。

「それで、貴国は帳消しにしてほしいと?」

「まさか、その程度で済ませるつもりなど無い。そうではありませんか、マルバラ公?」

「ほう、では、どうしてくれるのでしょうな」

 シュナイター元帥は、今回の事でファスサ側がイギリス側に借りができたと言う事になる。それを理由に、イギリスを支援すると言ってきたのだ。

 先ず、戦艦を6隻譲渡する。次に、船団護衛用の軽空母を200隻。乗員が不足するのが目に見えているので、義勇軍として乗員を10万名程貸し出す。

 海軍戦力だけでなく、空軍戦力もである。取りあえず、早々に出せるスピットファイアMk.12を1万機、彗星艦爆を8千機譲渡。

 陸上戦力として、105mm高射砲と40mm機関砲を各20万門。T-34/75を2万両、M4ハーフトラックを5万両。

 その他必需品の援助も忘れないと、書面で示して来たのであった。

 この役目は、本来ならアメリカが担う事になるが、現在の大陸方面の情勢では、アメリカが参戦する前に、イギリスが倒れる可能性の方が高かった。

「これ程を!?」

「なーに、これは第1弾に過ぎない。こちらの整理の関係上、今年はこのくらいしか援助できないが、来年からはこの3倍は出せるように頑張るので、安心してくれたまえ」

 違う、そうじゃない!と、心の中で叫んで、渡された資料に目をサラリと通すが、食料品や医薬品、趣向品まで揃えていると言うバカらしさに、吹っかけた割に焦りを禁じ得なかった。

 しかも、全て譲渡である。そう、タダだ。タダほど怖い物は無いとは言うが、正にその通りだった。ただし、レキシントン側は、不用品の処分をさせている感覚なので、何かを要求する意図は無かったりする。

「他には無いだろうか?一応、必要と思われるものは、リストに乗せたが…?」

「ああ、それは後日にしよう。これ程の多さでは、精査するのに時間がかかってしまうのでな」

「お、おお、そうでしたね。これは失礼」

 この部屋に入って来た時の様な、気の引きしまった軍人面では無く、無邪気に笑う子供の様な表情となっていた。

 だが、グロス中佐が次の資料を渡すと、元の表情に戻った。

「時に、チャーチル殿。貴方は、ドイツのアフリカ侵攻に関して、対策を取られておいでかな?」

「む。アフリカですかな…。少し不安と言ってよいでしょうな。ジブラルタルやマルタに軍が配備されていようとも、その殆どがイタリアやスペインと言った枢軸国の勢力圏なのですから」

「なら、駆逐艦と潜水艦ばかりにはなりますが、戦力をお貸ししましょう」

「ふむ?どう言う事ですかな」

 チャーチルも情報局長も知らなかった事だが、東地中海に浮かぶ島、キプロス島。そこにある国サラメアも、ファスサと同じくレキシントンの植民地であると言う。そこに配備されている戦力を、一部だが乗員ごと貸し出すと言ってきたのであった。ただし、それには条件があるが。

「今年中に、サラメアに対して戦力増強を行いたいのです。ですので、ジブラルタル以東の情報を頂けないでしょうか」

 この方面に配備されている時空転送艦は、別件で使用中であるため、艦隊を移動させるためには直接移動させるしかないのであった。そのため、地中海を強行突破して、サラメアに向かう必要があったのだ。

 なるべく、たどり着く数は多い方が好ましいため、敵方の情勢が知りたかったのだった。

「軍港の関係上、戦艦や大型空母を整備できません。送れるとしても、ドイッチュラント級の様な装甲艦と言う事になるでしょう」

「いや、ご協力しましょう」

 この提案はイギリス側にとって、かなり有利になる案件だった。東地中海はトルコに面しており、エルサレムやスエズ、エジプトと言った重要拠点も多かった。

 そのため、そこにもう1つ拠点が増えると言う事は、かなり好ましかった。しかも、最も必要になるであろう、駆逐艦と潜水艦を増強できるとあっては、なおさら成功させなければならなかった。

 議会に行く前に、有意義な会話ができたと安堵したチャーチルだったが、問題はまだ終わっていなかったのであった。


 公聴席上で、シュナイター元帥は聞きに徹する姿勢を見せた。言いたい事を好きなだけ言えばいいという態度だ。その態度のせいで、議員や傍聴席に座る人々、マスコミに悪い印象を与えていると言えた。

 いくら、事前に聞いていたとはいえ、冷汗を流しそうになるチャーチルとその一同。

 ただ、シュナイター元帥の機嫌が悪い理由は、事前に聞かされていない事があったからだった。当初、議員だけでの公表が行われ、回答を英国政府が行うと言うものだった。

 しかし、野党を中心として与党も与する形をとって、公聴会へと発展させたのであった。そう、カメラの前に出る事は無いと言ったチャーチルに、怨みがましい視線だけは向けていた。

「貴官は、事の重要性を理解できていますかな?黙っているだけでは、分かりませぬぞ!」

 煽っているつもりだろうが、特に気にせず未だに黙り続けた。今、言葉を発した議員が卓上をバンバンと叩き、ヒートアップする。もう、既に何を言いたいのかよく分からなくなり、呆れた気分になってきた。それでも、表情を崩さず、聞くだけだった。

 息が上がり過ぎて、ゼエゼエと息をつく議員は、周囲の議員に抱えられて壇上を降りて行った。そして、ようやく、彼女が発言する番となった。

「では、発言をさせていただきます」

 一斉にフラッシュが瞬き、視界を白く染めた。ある程度、それが収まったところで発言を再開する。

「先ずは、今回の海戦が起きた事に対し遺憾の意を申し上げます」

 それは、誰もが望みもしなければ、予想もしなかった答えだった。先ず、死者に対しての言葉が先だろうと議場は怒号に包まれた。

 慌てた議長が鎮まる様に、声を荒げるが収まる筈も無く、一部の議員が立ち上がり、警備が動くと言う事態になってしまった。

 およそ30分後。一部の退場者を出したが、ようやく静かになったため、話しを続ける。議長に場を借りて、チャーチル自身が「シュナイター元帥が、全ての話を終えてから、発言をして頂きたいものですな。それでも、我が国の紳士淑女ですか」と発言したため、取りあえずは最後までは話せそうだった。ただし、既に彼女の機嫌はすこぶる悪い。

「更なる遺憾の意を伝えなければならない事に、不満を持たざるを得ませんが、続けましょう。先ず、呼称「モンテビデオ沖海戦」が発生した要因ですが、ナチスドイツ海軍所属、装甲艦グラーフ・シュペーが我が国の領海内に侵入し、武装封殺をした上で寄港を求めた事でした。我が国は、中立国ではあるものの、既に連合国への参加を公表しているため、シュペーのフェ゛ドーラ(ベドーリア)寄港を認めず、強行するのであれば拿捕すると返答しました。これに対するシュペー側の回答は、強行寄港でありました。そのため、我が国は海軍陸戦隊を送り込み、艦上白兵戦ののちシュペーを完全掌握いたしました。その2日後に、貴国から外交方面からシュペーの引き渡し要求がありましたが、既に我が国の兵員が乗船し、回航準備を進めていたためお断りを申し上げました。しかし、貴国海軍はフォークランド諸島に待機させていた戦艦を含む艦隊を出航させ、シュペー周辺の海域に潜水艦を進出させてきました。そのため、急遽我が軍は、太平洋方面の2個艦隊、プエルモント艦隊と、リマ軍港に寄港中だった第36空母艦隊をフェ゛ドーラ(ベドーリア)へ回航しました。第36空母艦隊は艦載機換装作業中であり、航空機を一切搭載していなかったため、南方から接近してきた艦隊と戦闘を行い。プエルモント艦隊は、北方から接近する戦艦を含む艦隊と戦闘を行い、これを全て撃沈しました。しかし、本海戦における死傷者は皆無である事をお伝えしなければなりません。そう、先程皆様は我々に、「死者への手向けが先であろう」とお怒りになられましたが、誰も死んでいないのに、死んだと声高らかに叫ぶ方が、失礼極まりないと本官は思うところであります。本件は、少しのすれ違いから起きたものでしたが、被害となる物が最低限であった事を、神に感謝して終わりの言葉とさせていただきます」

 シュナイター元帥のしてやったり顔が、チャーチルの冷えた肝を更に冷やした。だが、それに反応する人間はいなかった。いたとしても、別件に関してだろう。

 そう、死者が存在しないと言う件だ。通常、戦闘になれば負傷者もいれば、死者も出る。特に海戦なら、それはそれ相応の数になるであろう。それなのに、皆無と言われれば、困惑する。

「シュナイター元帥、説明が足りないとワシは思ったのだがね」

「いいのですかな、チャーチル殿。事前の説明では、チャーチル殿も絶句なさっておられてではありませんか?」

 チャーチルはそれ以上は何も言わず、煙管に火を付けた。彼女は、説明する方が良いと言うならばと、再度前を見なおした。その視線の先にいる人々は、固唾を飲んで説明の続きを欲していた。

「では何故、死者が居ないのかを説明させていただきます。ただし、この説明に納得ができないと言われましても、我々としてはこれ以上お答えする事はできません。何故かは、日本共和国にお問い合わせください。この技術を発明した彼らならば、最適解をお答えできるでしょうから……」

 と、前置きする。正直な話をすれば、彼女は武官なので、技術的な事は答えられないからなのだが、この際どうでもいい。

「皆様も御存知ではあるでしょう。戦えば必ず多くの死者が出る事を。それを今回の様に死傷者数をゼロで終わらせる事は、我々でさえ相当難しいものなのであります。なので、大変残念なことですが本海戦に参加なされた貴国の軍人の方々には、1度戦死していただきました。そして、改めて蘇生させていただきました。失った肉体も、魂も……。ですので、数日後に帰国を果たす方々は、死の瞬間を覚えていらっしゃるでしょう。しかし、その事を気に病まぬ様に配慮させていただきました。まるで、魔術でも使ったかのように聞こえるでしょう。しかし、この事象は単純に科学技術を研鑚した結果に過ぎません。進み過ぎた科学技術は魔法と変わらないという言葉がありますが、まさにこの言葉を現実と化したのが、今回の事なのです」

 しかし、この技術を確立したのは、日本共和国なのでそっちに聞いてくれと、前置きしたにもかかわらず多くの質問が殺到。訳が分からなくなったシュナイター元帥は、来た時とは違う意味で沈黙せざるを得なくなったのである。


 公聴会から一般質疑に変わった次の日。シュナイター元帥は、英国を支援すると発表し、その支援の一部を公表した。

 詳細は政府に渡してあると言い、さっさと下がりたかったが、ここでも質問攻めにあったのは言うまでも無かった。

 彼女は一躍時の人となったのだ。本人は凄まじいまでに、不愉快そうだったが…。

「では、グロス中佐がこちらに残ると…?」

「ええ。彼なら、チャーチル殿も面識があるだろう。それに、トノマツ大佐に鍛えられた人員だ、何かと役には立ってくれるだろう」

 眠そうな顔をしてチャーチルと最後の会談を行った彼女は、秘書の男を連れて帰国の途についた。残されたグロス中佐は、緊張した面持ちでチャーチルの方を向く。

「しかし、やってくれたものだな」

「あの公聴での事でしょうか?」

「それもそうだが、一般質疑でアメリカに頼ろうとしていた議員達を一挙に圧したあの言葉は、正にしてやられたと言わざるを得ないな。彼女は、政治家に向いているのではないのかね?」

「年寄りの知恵と、仰られていましたが……?」

「あの見た目で年寄りとは…。本当に、貴国の基準は良く分からんな」

 確かに、見た目は20代前半だったが、孫もいる立派なお婆ちゃんなのである。今度、孫が結婚すると涙を浮かべて喜んでいたので、もうそろそろひ孫ができる事になる。

 そんな事を想いつつ、自分も人の事は言えないと思うグロス中佐であった。グロス中佐も、見た目は10代後半だが既に成人した子供が3人ほどいる。未成年の子供も4人おり、シュナイター元帥に子沢山だなと言われてしまったのであった。

 なんにせよ。先ずは、ドイツが結成した枢軸同盟をどうにかしなければならなかった。この枢軸同盟に参加したのは参加順に、スロバキア、スペイン、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、イタリア、ビシーフランス、そしてフィンランドであった。その参加国の殆どが、ドイツに庇護を求めているも同然であった。

 FABDA包囲網も、フランスとオランダが事実上解散し、正当政府を掲げる自由フランス軍では、仏印のフランス軍の指揮権は無いにも等しかった。

 だが、アメリカとオーストラリアが残っているため、やはりまだ抜ける事は出来なかった。いや、アメリカに頼る必要性がなくなった今、アメリカに配慮する必要性は無くなったと言っていいだろう。ただし、自国民に対する配慮は必要であるため、状況は未だ苦しいと言っていい。

「ファスサ側の兵力投入は、可能ですかな?」

「今は無理でしょうね。政策決定権の停止と言うのはつまり、無政府状態と同意味です。治安維持軍による占領政策が実施されているも同然であり、軍を送れるほど安定させるには10年は必要でしょうね」

 装備の譲渡や、人員の貸出ができても軍事行動が難しいと言う理由は、それなのかとチャーチルも顔をしかめた。

 何が要因なのかは分からないが、これ程の状態になった以上、ただ事では無いのだろう。

 だが、ダンケルク撤退時に人員だけは回収できたため、レキシントンから支援が届けば大分マシになる事は確かでもあった。


レキシントン的には、粗大ごみをワットマンに引き取ってもらう様な、軽い気分なのです!

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