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お前らいい加減にしろっ(A)  作者: 加賀函館
第4章 マインの詩
43/72

042話

イギリス「お前らいい加減にしろっ」

ファスサ「お前らいい加減にしろっ」

イギリス「え!?」

ファスサ「え!?」


サラメア「彼らに文句言ってもしょうがねーじゃん」

 ポーランド全土をドイツが掌握するのに1カ月もかからなかった。それは、戦車と航空機を同時運用する新戦術、電撃戦のお陰であった。

 特に、戦車はEシリーズと呼ばれる新型が投入され、今までの機甲戦力では全く歯が立たなかったのだ。

 しかし、このEシリーズも、初期不良の解決がなされないまま投入された事もあり、戦闘で破壊されるよりも、故障によって破棄される数の方が多かった。

 それでも、最終的にはポーランドはドイツに占領された事により、破棄された車両は回収され、改修ののちに戦場へと戻って行ったのであった。

 ポーランド陥落により、フランスはマジノ線に兵力を集中する決定を行った。次は必ずフランスに来ると分かりきっていたからだった。

 それに合わせて、イギリスもフランスに軍を送り、万全の態勢でドイツ軍を迎え撃つ準備を始めた。しかし、ドイツ軍は予想外な場所を抜けて侵攻してきた。

 それは、アルデンヌの森と呼ばれる地域を通過して、電撃戦を仕掛けてきたのであった。この地域は、生い茂る木々と湿地帯により、軍の通過は不可能と結論付けられた場所だったが、それでもドイツ軍側は用意周到に抜け道を見つけ出し、ここを使ってマジノ線の攻勢可能地域を迂回する形で、フランス国内に一気に雪崩れ込んだのであった。

 小型軽量ながら、重装甲を持たドイツ戦車に、機動力と指揮能力の低いフランス軍は潰走。イギリス軍も必死に立て直そうとしたが、航空優勢を取られ、機動性に劣る装備では、新戦術と新型戦車に全く通用しなかったのであった。

 パリは瞬く間に無血開城し、敗走する英仏連合軍はダンケルクにて必死に抵抗しつつ、イギリス本土へと撤退する事となったのであった。

 その後、フランス全土を掌握したドイツは、イギリスに対して空爆を始めるのであった……。


 これに対して、アメリカはすぐさまイギリス支援に動こうとしたが、それを議会と国民は良しとしなかった。二度と、戦争はご免だと。

 瞬く間に、ドイツによる通商破壊が活性化したため、大西洋はドイツ軍の潜水艦であるUボートの支配する海となってしまったのであった。

 その様子を歯痒く見ていたのはハルゼーであり、さめた様子でみていたのはニールスであった。その傍らで、不安そうにラジオに聴き耳を立てるニーナは、2人を見ている事しかできなかったのであった。

 この3人は、所属が太平洋であるため、大西洋やヨーロッパで起こっている事に、直接関与できないのだ。ただし、間接的にもできないと言えた。

 日本がいつ動きを見せるか分からない現状では、下手に兵力を移動できないのだ。その筈だが、軍上層部は太平洋艦隊に所属する空母6隻の内、レキシントン級の2隻を除外した4隻を大西洋に回航する決定を下したのであった。

 ベッハーナ運河がいつまでも利用できるとは限らないための処置だと、軍内部には発表された。ここを封鎖されれば、太平洋と大西洋の移動に大きな制限が掛かってしまうのである。と、言うよりも、マゼラン海峡やドレーク海峡まで回り込まなければならなくなり、作戦遂行に色々と問題が生じるのは日を見て明らかだった。

 あまりにも、状況が不安定であるためベッハーナ運河の占領が提案される事態になったが、国民が戦いを望まない以上、提案の域を超える事は無かったのであった。

 ただし、ジョージ6世戴冠記念観艦式後に日本艦隊が東ナスカに寄港した際。彼らは、ベッハーナ運河を使用せずに、いつの間にかサンディエゴの南にあるティファナに現れたのであった。

 そのため、ファスサ側が極秘裏に建造した運河が、別にあるのではないかとも言われている。最悪、そこを使用させてもらえば良いと楽観的な意見も聞こえた。ただし、鹿島を追尾させた潜水艦数隻が未帰還となっており、ファスサ側としては知られたくないと思っているのかもしれなかった。

 それに、占領作戦の提案がある事からも分かるように、アメリカとファスサは友好どころか、仲が悪いと言っていいレベルであった。

 先に吹っかけてきたのはアメリカなので、ファスサ側は防衛しているだけと言えなくもないが、それでもテキサス州の南半分を未だに占領されている身としては、友好条約の締結など夢物語と言っても差し支えなかった。

 陸軍戦力の無いファスサだが、空軍の海兵隊と、海軍の海軍陸戦隊は存在し、それを使って陸上戦闘を行っている。当然ながら、彼らは凄まじく強い。当時の南北戦争よりも前の時代だからと言う言い訳が、全く通用しないぐらいに。

 度々国境を越えようとする人間は存在し、すぐさま見つかって殺されるのだが、銃などは使わず、刃渡り2mにも及ぶ大剣を使ってくる。ほぼ、見せしめである事は知られているが、それでも越境者が後を絶たないのは、ファスサに恨みを抱いている人間が多いからであった。

 だからこそ、国民の目を戦争に向けさせる必要があった。これからの国際社会を牛耳り、発展をするためにはこの戦争で勝つ必要があるのだ。

 それに、イギリスを支援すると言う名目があれば、いくらファスサでもアメリカ軍の通過を認めない訳にはいかないだろうと考えられた。

 疎遠になっているとはいえ、ファスサはイギリス建国を支援した国だ。今回の、ジョージ6世戴冠記念観艦式には、武官を派遣して色々と話し合わせをしていた事は、各国の知るところであった。


 だが、そううまく事が運ぶことも無く、ファスサ側は戦艦や空母などの大型軍艦の運河使用を制限してきた。それは、空母4隻がカリブ海に移動した後のことであり、軽い反発だけで済ましてしまったのであった。

 その、1週間後にはナスカ湾のファスサ側、西側航路の航行を軍民問わず原則認めないと発表。カリブ海にある島々と、アメリカ、イギリスはおおいに反発したが、聞く耳を持たれる事さえ無かったのであった。

 その理由に関して、軍内部の粛清を上げ、情勢不安定な状況での他国の船舶を、領内通過させる事に不安があるためであるとした。

 その宣言の後、今まで単艦で行動していた海防戦艦は姿を消し、巡洋艦を中心とした水雷戦隊が領海内警戒に当る様になった。

 そのため、潜水艦さえも進入する事が難しくなってしまった。いや、彼らの狙いとしては、Uボートをカリブ海から排除するのが目的であろう。あの数の水雷戦隊を配備されれば、少なくともカリブ海の航行の安全は守られる。ただ、肝心のUボートに大西洋を渡る能力が、あるかどうかは定かでは無かった。

 それよりも、誰もが興味を持ったのは、意外なほど豊富な海軍戦力だった。ファスサは中堅の海軍国家並の戦力を有すると言われていたが、実情として海防戦艦を中心とした海上防衛網を敷いていた。

 だから、今回の戦力入れ替えによる、水雷戦隊の登場には、各国の軍事関係者を驚かせた。

 また、その数も多い。1万トンクラス巡洋艦1隻と、6千トンクラス巡洋艦2隻、2千トンクラスの駆逐艦8隻で構成された水雷戦隊は、確認されただけでも30個もあった。これは、イギリスが保有する水雷戦隊の総数よりも多い。戦力的には、もっと強力である。

 特に、1万トンクラス巡洋艦は、ル・ジューラ級に匹敵する砲門数を持っており、通常の巡洋艦隊では対処が難しい相手であった。

 そんな戦力を持っていたが、中立国であったためその戦力が振るわれる事は無かった。しかし、年が明け、ドイツ海軍の水上艦が大西洋に出てくると、状況は変わった。ファスサは主に、南大西洋での活動が多かったが、ドイツの水上艦はそこまで現れる様になったのだ。

 そのため、幾度となく遭遇する事になり、その情報を元に、イギリス海軍がグラーフ・シュペー撃沈作戦を発動したのであった。

 シュペーは単艦での行動と言う事もあり、巡洋艦を中心とした巡洋艦隊7隻の絶え間ない攻撃に中破し、中立国であるファスサの港町であったフェ゛ドーラ(ベドーリア)に逃げ込んだのであった。

 ファスサ側は海軍陸戦隊を送り込み、停泊作業終了と同時にシュペーを拿捕したのであった。

 そのシュペーと乗員の引き渡しを、求めたイギリス海軍の要求を拒んだファスサに対し、イギリスは巡洋艦隊を持って強硬手段に打って出る事にしたのであった。

 後に、モンテビデオ沖海戦と呼ばれる事となるこの海戦は、ファスサがどれ程立場的に弱いかを示すものと言われるのである。


 1940年3月12日。イギリス側は巡洋艦7隻と、駆逐艦3隻、潜水艦6隻を投入して、シュペーの完全破壊を目的としたフェ゛ドーラ(ベドーリア)港襲撃作戦を行おうとしていた。

 急遽決定した作戦であったが、本来得る筈であった功績を再取得できるチャンスと言う事で、作戦に参加する将兵の士気は高かった。

 対するファスサ側の戦力は、イマイチ判らなかった。少なくとも水雷戦隊は、配備されており、ハチ合わせれば、ただでは済まない事になるだろう。

 それでも、潜水艦による必至の情報収集の結果、フェ゛ドーラ(ベドーリア)湾内に海防戦艦と思われる艦影が6隻も確認されたと報告があり、イギリス側はフォークランド諸島に待機させていたネルソン級戦艦2隻と、その随伴艦14隻を出撃させる事となった。

 しかし、その2日前までは、湾内に戦闘艦は無く、湾の入り口も潜水艦が待機していたため、出入りは監視されていた筈であった。また、フェ゛ドーラ(ベドーリア)は港町であって軍の施設がある訳ではない。そのため、ドック入りしていたと言う事実も無かった。

 だが、現実として戦力がそこにあるため、何かしらの方法を用いている事は確かだった。

 とはいえ、このまま襲撃する事は自殺行為と言えた。イギリス側は超弩級戦艦が2隻いるが、ファスサ側も超弩級(海防)戦艦を6隻投入してきていたのだ。しかも、砲の数と威力はファスサ側が圧倒しており、無謀にも突撃を敢行した場合、返り討ちに遭うのは事実だった。そのため、イギリス側は虎の子の空母にを投入して、海防戦艦の戦力を低下させる作戦に出たのである。

 作戦当日、時刻は既に1600を過ぎており、敵上空到着時には当りは暗闇に閉ざされている事になる。わざわざ夜になるのを待つのは、昼間よりも撃墜される可能性を極限まで低くしたいためであった。

 空母フォーミダブルを飛び立った航空隊だったが、敵上空に到達すると、目を疑う光景に出くわした。湾内には、超弩級戦艦と思われる艦影が、少なくとも40もあったのである。それに加え、巡洋艦や駆逐艦。更に空母の艦影も確認できた。

 上空を不自然に旋回していたため、あっという間に多数の対空砲火にさらされる事となった。時限信管の調整に手間取っている様だが、撃墜されるのも時間の問題となりそうだったため、飛行隊長は強襲することを決定し、各機の裁量にて攻撃を行うよう通達すると、機体を降下させ攻撃態勢に入ったのであった。

 この攻撃により、ファスサ側は空母2隻が中破航行不能になり、1隻が大破する被害を被ったが、イギリス側は潜水艦5隻撃沈、1隻中破と攻撃に向かった航空隊の壊滅と言う甚大な被害を受けたのであった。

 特に、航空隊は1機も戻ってこなかったため、状況は不明であり、潜水戦隊は監視の目を担っていただけに、沈められた数の多さにイギリス側は選択の余地がなくなってしまったのであった。

 短期決戦を行い、目的を果たして逃げる。これしか選択肢が存在しなかった。しかも、変化した筈の湾内の状況は伝わっておらず、この異常事態を知らずに作戦を決行する事になったのであった。

 イギリス艦隊は、湾の北方から陸地沿いに進み、湾の最奥部にあるフェ゛ドーラ(ベドーリア)に一気に攻め込もうとしていた。南方からは巡洋艦隊が囮として出ており、既に戦闘が始まっていると言う。イギリス側の圧倒的不利で。巡洋艦隊は、空母を中心とした空母部隊と砲撃戦の真っ最中であり、なまじ大型空母であるため、撃沈する一手に欠けている。

 特に、艦の両舷に艦首から艦尾まで小口径単装砲を並べた空母は手強く、十分な装甲も相まって全く撃破できる気がしないと報告してきた。

 しかし、その報告の直後、戦艦隊も敵艦隊と遭遇した。こちらの敵は、イセクラス戦艦がなんと30隻。後部に設置されたカタパルトからは、信じられない数と見たことも無い航空機が多数発艦している。そんな、「航空戦艦隊」が目の前に現れたのだ。それを護衛するように、奇妙な2本煙突の|フラッシュデッカータイプ《旧式平甲板》駆逐艦が多数。多数と言うのは、既に数えきれない数になっているからだ。

 そのイセクラスが発砲すると、周囲の海面は水柱が乱立し視界が利かなくなった。それだけでなく、これ程の数が放たれたため、第1射であるにもかかわらず、護衛の駆逐艦に命中して撃沈された艦が出た。

 次が来る前に、|フラッシュデッカータイプ《旧式平甲板》が雷撃を敢行。この魚雷は海中を航空機よりも早く疾走し、護衛が射線に割り込む事も出来ず、戦艦1隻に2本が命中してしまう。

 そこに、敵機が多数飛来して爆弾と魚雷を多数投下。一方的になぶられ、イギリス追撃艦隊は渚の彼方にて、消え去ってしまったのであった……。


ファスサは植民地を管理する州政府なので、軍の管理はしていません。今回の海戦も、ファスサは意図していませんでした。


Q.ファスサの海防戦艦ってそんなに強いの?

A.61cm3連装砲を3基搭載。40.6cm3連装砲3基のネルソン級では分が悪すぎます


Q.両舷に単装砲を山盛りした空母って?

A.ミッドウェー級(就役時)です


Q.珍妙な2本煙突駆逐艦って?

A.第102号哨戒艇です


Q.シュペーはどうなったの?

A.鹵獲され再整備後にサラメア(東地中海)方面に配備されました


Q.では乗員は?

A.英軍の捕虜と共に後に英国へ移送されました

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