028話
イギリス人と言えば謀略の限りを尽くすと言うイメージが付いている加賀函館です。
007?しらないなー(目そらし)
先程の話をまとめよう。あの男、ガイテナル・トノマツと言う名のファスナ軍人の話をだ。
本来起こるべきだった歴史と言う言葉は、余りにも不可解に過ぎたものだ。だが、何にせよ、ナチスは武力を持って我が国に害を成す存在になってしまうと言う事になる。
そもそも、ナチス台頭を黙認したのは、ソ連からヨーロッパを護るための防波堤とするためだった。そのソ連が日本共和国によって弱体化した今、このまま台頭を許すのはあってはならない事だった。
しかし、世界恐慌の影響から抜け出せていない列強各国は、自国の事を優先するしか無く、ナチスの再軍備宣言にも遺憾の意を唱えるだけで終わっている。
あの男も、その様な事が分かっていながら、政治的に働き掛ける事はせず、ただ警告するだけにとどめるとは……。
ただ、あの男が所属するファスサ自体が、よくわからない国だ。アメリカの南にあり、陸上の国境線を持っている。そうであるにもかかわらず、陸軍を持っていないと言われている。
南北戦争前に起きた、南軍の侵攻に対して、当時殆ど存在しなかった飛行船を100隻以上を投入して対応。河川網を使った艦艇による攻撃で、最終的には撃退している。今現在の戦力は不明だが、今でも陸軍戦力は保持していない。まるで、侵攻されるのを待ち構えている様で不気味だ。
また、殆ど交流の無い国だが、建国間もない我が国を支援した歴史があるため、戴冠式には必ず招待される。何かしら理由をつけて、祝電で済ませていた彼らが今回軍艦を派遣してくる。そして、所属の軍人が日本共和国を最大級に警戒していると警告しに来た。
解せない。
彼らが日本共和国を警戒する理由が、不明に過ぎている。まるで、彼らの事を熟知しているかのような発言。そして、その焦り様は、眉をひそめない様にするのに苦労するほどだった。
ただ、最大の謎は日本共和国の本来の目的だった。予想と前置きしておきながら、「神を殺す」と言い出した時。信じられない事を仕出かそうとしている。そう、不覚ながら思ってしまった。
あの男も随分と詳しそうに、饒舌に喋っていたものだが、度々被害に遭いながらも、その攻撃を防いだ上で、撃退している様な事を言っていた。つまり、ファスサはどう考えても本来の力を、何故にか封印していると言っていい。
いや、アレ。殲滅魔法兵器の襲撃に備えた武力なら、通常兵器として使用した場合のリスクが高いと言う事なのだろう。それならば、十分に理由となるだろう。
究極超兵器……。殲滅魔法兵器に匹敵すると言っていた、ソレ。日本共和国だけでなく、ファスサも十二分に持ちうるそれ……。
あ。つ、つまり、ファスサが日本共和国を警戒するのは当たり前なのではないだろうか。イズモクラスは殲滅魔法兵器と戦う目的で建造されたと言っていた。その乗員を育成する用の練習艦の配備が、事実上宣言されたと同等と言う事になる。下手をすれば、自国にさえ矛先が向きかねない状況だ。
そうであるならば、ファスサを使って日本共和国を不利な方へ……。いや、駄目だ。こうなったら、どちらへ転んでもよい様に、対策を講じるしかない。
あのホルテと言う男が、本当にその答えにたどり着いているかは不明だが、少なくとも彼が述べている事に乗った方が、大変残念だが良い様だった。




