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お前らいい加減にしろっ(A)  作者: 加賀函館
第3章 ちんどん欧州訪問()
26/72

026話

国家略号


IOJ→日本共和国

ILL→歴親沌保存帝国


IJ→日本(IJN→日本海軍)

UK→グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国

USA→アメリカ合衆国


 IOJが軍艦の派遣を行うと言う報告を受けて、最も焦ったのはこちらだった。当初、軽巡洋艦の派遣を行う予定だったが、見た事のある旧式艦では、流石に色々とまずい。

 本国と相談の上、最新鋭巡洋艦であるル・ジューラ級を向かわせる事となった。本来ならば、公の場に姿を現すのは5年先の予定だったが、この際致し仕方ないだろう。

 ル・ジューラ級は20.3cm80口径3連装砲4基と、同単装高射砲6基を搭載した艦で、グイーントッシ級戦艦の護衛艦として設計されている「防護巡洋艦」だ。

 現在試験中の20.3cm3連装重電磁砲が完成すれば、こちらに換装する事となっている。そして、何よりも対潜兵装が充実している事が挙げられる。各種誘導弾に加え、対潜レーザーも搭載。防護巡洋艦故に、通常艦よりも建造費はかさむが、グイーントッシ級の護衛とするにはこのくらいの性能が必要なのだ。ただし、全長210m、全幅28mと戦艦並みの大きさとなってしまっており、いくら軍縮条約に参加していないとはいえ、これを出すのはやり過ぎと言えた。鹿島さえ派遣されなければ……な。

 そう、最大の問題は「鹿島」だった。観艦式終了後、我が東ナスカに案内する役割を担っているのだ。旧式の軽巡程度では、その大役は務まらず、軍縮型の巡洋艦を出す訳にもいかない。特に、IJ艦はIOJの軍備計画によって、大きく艦型が異なったために、全く出せない状態にある。

 だからと言って、本国から増派を要請する事も出来ず、整理縮小計画の一環で建造が進められていたル・ジューラ級に白羽の矢が立ったのだ。

 戦力としては、IOJの14個方面軍に相当するが、外交で使える艦は、殆どと言うよりも無いに等しい。まだ、お目見えしていないだろう大和型がギリギリか…。しかし、そんな物を出せばIOJが何を言ってくるか……。胃が痛い。

「現在、スクラップになっている艦は、年間1万4千隻。ですが、IOJの懸念通りに世界大戦の勃発があれば、その数は更に減ってしまうでしょう」

 技官長は書面片手に、そう報告してきた。

「最悪、UKに無償貸与するしかないな」

「UKとて、人員の確保に限界があります。それでも、格納庫内の0.002%程度にしかなりませんが…」

「うわぁ」

「UKの事でしょう、駆逐艦と護衛空母を欲しがるでしょう。そう言った小型艦ばかり、減らされても……」

「戦艦と空母が余るか…」

「そうです。この調子では、計画完了まで2万年は軽くかかってしまいます。効率を上げようにも、スクラップの再利用先が見つかりません」

 既に南方集積地では、高さ1000mを超えるスクラップの山脈が、大陸の南北を縦断するように連なっており、大陸プレートを沈ませ始めているそうだ。

 これを一気に無くした場合、大地震が発生するため、中々動かせない。しかし、動かさなければ非常にまずい状況でもある。

「非常に残念ですが、例の方法を試すしか無い様ですね…」

「例の…インゴットにして亜空間格納庫内に保管する方法かね?しかし、最悪再利用不能になるのであろう?」

「超次元物質になったのであれば、それを再利用すればよいだけですので。この際、致し仕方ないでしょう」

 計画の遅延は認められないの返答に頭を悩ませる事となったが、危険と分かっているのにもかかわらず。こんな方法を取らざるを得ないとは……。


「で、派遣する艦には誰を乗せるのかね」

 技術長の隣の軍司令部長が答える。

「ガイテナル・トノマツ1等空軍大佐にお願いしております」

「……。あの、飲んだくれを?」

 頭が痛くなった。飲んだくれの言葉通り、酒呑み飲兵衛だ。しかも、化ける気さえも無い戦闘機人だ。

「流石に、ジェシカの姿はマズイと念を押しておりますが、言う事を聞かない可能性もありますので、サダメリア・グロス2等海軍中佐を同行させます」

 何故、その人選なのかと聞けば、トノマツ大佐は駐IOJ大使を幾度も務めた上級武官であり、IOJ人の扱いに慣れているためだった。先代の鹿島艦長とも交友があり、鹿島とも面識がある。選ばざるを得なかったのだ。

「では、鎮守府長。貴方は一体誰を推薦なさろうと?お言葉ですが、他国がいる以上失敗は許されません。この世界では、この領地は中堅国家なのです。いつ、USAから再戦を挑まれるか怯える様な国なのです。それを、破る事は許されません」

「ぐむ…。なら、せめて、まともな文官も合わせて派遣させてくれ。外交ができる人員が2人だけでは、心もとないからな」

 渋々と言った様子で、会議は終了した。せめて、何も起きなければよいが……。ああ、我らが慈母、破壊神レギオンよ。我らに幸いのあらん事を……!


 仕事を任されてしまった訳だが、この仕事が中々むつかしい。鎮守府長などが、文句を言っているだろうが、俺は前には出ない様にしよう。副官として、海軍から派遣されて来るヤツがいるそうなので、そいつに丸投げる。

 ただし、それは他国の外交などに関してだ。凄まじく嫌な予感がするが、IOJの奴らの事だ。祭典と聞いて、コスプレするに違いない。いや、絶対にそうだ。

 屈強な男共の島風コス……、吐き気がするぜ…。しかも、本来なら諌めるべきである鹿島が、嫌そうな雰囲気の中ノリノリと言う悪夢のような状況。つまり、それを阻止しろと言う事だと、理解した。

「…と、言う事だ」

「え?え?え?えー。なんなんですかねぇそれ……」

 グロス中佐は、信じられないと言ったが、駐在武官時代。奴らは事あるごとにやらかしている。奴らはプロの仕事人なのだ。科学技術を萌えに使う狂人国家なのだ。この時代で、あんな事したら非常にまずい。それが、IOJだけの影響だけなら問題ないのだがなぁ……。

「噂には聞いていましたが、それ程警戒が必要とは…。上層部は全くそう思ってないと思われますが…?」

「そうなら、上の奴らは無能ぞろいと言う事になるぞ」

「流石にそれは…」

 俺は、痛む筈の無い頭が痛くなった。平和ボケと言う奴なのか…?

「何故、本国が我が国にほぼ総て劣るIOJを最重要国家と認めているのか。君達は、全く理解していないのだろうが、彼らはその対外に対する態度の下手さを利用して、最終的に自分達に有利に動くように仕組む。それに、数百年掛ける事はザラだ。通常の国家の長期外交プランでさえ、50年もかける事は無い。スパンの長さゆえに、予想を立てることも、立てた予想を理解し続ける人間を用意する事も、不可能と言っていい。故に、我が国でさえ、IOJ関係の外交に携わる人員は、絶対に動かさない。私が、ここに来たのも、君達にIOJとの交渉を任せられないからだ。そして、君の発言で、その懸念が露呈した事になる。全く持って、苛立たしい事になっ!」

「そ、そんな……」

「いいか、これは戦争なのだ。IOJの奴らに自覚が無い事で、更にタチが悪くなっている。特に今、IJNを管理している小野田幕僚は「新玉んズ」なのだぞ!それを、君は、理解しているのか。ね!?」

「……。申し訳ございません…、私には、力不足です……」

 俺は、頭を抱えるしかなかった。IOJの内部さえも分からぬ人員しかいないこの状況。1カ月も無い状況で、叩き込むのも無理がある。だからと言って、1人では無理がある……。実地で覚えさせるしかないのか……。

 ただ、救いがあるとすれば、三笠宮輝先浩紀親王が鹿島の艦長で無くなった事だろう。もっと、タチが悪い地位になってしまった気がするが……。

 しかし、情報不足過ぎてイマイチ分からないのだが。何故、IOJはこの世界に進出してきたのだろうか。外交省からは何も情報は無いが、嫌な予感がする。と、言うよりも、鹿島を配備する時点で、確実に出雲級巡察航洋戦闘艦を配備すると喧伝している様なものだ。ただ単に国防だけならば、改黄泉平坂級防護巡洋艦で十分な筈だ。それですませない理由。早合点はよくないため、本国に確認する必要はあるだろう。ついでに、現状を報告せねば……。

「どうかなさいましたか、トノマツ大佐」

「いや、これ以上は外交も絡む機密事項だ。君の権限では、話せない。だが、非常にまずい状況になりつつあるだろう。それも、IOJに確認せねばな……」

「マズイ、状況…。ですか…?」

「そのために、情報収集が必要だ。そこで、今ある情報だけでも欲しいのだが……?」

 聞くだけ無駄そうな顔をしたグロス中佐に、嫌みな視線を向ける。

「そうか、致し仕方ない」

「っ!ど、どちらへ…」

「先に現地入りする。君達は、後で来ると良い。ゆっくりとな」

 グロス中佐は、苦虫を噛みしめた様な顔をして俯いた。例え、自分がいても足手まといになるだけである事は理解した様だった。俺は、中年を過ぎたオヤジの姿に外観を変えて、部屋を後にした。


トノマツがダメ人間?まっさかー(棒)

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