表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お前らいい加減にしろっ(A)  作者: 加賀函館
第3章 ちんどん欧州訪問()
21/72

021話

軽トラで戦車を造るお話です

 日日連合軍による満州防衛戦は、中華民国だけでなく世界の陸軍に衝撃を与えた。特に、中華民国はそれまでの日本憎し外交を取りやめ、日本に媚びる外交へシフトした。それに倣う様に、タイ王国も日本に接近した。

 日本に接近した外交をとるのは、今までの列強よりも明らかにおかしい強さを持っているからだ。そして、その力を自国の防衛のために使っていると、言えたからだ。

 実際は、ソ連のウラル山脈以東が潰滅しているので、やり過ぎと言えなくはないだろうが。それでも、日本にとっては、ソ連の北部からの再侵攻を予防した。と言う事であれば、それは理にかなっていた。

 しかし、陸軍が驚愕したのは、ソ連のT-32多砲塔戦車を多数破壊した日本共和国の多砲塔戦車の存在だった。

 その戦車を日本共和国は、大型の輸送機で内陸まで輸送した。その輸送機自体も巨大であり、見学した各国の武官の報告では、機体の内部は天井が高く、パレットと呼ばれる床が上昇することで、3段の搭載スペースができると言う。エンジンは液冷でも空冷でもない新型で、近年研究が始まった燃焼式に近い形をしていた。が、燃焼式はプロペラは付いていないため、二重反転の大型プロペラが付いたこの輸送機のエンジンは、また別のものではないかと予想された。

 また、日本共和国が輸送してきた車両は、戦車だけではない。大量の輸送トラックとケートラと呼ばれる小型トラックもその注目を集めた。特に、ケートラは輸送用として持ち込んだと言うよりも、将兵の足として使うために持ち込んだと言えた。

 前線との連絡には輸送用の中型トラックが使われたが、ケートラは陣地内での移動や、後方基地から市街地への移動や買い出しに使われていた。それに加え、容易に貸出も行われていた。貸出には一か月程度の教習が必要だったが、多くの現地民が毎日の様に借りて行った。一部の武官も貸出を受け、実際使用してみたそうだが、先ず驚いたのがギアチェンジが必要ないと言う事だ。全輪駆動タイプだったが、ギアと呼べたのは「パーキング」「バック」「ニュートラル」「ドライブ」「エンジンブレーキ」の5段階であり、車と言えば高等テクニックが必要と言う概念が吹き飛んでしまったのだとか。日本兵が「軽トラは現地民に渡すように命令があるので…」と、とある国の武官が欲しいと言った要望にそう答えた。日日連合軍撤収後に、ケートラ争奪戦が現地で勃発したのは言うまでも無かった。

 輸送トラックでこれなら、日本共和国が持ち込んだ装甲車も忘れがちだが、重要視するべきだった。装甲車と言えば4輪で機銃を搭載した物だが、この装甲車は常識と言う概念が通用しなかった。砲塔は日本共和国の重戦車の砲塔をそのまま搭載していた。車体は8輪で、車体後部には少数だが人員が搭乗できた。この輪装重戦車と同じ車体で、機関砲を搭載した大型装甲車も投入されており、パルチザン掃討に大いに活躍した。某国が同じモノを試作した様だが、当然ながら正面に射撃しようが、側面に射撃しようが、搭載砲の衝撃で車体が壊れる。特に、側面に射撃なんてすれば横転した。この、輪装重戦車は高速で悪路を走行中に射撃を行っても横転する事も無ければ、精確な射撃すらも行ったのだ。今の常識が通用しない相手…それが日本共和国であると、改めて思い知らされてしまった。


 この報告書を受け取ったナチス・ドイツ総統アドルフ・ヒトラーは、側近のシュペーアとポルシェ博士を呼びだした。

「この報告書の事は本当なのかね」

 ヒトラーからすれば、自分たち以外がこの様な超科学を当たり前の様に使用している事が、信じられなかった。この国の科学力を前にしても、その前には天よりも高い絶壁が立っているのだ。

「大変残念ですが、事実の様です。この、報告書にあったケィトゥーラを2両ほど確保しました。そして、今最優先で解析させておりますが、我々の常識を尽く覆しております。技術者や科学者達は大変困惑しております」

 その現物を見たと言うシュペーアは、パッとしない外観に一時は顔をしかめたと言うが、運転方法を聞いて驚愕するしかなかった。また、現物の解析に従事しているポルシェは、どうしたらそんな風にできるのかと言う事ばかりであり、困惑度合いはシュペーアのそれとは比べ物にならないものだった。

「技術的な事を言えば、アレは工芸品の類では無く、T型フォードの様な大量生産品であります。日本共和国兵に話を聞いた武官の報告では、その日本共和国兵の1カ月と半月分の給与で新車を買う事ができる、程度の低いモノ。という認識でした。ただ、日本共和国本土では、彼らが中国で使用していた方法と同じ使用方法、短距離の移動や雑務作業車として使用しているそうです。無論、ケィトゥーラよりも大型な車両も存在します。しかし、あのような簡単に操縦でき、安価である代物を大量生産できる体制は、見習うべきでしょう」

「……シュペーアの言いたい事は分かった。では、ポルシェ博士はどう思うかね」

 言いたい事をシュペーアに言われてしまったポルシェだったが、答えない訳にはいかない。

「多くはシュペーア殿が仰っていた通りです。しかし、アレの解析をしていて思った事は、彼らの考え方は我々と大きく違っている。ああ、技術的な事ではなく、設計方法としてです。実は、確保した2台は製造した会社が全く異なっていたのですよ。そのため、細部までは異なっておりました。それでも基本部分は、全く同じと言ってもよいでしょう。そして、共用の部品が多く使われていました」

「共用の部品?」

「ええ、核心部分は共用性は無いのですが、例えばドアをロックする部品や、座席、タイヤとホイール。上げればきりがありませんが、これは上手いと感心してしまいましたよ」

「ふむ、共用の部品を使用する意味は何なのかね」

「設計時に共用の部品を使用するだけで、その分の設計にかける時間が短縮されます。製造時は、共用部品なので部品の確保が容易で、決められた取り付け方法を用いれば良いので、生産時間が短縮されます。最終的には、設計が終わってから納車まで、今までよりも随分と短縮されるでしょうね」

 今まで、ネジなどは共用規格が存在したが、大きな部品まで共用するという発想は、見事だとポルシェは言った。

「悔しいが、その発想をもって新型トラクターの開発を後押ししてほしい。この際、使える物はありとあらゆるものを使う。いいな」

 頷いた2人と今後に関しての話し合いは、まだまだ続いた。

この世界の総統閣下は、オカルト方面のステータスをほぼ有していない、かなり真面目な方です。ただし、ヘスが……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ