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お前らいい加減にしろっ(A)  作者: 加賀函館
第2章 ちょっくら、コンビニ逝ってくる
18/72

018話

話しは議場に戻ります。


Q.羽生はどうなったのか。

A.大破して入院しました。

 もし、これから起こる事に、私が題名をつけるとしたら、「無茶苦茶が襲いかかって来た」だろうな。はぁ~。気が重い。俺はそう思いながらも、やるしかないと扉に手をかけた。


 バタンと勢い良く開かれた扉に、誰もが顔を向けた。そこには1人の女性が立っていたが、ずかずかと入室すると、山本五十六の執務机の前で立ち止まった。

「はぁ~い!やまもん、お・ひ・さ☆」

 山本は誰だよ!?と叫びそうな顔で、女性を見ている。確かに、美女だ。

 スラリと引き締まった体に、背中の中ほどまである藍色の髪。典型的なモデル体型に、背は高く160以上は軽くあるだろう。整った顔立ちに、活発そうな笑顔を浮かべており。微笑めば誰もが心奪われるだろう。


 その、服装で無ければな!


 着ている服の面積よりも、露出している肌の面積の方が圧倒的に多い。上着はヘソ上までしか無く、下半身は、太ももの半分までしか無いスカートにガーターベルト。こんなもの、公衆の面前に立つのがはばかられるのではないか?山本達は、本当に現実なのかと頬をつねるが、どうやら現実の様である。

「みんな、私の事、忘れちゃった…の?」

 涙を浮かべ、弱弱しく山本達に自分の事を忘れてしまったのかと問う女性。

 そんな中、たった1人だけ、その女性の名を口にした。が、口にした本人も愕然としている。

「ま、まさか……、永野…修身……か?」

 どこをどうしたら、その名が出るのか、誰も分からなかったが、そもそも永野修身は、大左遷で左遷され閑職に就いている筈だ。こんな奇怪な女性が、永野の筈は無い!と、誰もがそう思っていた。

「せーいち、正解!ふふん、新しく生まれ変わっちゃった、おさみんが今度の連合艦隊司令長官だよ!みんな、よろしくね☆」

 くねくねとポーズを取って、言葉を発する永野(仮)。山本は、女性版小野田幕僚だと気付き、頭痛がしてきた。

 名を発した伊藤整一は、開いた口がふさがらず、何か言おうと口を開けたり閉じたりしている。

 と、言うよりも。誰も突っ込みを入れられす、永野(仮)の独壇場が出来上がってしまった。

 なにやら、大事な事を口走っている様な気もするが、全く頭に入ってこず。永野(仮)が退出した後も、呆然と固まるしかなかった。


 中庭を望むテラスで、永野は盛大なため息を漏らしていた。とうとうデビューしてしまったのだと思うと、死んでしまいたい気分になった。

 だが、残念ながら、この体になってしまったため、ちょっとやそっとでは死なない。そして、この条件を突き付けてきた小野田幕僚の顔が浮かび、小野田幕僚に対して沸々と怒りがわいてきた。しかし、それもすぐに鎮火すると、惚けた顔をして空を見上げるしかなかった。

「俺って、本当にバカ」

「……。永野?」

 聞き覚えのある声が、永野を呼んだ。伊藤整一だ。

「あん、せーいち☆。乙女の憩いを邪魔するなんて、い・け・な・い・子!メッ!」

「何か事情があるのだろうが……」

 先程のテンションで、伊藤を引かせようとしたが、全く通用しなかった。

「はぁ、全くだ。俺もどうにかしているよ」

「はは、前よりも砕けた雰囲気になったな」

「ああそうか。なら、覚えさせられた事が、少しは役に立っていると言う事だな」

 地声の、女性でありながら低い声で、話し始めた。永野は、この姿になった理由を伊藤に語りだした。伊藤は、永野の気が晴れるならばと付き合う事にした。


 永野がこの様な姿になる切っ掛けは、小野田幕僚が突然現れたせいだと言う。日本共和国の来襲時ではなく、左遷後の事だと言う。

 左遷された先で永野は、書類整理を中心とした仕事を割り振られていたと言う。特に、軍縮条約に関する書類の整理を任されていたとのことだが、大体まとめ終わった頃、小野田幕僚がやってきて「もう、書類と睨めっこは、飽きただろう?今度は体を思う存分動かせる仕事を紹介しようじゃないか」と言ったそうだ。

 だが、即時に断ったと言う。どう考えても、それはワナだった。だから、断ったのだと言う。理由を問われ「ぎっくり腰が再発するから」と、適当な事を言うと、小野田幕僚とその秘書官は、捕まえたと言わんばかりの笑みを浮かべて永野の肩を掴んだ。

「ダイジョーブ。ちょっと、チックってするけど、スグに体が軽くなれるカラ☆」

「老化現象とバイバイピー☆です。良かったのです、エレバレシモノヨ!」

 そこには悪鬼羅刹がいた。余りの恐怖に足がすくみ、声も出せず引きずられてゆき、次に目が覚めた時はこの体だったと言う。

「さーて、君には連合艦隊(GF)司令長官になって貰おうじゃないか。ただし、君の、そのままじゃ、駄目だけどね」

 その時に、小野田幕僚に「中二病みたいなテンションで、仕事してね。分からなかったら、修行してきてもイインダヨー?」と強要され、さっきのアレをする事となったのであると。

 あまりに酷い状況に、伊藤も同情をせざるを得なかった。いや、同情とはおこがましい。永野の苦労を考えれば失礼極まりないだろう。

「伊藤にも気苦労をかけるが、先に謝って置く事が出来て幸いだったのかもしれないな」

「永野…。いや、そんな事は無い。貴様だけに苦労をかけさせるなぞ、できる訳があるか」

「ありがとうよ。少し、気が晴れたよ……。よーし!せーいち☆お昼、食べに行きましょ!」

「ああ、そうだな。……に、してもノリノリだな」

 と、永野は今にも吐血しそうな笑顔で、伊藤に「これが日本共和国の常識だ。諦めろ」と、ドスの効いた声で呟いた。その、凄まじいまでの怒声と、威圧に伊藤はじりじりと後ずさる他無かった。


 昼食を取った後、2人は先程の部屋…海軍幕僚部部長室に戻ってきた。

「そう言えば永野」

「んん?どうかしたのかな、せーいち」

「連合艦隊司令長官になったはいいが、肝心の艦艇がほとんどいないぞ」

 永野はポカンと口を開け、部屋を見渡す。誰もが伊藤と同じ事を思っているのだろう。なので、ワザととぼける事にした。

「え?それってどういう事?」

「どう言う事と言われても、貴様も大軍縮に関しては知っているだろうに」

 知っているからこそ、訳が分からないよと言いたげな顔をする永野。山本はそんな2人のやり取りを興味深げに聞いている。

「大軍縮で、海軍の新鋭艦の殆どがスクラップになってしまった。残っているのは旧式艦や武装を減じた艦ばかり。戦力にならん」

「あー、やっぱり」

「む。何がやはりなのか」

「せーいち、すっっっごく、勘違いしているよ」

「は?」

 永野は、仕方が無いな~。と、いじわるでもする様に、伊藤達の勘違いを正す事にした。

「日本共和国は、日本軍の装備品を1つもスクラップになんかしていないのよー」

 誰もが目を見開き、永野の方を一斉に見た。それを確認して、永野は続ける。

「ねぇ、せーいち。日本共和国はこちらにどうやって艦船なんかを運んでいるか知ってる?」

「ああ、確か、ミズホと言う転送艦によって、あちらの世界から、こちらに送っているのだったな」

「うんうん。そうだよ。じゃぁ、こっちに時空転送艦瑞穂が居るなら、日本共和国はどうすると思う?」

 あまりにも説明を端折ったため、伊藤は首をかしげたが、ふと気付いた。

「日本共和国に、我が軍の装備品…艦船や航空機、戦車を送る……な」

「そう言う事。これなら、いくら軍備増強しても、他国は調べようがないもん。それに、いくら人員を訓練してもね」

 それは、衝撃的だった。確かに、第十艦隊の面々を日本共和国へ送ったが、それは教育が必要であったための緊急措置だと思っていた。

 しかし、完全に犯罪と言えるイカサマを正々堂々とやっても、誰にもわからないとは……。

「しかし、あの量のスクラップはそうそう出るものではないぞ」

「そう思う?でもね、あの量のスクラップを日本共和国が集めるのは簡単だよ?だって、日本共和国で1年間に出る鉄スクラップの半分より少し少ないもの」

 ここにきて、日本共和国と言う国の巨大さが、更に分かってしまった。しかも、一気にスクラップにした訳ではなく、1年かけて順次スクラップにしていったため、全く気付かなかったのであった。

「つまりは……」

「そう、我が軍は健在ナリ、だよ。しかも、日本共和国が強化してくれるそうだから。それに、訓練もあちらでできるしー……ねぇ?」

 幕僚部の面々は、驚愕に彩られている。そして、そうであるならば、なおの事さら日本共和国へ行かねばならなくなってしまった。

「まさか、旧式艦ばかりがこちらに居るのは……」

「旧式艦は、戦力として余り役には立たないからだよ。その代わりに、新鋭艦はじゃんじゃん造って貰っているから!」

 話を聞くだけにするつもりだった山本さえも、固まったまま微動だにしなかった。日本共和国の戦力と、少数の旧式艦のみが全戦力と思っていただけに、永野と伊藤の問答は、ある意味良かったと言えた。

 そして、日本共和国もかなりの策士だと思った。敵を騙すなら、先ず味方からとは言うが、本来ならば上層部にあたる自分達まで騙すとは……伝え忘れていただけかもしれないが、やりおるな。

「む、まてよ永野」

「んんん?どーったの?」

「日本共和国に最新鋭艦を建造して貰うよりかは、日本共和国艦を使わせてもらった方がよいのではないのか?」

 伊藤の言った事は、確かにと誰もが思った。日本共和国艦と別の艦を建造するのであれば、同じモノを使用した方が効率がいい。効率と対費用効果を重視する日本共和国にしては、余りにも面倒くさい事をしているのだ。

「あ、それ無理だから」

 永野は不機嫌そうに、ジト目で伊藤を睨む。

「いや、無理じゃないけど。私の現状を見て、どう思う?」

「どう?とは」

「私と同じ姿になれば、同じ装備を使う事はできるよ?ただし、それを将兵全員に強制できるかって、問題だけれどもね」

 あ、無理だ。

「まぁ、知識をつければできなくはないと思うよ。たださー、私が見た限りだと、今までの常識と全く方向の違う事でさー、子供の頃から大人になっても勉強しないと無理じゃね!?って思うんだよねー。この量」

 あまり関係ないが、日本共和国の学校は、小中高が各6年間、大学が8年間の義務教育だと言う。

 それでも、学べる事が少ないと、徴兵時に社会に出た時の勉強(書類の書き方や礼儀作法など)をさせられると言う。日本共和国人は、40歳近くまで義務教育を受けるのか……。それでも、時間が足りないと嘆くのか!?

 ある意味、永野は幸運だったかもしれない。あの、犠牲になった羽生でさえ、軍事知識だけで頭がパンク寸前だった事を考えれば、それ以外の知識が無いと使用不能な日本共和国の装備を簡単使えるのだ。

 老人が新しい家電製品を使えなくなるのと同じで、ここにいる全員が、日本共和国の電化製品を渡されても誰も使えずに壊す未来しか見えないのだ。

 しかし、使えないと困るので、また誰かに犠牲になって貰うか、パソコン教室を開くしかないという現状が!

「ねーぇ、せーいち」

「い、嫌な予感が…」

「せーいち、もこの体になろうよ!」

「そ、それだけは勘弁してくれぇ!」


多分、ながのんは魔法少女にすると映えるでしょうね…

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