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お前らいい加減にしろっ(A)  作者: 加賀函館
第2章 ちょっくら、コンビニ逝ってくる
15/72

015話

ちょっと、畑を耕してくるわ

 ソ連の思惑を無視するかのように、現れた日日連合軍。その数は当初少なかったが、強さが想定外だった。歩兵しかいないが、戦車が次々と鉄塊に変えられてゆき、通常であるならば数で押し切れる筈だった戦場は、後退するしかないほど消耗する事となった。

 これ以上の消耗は、流石にマズイと思った赤軍大本営は一旦、本土へ後退し冬を越した後での再侵攻をするように命令を送った。これにより、一部が粛清を受けたが、それも仕方が無かった。

 使えない人員を刷新し、今度はジューコフ将軍を派遣し、巻き返しを図ろうとしていた。彼らに冬将軍が意味の無い物だと、誰が予想できただろうか。

 それ以前の問題として、日本軍は星を降らせて、赤軍を破滅させると言う、「魔女の婆さんに呪われた」攻撃をしてくる。何を言っているのか、分からないと思うが、真実だった。

 これに対抗は不可能であり、日本海方面から飛翔してくる事は分かったが、止める手立ては存在しない。日本海は、今では日本の海なのだから。

「艦砲射撃……?」

 その報告に、誰もが疑問符を浮かべるが、相手が相手だけに、それが事実であることを認識せざるを得なかった。しかも、その情報は中国に派遣された英国軍が英国本土へ送った内容なのだとか。英国本土の政治家達も、この情報を持てあましていると言う。

 日本軍は情報の機密レベルが下げられたため、今まで機密扱いだった情報まで上がって来るようになったと言う。ただし、どれが本物かが今まで以上に判別しにくくなっている。

 英国本土に送られる情報を分析している情報官が言うには、少なくとも日日連合軍は、中国国土から北上する気は無い。つまり、陸戦をするつもりが無いと言う事になる。その割に、多数の重戦車を配備させており、戦線が押された原因にもなっていた。

 更に加えて、各地にできた野戦飛行場により、小規模部隊でも発見されれば、容赦無く攻撃を受けた。昼夜や悪天候を問わずにだ。吹雪の日でさえ、攻撃を受けたと言う報告に、耳を疑った程だ。

 急速に行動可能範囲をせばめられ、ほぼ総ての部隊が、ブラゴヴェシチェンスク、ハバロフスク、ダリネレチェンスクのいずれかに集まってしまっていた。そして、ダリネレチェンスク郊外に集まっていた30個師団相当の部隊が、敵の艦砲射撃によって壊滅した。

 ダリネレチェンスク自体にも大きな被害が出ており、そこに都市が存在していたのかと言われるほどだと言う。そして、街道すらも破壊され、救援は不可能だとも。元から救援する気は無いが、少なくともダリネレチェンスク周辺域の交通網は、完全に破壊されたとみていいだろう。

 そして、ウラジオストクが完全に陸の孤島となったと言う事でもある。ハバロフスクの司令部が爆撃によって潰滅したあとだっただけに、混乱は拍車をかけていた。

 前線司令部が、前過ぎた……訳ではないだろうが、致し仕方なく、イルクーツクに司令部を置き、シベリア鉄道を利用して物資や兵員の補給を早急に行うように指示を出した。

 しかし、数日後。それは、最悪の報告をもたらした。


 オムスクが大規模な爆撃を受けたと、緊急の報告が上がってきた。このイルクーツクよりもさらに内陸、ウラル山脈の方が近いだろう。例え中国国土からの爆撃だとしても、直線距離で2400km以上はある。

 その様な高性能爆撃機を所有していると言う現実に、吐き気を催した。少なくとも、中国国土では無く、日本本土からの爆撃であろう事は、予想できる。全く情報に上がらないのだ。それしか思いつかない。

 そして、全く見つからずに爆撃を敢行している事から、超高高度を飛行する性能も持ち合わせていると言う事だ。

「悪魔め……」

 彼の口から呪いが漏れたが、どうする事も出来ない。壊滅したのは、オムスクだけでは無く周辺の町もであり、少なくともシベリア鉄道を利用した交通は、使用できない。まだ、河川で輸送できるだけマシと考えよう。彼が、作戦室の扉を開いて、絶望的な顔をする司令部要員と政治将校に対面するのは、すぐのことだった。


 その日の内に、ウラル山脈からイルクーツクの間に存在する大規模都市が、地図上から姿を消す事となった。その次の日は、中規模都市の半分が。次の日は、もう半分だ。

 日日連合軍は、シベリアを人類不毛の地へと変えたいらしい。動く物を手当たり次第攻撃している様なもので、猟師小屋も見逃してくれないと言う。

 たまたま、生き残ってしまった人民が居たとしても、どうする事も出来ないこの状況に、絶望が募って行く。

 そして、ウランウデが艦砲射撃を受けた。その光景を目の当たりにした幾人かの将校や大多数の兵は、発狂してしまった。いや、発狂しない方がおかしいのかもしれない。

 星が、降り注いだのだ。夜空に浮かぶ願い星の様なそれは、地上に舞い降り、命を刈り取って行く。人も動物も関係なく。そこに存在する存在を全て無に返して行く。次は、確実にココだっただけに、士気も秩序も崩壊し、その日の内にイルクーツクの赤軍は、戦闘不能となった。

 ジューコフ将軍は、無念の内にイルクーツクを後にした。その数時間後、この都市も地図上から姿を消したのであった。


マモレナカッタ……

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