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お前らいい加減にしろっ(A)  作者: 加賀函館
第2章 ちょっくら、コンビニ逝ってくる
13/72

013話

英国軍「お前らいい加減にしろっ」

中国軍「お前らいい加減にしろっ」

中共軍「お前らいい加減にしろっ」

ソ連軍「お前らいい加減にしろっ」


日本共和国軍「ふぁっつ!?」

 私はここまでと言ったな。あれは嘘だ。ああ、いや。あの時は全くの嘘を言っていた訳では無かった。

 拿捕されて、すぐに巨艦に移動させられた後、私だけ輸送機に乗せられ、呉海軍司令部の司令室に連れてこられるまでは、殺されると思っていたぐらいだ。

「やぁ、はじめまして」

 気さくに声をかけてきた男は、かなり若く見えた。いや、日本人だから若く見えているだけなのかもしれない。私がいぶかしげな眼で彼を見ていると、ソファーに座った女性が、目の前の席へ座る様に促して来た。と、言うよりも強制だった。

「客人に失礼は…」

「早くしなければ、終わってしまいますよ?」

「うぐぬぬ……」

 白髪と言うよりか、銀髪の女性はティーカップを置くと、紹介は一切せずに私に用件だけ伝える。

「あと、6日程で在印英派遣軍が、ソ連軍と会敵します。その前に、貴方には派遣軍に合流していただきます。アレの着弾に味方を巻き込みたくなければ、ソ連軍から一定距離を保つように、現地指揮官を説得しなさい」

「アレ……と、いうと…」

「戦艦の艦砲射撃に、巻き込まれたらどうなるかなんて、軍人なら分かるでしょ?」

 分かったならもう行った方がいいと、女性は促して来た。が、男の方が引きとめる。

「いやいやいや、納得できる訳ないじゃないか。せめて、これを見せてからにしよう。な?な?」

「早い方が、良いと思うがな。海上幕僚長、貴方がそう言うのであれば、見せればいい」

「許可を取ったのだぜ」

 男はそう言うと、私に画面を見る様に言った。画面に映ったその場所、川岸の様だが、向こう岸には戦車や兵がズラリと並んでいる様子が映し出されていた。と、次の瞬間、青白い光を放つ星が落ちて、一瞬にして白くまばゆい光に辺り一面を染めた。しかも、落ちてきた星は1つだけでは無い。流星群の様に次々と、川岸に落ちてゆき、全てを破壊して行く。

「映像と言えど、すごい迫力だな」

「1発当り、50トンは伊達じゃないからな」

 その言葉に耳を疑った。

「何が、50トンだって…」

「ああ、砲弾1発の重量がだよ。君も、見てしまったのだろ?南海道の、改北海道級戦艦の艦砲射撃を」

 嬉々とした笑顔で、言う男は嬉しそうに言った。あの巨艦はナンカイドウと言う艦で、カイホッカイドウクラスの戦艦だと。そして、あの流星はナンカイドウの射撃した砲弾なのだとも。

 画面に映し出されたそれは、正に地獄だった。地面が赤白く燃え、巨大な穴がいくつもできていた。あれでは、助かったモノはいないだろう。

「この映像を説得に、使わせてはくれないのか」

「それは、ちょっとね…。見せるのは可能だけれども、この映像が入った媒体を渡されても、君に扱えないだろう?」

 男はそう言うと、投影機からチューイングガムの様なものを取り出した。

「取りあえず、これだけど?」

「いじわるするなや」

「実際に、見てもらった方がいいじゃないか」

「どうせ、すぐに見れるとでも言えばいいじゃないか。巻き込まれたら見れないがな」

 男勝りな口調の女性は、なにやら苛立たしげにそう言う。まあ、私もここには用事はない。すぐに、友軍のところに向かわなければ……。私は一礼をすると、部屋を後にした。


「良かったのか?あんな、ベラベラと…」

「あんなの、情報が漏れたには入らないよ。彼が知り得た情報なんて、ホムペにも書いてあることだしね」

「そのホムペが無いこの時代では、重要情報だと言っているのだが?」

「ジェーン海軍年鑑に寄稿でもしてみるか…」

「どこのエイプリルフールだと思われるぞ……」

「ま、改北海道級を常時展開する訳じゃないから、多少漏れても問題にまならないよ」

「そ、…それは、そうだが…」

「巨大戦艦の武装の一部だけしか知らないんだ。大丈夫だよ、かなこ」

「う……?う、みゅぅ……」


 私は輸送機で、北海道にある千歳空軍基地に移動させられた。そこで、日本共和国軍の増援と共に友軍となった英国派遣軍に合流する事となった。私が乗っていたパシフィック・ヴィクトリー号は護衛をつけられ上海への帰路に就いたと言う。

「ハニ52両と8トントラック20両、軽トラック20両…確かに、積み込み完了しました」

 最終チェックが終わると、輸送機は滑走路へとでた。その滑走路は見た事が無いほどに長く、どこまでも続くハイウェイの様であった。


 この、輸送機が通常サイズだったならばな。


 乗り込む時に見えた輸送機は、まるで城か何かかと思えるほど巨大であり、後部の荷物室には輸送船にでも乗り合わせたかと思うほどの量の車両が所狭しと並べられていた。

 このほかに、完全武装の兵員と三段ベットが左右に並ぶ部屋が20部屋あった。輸送機……、輸送機って何だ?

「短い間だが、宜しく」

 機長と握手をして、予定を聞くと、このまま離陸して一路、チチハルを目指すと言う。そこで、物資を降ろしこの機はここに戻って来るのだとか。チチハルからは、陸路だと言うが、程なくのところに英国派遣軍が陣地を構えていると言う事だった。

 機体が急加速すると、重い腰を上げる様にゆっくりと機体が上昇して行く。窓から外を見ると、次の輸送機が滑走路を滑走し始めていた。しかし、その姿を最後まで見る事は出来ず、輸送機は雲の中に入ってしまった。ものの5分もせずに、雲の上に出たが……。

 飛行機に乗る事は滅多にないが、曲芸飛行機よりも軽快な動きをしているのではないか…。船で言うならば、小型ボートか…。鈍足な輸送船が小型ボートの様な動きをする……?物理的に不可能だ。と、言いたいが、日本共和国なら可能だと本心で思えてしまう…。

 余計な事を聞いたら、この満載状態でインメルマンターンをやってのけてしまいそうなので、興味を押し殺す事に専念するしかなかった。


 チチハル郊外の野戦飛行場に降り立つ。着陸してから、先程思った事を聞いたが、案の定飛んでる最中なら、曲芸飛行したのにと言われた。危なかったとしか言いようがない。

 車両を降ろし、輸送機が飛び立つ頃には、こちらも移動準備ができた。先頭は、ハニと呼ばれている重戦車ではなく、さらに巨大な車体を持つ自走高射砲だった。日本共和国兵は、この巨大自走砲をコーカクホーと呼んでいたので、私もそう呼ぶ事にしよう。

 しかし、大きい。どれくらい大きいかと言えば、長さ15m、幅5m、高さ4mと言われた。長さ以外は、バスよりも大きいではないか!?その後ろを長さ8m、幅3mのハニが並ぶのだが、ハニが豆戦車に見える……。それぐらい大きい。

 車列は、コーカクホーの前に、クモと呼ばれるクレーンとドーザーが付いた戦闘工作車が2両。コーカクホーの後ろにハニが長蛇の列を作り、その更に後ろに輸送車や装甲車、その後ろにアカヨロイと言う戦車が2両のみ随伴する。このアカヨロイに乗る兵は特に不気味で、指揮官と思われる男は漆黒の全身鎧を頭の先からつま先までがっちり固めており、表情さえうかがえない。

「そう言えば、一番後ろのヤツらは…」

「気にしない方がいいですよ。特に、エヴィルト伯爵は「悪魔」ですから」

「え゛?」

 私が便乗した装甲車の車長は、それなりの権限があるらしく、状況を含め色々と教えてくれたが、あの漆黒の全身鎧だけは駄目だと言った。しかも、アレが伯爵の爵位を持つ「悪魔」だと言った。か、関わらないでおこう……。

「先頭車より全車へ、周辺警戒を厳とされたし」

 先頭を行くであろう集団から、発砲音がした。車列を止めて、最後尾を攻撃。前後に移動できなくなった隙をついて、中央の輸送車を攻撃するつもりなのだろう。と、車長が説明してくれたが、車列が止まる気配はなかった。

 それもその筈で、少し進むとバリケードらしき物の残骸と、砲撃でできた穴がいくつか開いている場所を過ぎた。通常の軍隊なら止められただろうが、日本共和国軍が相手では無理だった様だ。しかも、そう言った襲撃は通常、峠や谷間の道、湿地帯など道路からそれる事ができない場所で行われる。今通過中の道路か草原かわかりにくい場所では行われない。つまり、相手は戦いには全く慣れていないと、結論付けられると言う。

「全車、速度落とせ。英軍陣地が襲撃を受けている」

 既に、ソ連軍が到達したのかと焦るが、襲撃者は先程の襲撃者同じ者達だった。しかし、私が陣地に足を踏み入れる頃には、戦闘が終わり後片付けが始まっていた。

 そんな私は、派遣軍の司令部が置かれているテントに呼び出された。そう、本来の仕事をこなさなければ。と、張り切っていた私に、派遣軍司令部は大変縮こまっていた。

「日本軍、いや、日本共和国軍コワイ!何なのだあいつら、人間じゃない!」

 私は、状況を全く理解できていなかったので、陸での状況と海での状況の交換を行った。ただ、やはりというか、何と言えば良いのか分からないが、日本共和国軍は平常運転だった。

 そこら辺に落ちている石を戦車の砲口に嵌めて、自爆を狙ったり、ほぼ生身で「ヒャッハー」などの奇声を上げながら戦車に突撃して、擦り傷程度で生還したり、空襲にやってきた爆撃機を拳銃で撃ち落としたり、落下してきた砲弾をバットで撃ち返したり…と、やりたい放題だったらしい。

 その上で、更に洋上から艦砲射撃である。派遣軍司令部はなるべく日本共和国軍に関わらない方法を選択したいと言った。

「君の言いたいことも分かる。だが、もう、自分達の精神が我慢の限界なのだ……」

 現地司令官は、げっそりとしており、力なく私に訴えてきた。そして、私も改めて思う。


 こんなのと戦争たらだめだ。


 派遣軍司令部を説得するよりも早く、士気が崩壊寸前だったらしい。私が、日本共和国側に状況を説明し、英国軍は後方支援に回りたいと要望してみた。すると、案の定彼らはそれを快諾、それを聞いた派遣軍は、あっという間に士気を回復。後方から流星群が、敵陣地に降り注ぐのを見ることが仕事となった。


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