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お前らいい加減にしろっ(A)  作者: 加賀函館
第2章 ちょっくら、コンビニ逝ってくる
12/72

012話

つっよーい(白目)

 陸軍の戦力増強が急務となった1932年夏。とうとう、ソ連が満州へ侵攻してきた。しかし、満州を中華民国へ返還したため、日本は全く手出しが不能だった。

 しかも、中華民国側は日本との国境線に戦力を集中配備していたため、更に状況は悪かった。

 このソ連侵攻を待っていたとばかりに、中国共産党などの野党が活性化、折角安定し始めていた国内がまた混乱する事に。この時こそ使うべきだと、増援を英独などの国々に要請しても返って来るのは生返事ばかり…。増援の代わりに、兵器なら売るよ?と言われ、側近に当り散らす蒋介石。

「こうなったら、日本に助けを求めるのだ」

「し、しかし、それでは…」

「満州の次は、日本を攻撃するつもりだと言えば、黙ってはいられまい。何としても巻き込め!いいな!」

 蒋介石が用意させた外交特使が、日本側と接触すると、日本陸軍を統括する天野将軍との即面談となってしまった。その天野将軍は嬉々とした様子で話を聞き、即座に1個師団を、順次3個軍団を増援すると表明。

 あまりの速さに、特使さえもソ連と競合しているのではないかと疑う始末だった。が、その後の惨劇を思えば、その考えは無いと言えた。

「空挺で1個師団を送ります」

 大喜びで、小野田幕僚に輸送機の出撃要請をする天野将軍。まだ、執務室に残っている外交特使は完全に忘れ去られている。

『あぇ?まだ、高角砲の準備ができてないぞ』

「いいです。このまま行かせます」

『第二中即の連中も御愁傷さまだな……。それでは、私も支援させていただきますか』

「おお、どんと来い!」

 小野田幕僚は本国に連絡を入れ、艦隊の派遣要請をしたと言った。

「航空支援ですか」

『艦砲射撃支援だが?』

「んん?」

西海道(さいかいどう)は出撃できないが、南海道(なんかいどう)が来てくれるそうだ。ぐふふふふ……』

 小野田幕僚の邪悪な笑顔が浮かんだような気がした。そして、天野将軍も邪悪な笑顔を浮かべる。

「それは、ソ連兵も御愁傷様ですねぇ~。ぐふふふふふ……」

 外交特使は、明らかに頼む相手を間違えたと思った。しかし、日本に頼まなければ、誰も手を差し伸べてくれない状況なのも確かであった。特使は、気付かれない様に退出し、一目散に逃げ帰ったのであった。しかし、彼が国に帰る頃には、ソ連が甚大な被害を被っているとは夢にも思わなかったのであった。


 日本が、日本共和国が中華民国の要請を受け、満州に軍を派遣する直前。ウラジオストクのソ連太平洋艦隊の一部に動きがあった。

 その動きは、日本側をけん制するためであった。駆逐艦や魚雷艇で漁船を拿捕しようと動くが、これが大外れとなった。日本共和国が漁業支援と称して、漁船船団に護衛をつけていたのだ。しかも、相手は8インチクラスの砲を備えており、駆逐艦では対処不能。航洋砲艇なので、魚雷艇でも対処どころか追われる事に。

 駆逐艦の艦砲の射程外から、精確に命中させてくる相手に逃げ惑う他無く、それでも突撃してくる相手には、容赦無く艦橋を撃ち抜いて戦闘不能にしてくれた。

 この戦闘で駆逐艦のほぼ総てが、中破無いし大破。魚雷艇の9割が未帰還と言う被害を被ってしまったため、太平洋艦隊司令部が粛清に遭ったのは言うまでも無かった。

 やっぱり、海はダメだとハバロフスクの司令部は、航空機による満州空襲を行い、かなりの戦果をあげていた。これなら、冬が来る前に終わりそうだと安堵していると、彼らが居た場所は木端微塵に吹き飛んだ。

 彼らは知る由も無かったが、日本共和国が中華民国支援のため、派兵した航空機による空襲であり、たった1発の爆弾に、市街地にあった司令部とその周辺が潰滅したのであった。これが、後に米軍を徹底的に恐怖させる「F-7アタック」の最初の一撃であったとは、まだ誰も知らない。


 順調に進行していたソ連軍が、急に停止した。原因は日本共和国軍の歩兵部隊。彼らは自らを「第二中央即応集団」と呼称していた。

 この歩兵部隊は、生身で戦車に突撃して来ては、ほぼ無傷で破壊して行くと言う、「魔女の婆さんに呪われた集団」として、ソ連兵を恐怖のどん底に突き落として行った。その頃になると、ハバロフスクの司令部との通信が不能になり、各個撃破される部隊が続出したため、現場単位の判断で後退。元の国境線付近まで後退する羽目になった。

 それは当然ながら、政治委員の逆鱗に触れたが、それを宥めすかしてどうにか戻ってきた。が、戻ってきた事により、自体は更に悪化していた。

 海軍が壊滅的ダメージを受けた事により、ソ連軍はソレの出現を全く知らなかった。いや、知っていても、止められないだろう。なんせ、その艦は「戦艦」なのだから……。


 私が目撃したのは、正にその時だった。圧倒的な巨艦が、まるでスコールを抜けてきたかのように、突如としてそこに現れた。艦の形からして、空母だろう。しかし、それは空母では無かった。

 巨艦は、艦橋とは反対側に当る左舷を大陸側に向けると、次々と青白い光を放つ何かをときはなって行った。あっという間に空の彼方へ飛んでいくそれは、幻想的であり、私の常識を遥かに超えていた。

「艦砲射撃……だと…」

「船長!」

「分かっている」

 私の乗るパシフィック・ヴィクトリー号の周囲に、あっという間に水柱が乱立した。巨艦の護衛であるAタイプの攻撃だ。水柱の高さから、15から16インチクラスの砲ではないかと予想ができてしまい、蒼白になる。例え、掠らなくても沈む威力だ。

「発光信号!『直ちに停船せよ』繰り返しています!」

「暗号を焼却処分しろ。停船する」

 私はどうやらここまでの様だな。近付いてくる2隻のAタイプから兵員が移乗すると、抵抗も無く船は掌握されてしまった。


15インチ=381mm

16インチ=406mm


宗教禁止だったソ連でしたが、ソ連人(当時)達は魔女を信じていたらしいです。そのため、去り際に残す言葉が「魔女の婆さんに呪われろ」だったとか。

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