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33 光のセレモニー①

今年もよろしくお願いします。

亀更新ですが、お付き合いいただけるとありがたいです。


※初登場のネイサンはナサニエルの愛称です。

(ネイサン=ナサニエル)

「「いらっしゃいませ。オルスター夫人、お嬢様。」」


フィルダナ邸で馬車の扉が開くと、家令のタバスと執事のウォルスが笑顔でエスコートしてくれた。

幼いころから彼らを知っているマリアンヌは思わず吹き出す。


「もう、『オルスター夫人』なんて、いつもは言わないのに。」


生まれ育った生家の昔馴染みの使用人たちが冗談を交えて迎えてくれる。


フィルダナ家にはアーノルドと同じく、外国の客のもてなしに出かけている主のシルベス以外の妻ステファニー、息子のエリック、娘のロゼリアが歓迎してくれた。

家督を譲って暫くしてから郊外に住まいを移した祖父母や近くに住む祖父の弟アントニオ家族も来ていて賑わっていた。

アントニオにはシルベスと年の近い娘が2人いて姉のタチアナはリングラン国に嫁いでおり、妹のフランが婿を取って継いでいる。

タチアナには息子1人、フランには娘2人と息子1人がおり、いずれもユリアーヌと前後5歳も変わらない年齢なので小さい頃はフィルダナ家で顔を合わせれば遊ぶ仲だった。


「みんな大きくなってしまったわね。」


マリアンヌとステファニーが笑い合う。

豊穣の感謝の祈りを全員で捧げた後はダンスをしたりケーム盤でちょっとした持ち物を賭けたり、近況を報告し合い飲んだり食べたり楽しくすごした。


「あら、マリアンヌ。相変わらず…まあ、元気そうね!」


マリアンヌの従妹でもあるタチアナが2人に加わる。

タチアナはわざと高圧的なしゃべり方でマリアンヌに話しかけたが、語尾は笑顔で溢れていた。


「おかげさまで。ふふっ、タチアナの悪女ぶりも相変わらず決まっているわ。」


若いころの2人にはいろいろあったようだが、現在の関係は良好だ。

タチアナのはっきりした顔立ちには当時この国で流行っていたしっかりメイクと濃い色のドレスは、どうも悪役令嬢になってしまうようだ…と気付いたのは結婚してからだった。

だからこそ本当の自分を見てくれる人と結婚できたのだと自負している。



「ユリア、久しぶりだね。」


「ネイサン!本当に。前に母から留学しているって聞いたけれど?」


リングラン国の宰相家に嫁いだタチアナの息子のナサニエルが話しかけてきた。

彼は今年の夏までリングランの隣国ザミルスに留学していたと言い、顔を合わせるのは3年ぶりだった。


「夏と言ったらつい最近ね。今は何をしているの?」


「王城に事務見習いとして入ることができたんだ。それから忙しい父を助けるために我が家の領地経営も勉強中さ。」


フィルダナ家の息子、エリックも2人の話に加わる。


「僕の友だちがリングランにいるんだけど、君が城で噂になっているって手紙で知らせてきたぞ。」


「城で?噂って…俺は聞いたことないぞ。」


エリックへの手紙にはネイサンがリングラン国の社交界で今注目の男性1位だと書いてあったという。

身長はスラリと高く、母親譲りのはっきりした顔立ちと父親譲りの輝くような金髪にアイスブルーの瞳は、申し訳ないが現リングラン国皇太子よりも絵本の中の王子様のようなのだそうだ。

エリックが噂の内容を言うとネイサンはビックリしていて、最近夜会などの誘いや見合い話が多くなったのはそのせいか…と額に手を当ててため息をついていた。



「夜のセレモニーに行きたいのだけれど、一緒に行ってくれる人はいる?」


マリアンヌが午後のお茶をしているときに皆に声をかける。

すると「行きた~い!」と一番年少のロゼリアが手を上げる。

「ロゼが行くなら僕も行くよ。」とエリックが名乗りでる。


「マリーとユリアも行くのにエリックだけではアーノルドに後で何を言われるかわからないわ。ネイサン、あなたも行って。いいわね。」


「もちろん。」


アーノルドの性格をよく知っているタチアナがネイサンにも同行するように命令した。

セレモニーに行くのはユリアーヌ・マリアンヌ・ロゼリア・エリック・ネイサンとなった。


タチアナは菜々緒さんなイメージです(笑)

この度もお読みくださり、ありがとうございます。

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