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Web拍手&そちらへのコメントありがとうございます。

執筆の活力になっています。

王太子殿下の執務室を退出したリカルドとジョゼフは、その日は既に夕刻ということもあってこの続きは後日となり各々の詰め所に戻った。

大臣のシルベス殿が思い当たったこととは何だろう?と思いを巡らせながら、詰所の扉を開けた。


扉を開けたと同時に甘い香りと男ばかりの声が飛び込んできた。


「「隊長!」」

「「ありがとうございま~す!」」


ワイワイと興奮した男たちが騒いでいて、リカルドが入ってくると全員でお礼を口にした。


「先ほど図書館のユリアーヌちゃんが隊長を尋ねて来たんですよ。」


アブルーノが興奮して言う。


「それでですね、隊長にお渡しするものがあるとかで執務室にお通して、少し待たれていたんですが帰る時間だからと包みを机の上に置いていかれました。それから『こちらは皆さんに』って頂いたんですよ!手作りの焼き菓子ですよ!」


アブルーノがリカルドに伝え終わると、なぜか「手作りバンザ~イ」などと歓声がおこり盛り上がっている。


「わかったわかった、よかったな。」


リカルドは面倒臭い輩を軽くあしらいながら、急ぎ自分の執務室に入った。



リカルドの執務机には茶色の上質な紙包みが置かれていた。

それを優しい手つきで開けて中を覗くと、手のひらサイズの四角いパイが2つに三角のパイが2つ。そして隊員たちが手にしていた焼き菓子が数種類入っていた。


机上のメモ用紙に目が止まる。

リカルドの机上にはメモ用紙とペンが常に置いてあるのだが、それには美しい字でメッセージが書かれていた。



アーバンヒル隊長様


お約束もなしに突然来てしまったため、お会いすることができませんでした。

先日は困っているところを助けていただいたので、孤児院の子どもたちとの約束を守ることができました。

本当にありがとうございました。

ささやかなものですが受け取ってください。

四角はミートパイで三角はレモンパイです。


直接お礼を言ってお渡ししたかったのですが、机上に置かせてもらいます。

それでは、失礼いたします。

                              ユリアーヌ・オルスター  




せっかく来てくれたのに…なんということだ!とリカルドは項垂れる。


あの日以来、会える日を楽しみにしながら、忙しい日々をこなしていた。

ユリアーヌの美しい文字にそっと指で触れる。

彼女の名前…ユリアーヌに指で触れる…。


「・・・ ・・・ !?」


「オルスターだって!?」



机上のメモと包み紙を手に自分の執務室の扉を力いっぱい開け、手作りの焼き菓子を手にまだ喜びに沸く第2騎士隊の詰め所を飛び出す。

ものすごい勢いで早歩きをしてジョゼフの所属する第4騎士隊の詰め所に乗り込む。

余りの気迫に第4の隊員たちが、リカルドの向かう方向の道を素早く空ける。


「ジョー!」と言いながらジョゼフの執務室の扉を力強くノックすれば、中から「リカルド?」と驚いた声がして扉が開く。

執務室の扉が閉じると同時にリカルドは部屋に防音の魔法をかけ、ジョゼフに尋ねる。


「なあ、『オルスター』って、アーノルド・オルスター総務官殿以外には?」


「アーノルド殿は確か次男でいらっしゃるから当然、領地の兄君とその子供たちもオルスターだろうね。ただ兄君は社交シーズン以外、王都には来られないようだよ。だから通常、王都でのオルスターはアーノルド殿のことを指すのだろうね。なぜ?」


リカルドは自分の執務机から持ってきたメモ用紙をジョゼフに見せた。

ジョゼフはそれを手に取ろうとしたのだが、リカルドは渡してくれるどころか触らせてもくれないので彼が手に持った状態で用紙の内容を読む。


「これは?ユリアーヌちゃんからのメッセージだね。へぇ、オルスター。ん?…あれ、そうかアーノルド殿の奥方は確かシルベス殿の妹…フィルダナ家の娘だ。なるほど、そういうことであれば色々とこれまでの話のつじつまが合うと言うか、繋がりが見えてくる。」


ジョゼフの母親の話にあったフィルダナ家で見かけた黒髪の少女のことも、フィルダナ家の息子と親しげな様子も年の近い従妹なのだから納得がいく。

彼女の育ちや品の良さ、身に着けているものや持ち物の上質さも。


それに…『王太子の花嫁候補』という噂も。

この噂だけはより真実味が増してしまい、リカルドの心を落ち着かなくさせた。

以前書いた「sideリカルド」のように、この話のこの場面の〇〇視点が読んでみたい…などのリクエストもお待ちしています。

よろしくお願いします。

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