夢病(ムヤ)みな少女
少年が足下を見ると……赤い髪の女が少年の足をつかんでいた
「待ちなさいよ……絶対に逃がさないわよ」
無駄にホラーな雰囲気をだしている。
「そうか」 「バキッ」
「ぐはっ」
とりあえず、頭にかかとを落とした。
「ちょっと、殺す気?」
「この程度じゃ死なないだろ?」
「それでも痛いわよ!」
「あーはいはい、今立て込んでるんでどうぞお引き取りを」
「どうかしたの? ……あっ、こら二人ともケンカしちゃダメでしょ!」
そう言って、ケンカしている二人の元に行くシエリア。
「なんだ、シエリア? 邪魔するな」
「もう、この子どうにかしてくれない? 正直ウザいんだけど」
「なんだと? おm「はいはい、そこまで」
そこで、止めに入るシエリア。
「で? ケンカの原因はなんなの?」
「そいつが男のくせに、女みてぇなことしてんだよ」
「だから、君が女の子なのに男を名乗るのと一緒で、僕が女装しようが自由でしょ?」
「はいはい、落ち着いて。……つまりディア君はヴェリア君が女の子っぽくしているのが気に入らないってことね?」
「ああ」
「でもあなたも、女の子なのに男の子のように振る舞ってるじゃない?」
「俺は、男だ! 体が女でも、俺が男であることにかわりねぇ」
「なら、彼が女の子みたいにしていても良いんじゃないの?」
「ダメだな。そいつは自分が男だと言った、なら男らしくするべきだ!」
よくもまあ、ここまでひねくれたものである。
ディアニス以外の全員がそう思った。
「それが、常識だからかしら?」
「そうだな。男が男らしくするのは当然だ」
「その常識的には、貴方も女の子なのよ?」
「知るかよ。それに俺は男……ただそれだけのことだ」
そこで一瞬目を細めるディアニス。
しかし、俺は飽きてきたのでお茶を飲む……ヘルトゥナからの視線が刺さるが気にしない。
「はあ……じゃあディア君。君は男の子なのよね?」
「ああ」
「男であると言うなら、紳士的な振る舞いをすべきじゃないかしら?」
「うっ……」
「そもそも男なら、それぐらいの事を受け入れる寛容な器を持っているものよね。ねぇ? ディア君?」
「確かに……その通りだ……」
「なら、もうどうするべきか分かるわよね?」
そこで、ディアニスはヴェリアの方を向いた。
「すまなかった」
「あ……うん」
ヴェリアは圧倒的被害者だが、そう思ったのはヘルトゥナとヴェリアだけだった……
「さて、仲直りできたなら次h……ぐふっ……なんで蹴るのかしら、シラカゼ君?」
「無駄に長いし、くだらんからだが?」
「ひどいじゃない! 折角、二人を仲直りさせてあげたのに」
「仲直りという割りには、とても一方的だったが?」
「シラカゼ君~」
ヴェリアがくっついてきた。
「もう、僕のメンタルズタズタだよ……シラカゼ君、僕を慰めて?」
「嫌だ」
「ふにゃ」
とりあえず、ヴェリアを強引に引き剥がした。
「ん? つーか誰だお前?」
「今さらだな……俺はシラカゼ」
「ああ、最後にきたやつか。俺はディアニス」
「そうか、ではよろしく。というわけで、俺はもう行く」
「おう、じゃあな」
そこで次の部屋に向かおうとすると……
「ちょっと待ちなさいよ」
「なんだ? まだ何かあるのか?」
「私もいk……「いや、もうそのくだりはいらん」
「いいじゃない、別に減るもんじゃないし」
「いや、減るだろ」
「何がよ?」
「時間と労力」
「それくらい、いいじゃない‼」
「とにかく、俺は行く」
「なら、ついていく」
「えー? ずるい、僕も行くよ~」
「ん? これは俺も、ついてかなきゃならんのか?」
どんどん余計な荷物が増えていく。
「フフ腐……フィル君の時は見逃してしまったけど……まだ、エルさんg「ドンッ」
振り向くと、シエリアが血まみれで倒れていた。
傍らにはやはり、モーニングスターを持っている少女が……
「さあシラカゼさん、先に進んでください。」
「ああ」
倒れているシエリアをよく見ると、血で文字を書いていた。そこには『やっぱ、エル×シラね』と書かれていた。
とりあえず、靴でかき消した。踏みにじるとも言う。
「む、むねn「ガンッガンッガンッ」
「ふう、これでいいでしょう」
ヴェリアや神様は『うわぁ……』という顔で見ていたが、ディアニスだけは「男らしい」と言ってキラキラした目で見ていた。
とにもかくにも、俺は次の部屋に向かうことにした。