2度目の休日……
「なんだこれ?」
「勝手に触っちゃダメだよ」
俺たちは町の中をまわっていた。今はセラの魔術店ピヨラ支店という店にいた。
ディアニス君は商品の魔術用品の一つに興味があるようだ……それは台の上に黒い人の右手のようなものが腕の途中から立っていた。
その手みたいなやつは何に使うんだろ?
「大丈夫だこれくらい」
大丈夫じゃないよ? 壊したら……
パキッ……
「「「……」」」
……え?
「え? ちょ、これどうするの?」
ディアニス君のほうを見ると……
「ひゅーひゅー」
それ口笛? 吹けてないよ……というかほんとどうするのこれ?
「おい‼ なにしてんだ‼」
うわ~、ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイどうしよう……お店の人に見つかっちゃった。
「……おい‼ これどうしてくれんだ?」
「え、えーと……」
「すまん、連れが壊してしまった」
俺が返答に困っていると、エルさんが助けてくれた。
「謝罪はいらん、弁償しろ」
「いくらだ?」
「3000レイグルだ」
「フィル」
だよねー……シラカゼ君に財布係り任せられてるんだよね。
「はい」
お店の人にお金を渡した。
「おうちょうどだな。もうこんなことすんなよ?」
そう言ってお店の人は店の奥に引っ込んだみたい……はあ……
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「はあ……」
結局あのあとも危ない場面がいくつかあった……
「ああ、腹減った」
「はあ……」
「なにため息なんてついてんだよ」
主に君のせいだよ……
「なんでもないよ……」
「あそ」
俺たちはそれから少し歩いてパン屋に戻ってきた。
「やっと着いた」
すごく長かった……体感時間だけど。
「シエリア、メシー」
「私はメシじゃないわよ。おかえりなさい」
「おう」
「おうじゃなくて、ただいまでしょ?」
「別にいいだろそんくらい」
「……はあ、まあいいわ」
「とりあえず、夕飯できてるから手を洗ってきなさい」
「おう」
ディアニス君は洗面所に走っていった。
「エルさんたちもね~」
「ああ」
「うん」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
夕食……今日のメニューは
「それで準備は終わったの?」
「はい、もともと各地を回っていたので」
「んじゃあ、午後はどうしてたの?」
「お祈りです」
「へー」
「ヴェリア君は何をしていたんですか?」
「僕? 僕は魔術の研究だよ。今は」
「そうですか。頑張っていますね」
「うん」
「フレンさんは?」
「フレンハネ、」
「すみません、難しい話はよく分かりません。ただ頑張ってくださいね」
「ウン、アリガトウ」
「シラカゼ君は?」
「は?」
「いえ、今日は何をしていたんですか?」
「知る必要はない。いちいち詮索するな」
「それは……」
「いいじゃない教えてあげても、別にたいしたことじゃないんだし」
「シエリアさん、流石にそれは……」
「えっ? なに? リリィちゃん」
「別に構わん。シエリア、お前がここで別れるならだが」
「……え? それ本気で言っt「本気じゃないとでも?」
「……」
「もう二度はいわんからよく聞けお前たち。いつぞやにディアニスにも言ったが、俺たちは遠足で来てるんじゃない。異世界で自由に二度目の人生を送りたいやつはここで抜けろ、はっきり言って邪魔だ」
「「「……」」」
「……ょそれじゃぁ」
「は?」
「駄目って言ったのよ‼」
シエリアはそう叫んで椅子から立ちあがった。
「確かに私たちのやることは仕事であって遊びじゃない。でもいいじゃない楽しくやったって。仕事を楽しくやっちゃいけないの?」
「別にそんなことは言ってない。ルールを守るなら楽しくだろうがなんだろうが自由にしろと言ったのだ」
「でも「シエリアさんいいんです」
「え?」
「今のは明らかに私のほうが悪かったんです。人が嫌がってるものを察しないで無理に聞こうとしたから」
「そうですね……でも今回悪いのシエリアさんかと」
「え?」
「シラカゼさんのことを考えずに、勝手に話を大きくしたんですから」
「でも……」
「でもじゃありません……確かに言いたいことは分かります。でも今はゆっくり待つべき時だと思いますよ?」
「そうですね。私も焦りすぎていました。ごめんなさいシラカゼ君」
「別に構わん」
「ほらシエリアさんも謝ってください」
「……ごめんなさい」
「確かに、シラカゼさんのやってることはたいしたことじゃないかもしれません。でも本人にとっては「ねえ、リリィちゃん……」
「なんですか?」
「前」
「……リリィ、お前ここで……」
「ち、違いますよ、シラカゼさん。今のは言葉の綾です。だいたいそういうことになったのもシエリアさんのせいです」
「え? ……え? ちょ、え? それおかしくない? なんで? 今のは私のせいじゃn「問答無用です」
「ぐはっ……なんでいつもこうなるの……カクッ」
「バカだな」




