プロローグ3
「いよいよだな……さて、どんな能力にするかね~」
「残念だけど能力は僕らが与えるものではないんだ。僕らから君たちに贈れるのは加護やスキルだけだよ」
そこで俺は残念そうな表情をしてみせる。
「まあまあ、そう残念がらないでよ? 君の能力は充分いいものだからさ」
「それは知らなきゃ何ともね~?」
俺は目線を横にそらし肩をすくめた。
「まあ、それは最後に発表するから楽しみにしておいてよ。さて、能力やスキルとかの解説をしていくよ」
ヘルトゥナはそう話ながら紅茶をいれなおした。
「まずは能力から。能力は魂の質などに依存しているんだ。だから、その質や種類によって能力の強さや有無、種類といった違いが出てくるんだ」
「一応聞くが、スキルとは何が違うんだ?」
「さっき言ったけど、手に入れ方が違うよ。あと、例をだすと能力は時を操るとかだけど、スキルは技能とかで調理とか剣技とかっていう感じのものなんだ」
「なるほどね」
俺はいれなおされたお茶を飲む。
「ちなみにね? スキルは自分で新しいものを習得したり、より強化することができるよ」
そこでヘルトゥナもお茶を飲む。
「さて、次に魔法の話をするよ。魔法は基本の火・水・氷・風・雷・土・光・闇の8種類の属性と、それらの上位属性や混合したものがあるよ。魔法は肉体の質などで使える属性と強さが変わるんだ」
またテンプレだな……
「つまり、能力の肉体版か。だが、肉体に依存しているなら、鍛えれば上位の属性や他の属性も使えるようになるのか?」
「上位の属性とかは習得できるけど、他の属性は根本的に肉体を構成するもの……まあ材料だね……それ次第だから鍛えても他の属性を得ることはできないよ」
そこで一旦互いにお茶を啜った……さっきからお茶を飲んでばかりいる気が……
「さて、詳しいことはまた今度にして、そこらへんをざっくりとだけど説明したし……はいこれ」
そこで紙が2枚差し出された。
「ん? なんだこれ?」
「それには君のステータスを載せてあるよ。2枚目は他の子の名前のリストだよ。あー……あといい忘れてたけど君は既に新しい体になったから、能力とかも使えるよ。その証拠にほらね」
そう言って俺の目の前に鏡を出してきた。確かにそこには自分の顔ではなく、16歳ぐらいの少年が映っていた。髪の色は白く、綺麗な顔には冷えきった金色の瞳があった。
少年の服装は全体的に黒い。上は左手側がローブのような袖で、それとは対照的に右の袖が半袖というもの。下は黒のズボン。しかし、その上には腰から足元まである黒い布をつけているため、左足の半分程しか見えない。布は左腰と銀のチェーンで繋がっており、銀色の刺繍のようなものがされている。
「一応、綺麗に造ってくれたんだな。」
「まあね~」
次に俺が一番最初の紙を見てみると、そこには俺のステータスが載っていた。だが……
「名前とスキルの欄が書いてないんだが」
「そうそう、そこらへんは希望を聞こうと思ってね。まず、名前なんだけど名字は後でみんなと考えるとしてね? 今の名前だと転生者にあっちの世界の住人だと、ばれるかもしれないから変えてるんだけど……何か希望はある?」
「では、シラカゼで」
そう言うと、ヘルトゥナは『はっ? 何言ってんのコイツ?』という顔をした。
「……ねぇ……話聞いてた?」
「もちろんだ。確かにばれるとまずいが、一人はそういった名前がいたほうがいざっていう時に、転生者を誘い出すのに使えるだろ?」
ヘルトゥナは少し困った顔をした。
「うーん……まあそうだね。一応、君たちの意見を汲みとりたいから、特別に認めてあげるよ。ちなみになぜ名字の方を名前に選んだの?」
「何となくだ」
俺はそう苦笑気味に言った。
「でもそれは……いやそうかい」
苦笑するヘルトゥナ。
「まあ、話を進めるとしてね? スキルの方はどうする?」
「とりあえず、戦闘系のスキルと生活する上で便利なスキルだな」
「具体的には?」
「って言われても分からんから。そこらへんは任せる」
「わかった。ではそっちの方は考えておくよ。他には?」
「自分のステータスを見られないようにするスキルとか、耐性系のスキルはあるのか?」
「あるよ~。耐性スキルも、こっちで考えておくけどいいかい?」
「ああ、とりあえずは任せる」
「それじゃあ、一旦その紙は預かるよ?」
ヘルトゥナがそう言うと、俺の手からステータスが載った紙が消えた。
「よし、それじゃあ僕が考えている間に他の子と会ってきなよ」
「ああ、そっちは頼む」
そう言って、俺は椅子から立ち上がり、一番近くのドアの前に移動した。
そして、ドアノブに手をかけそのままひねった。