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旧・病みパで始める終焉物語(エンドシナリオ)  作者: 紅暮
第1章 はじめてのおつかい
28/32

とりあえず捕まえました

「イリスって?」


「イリスは水と光の神で……」


「シラカゼ君?」


「いや、なんでもない。イリスは、そうだな派閥は違うがこっちに味方してくれるだとさ」


「なぜそんなことが?」


「今確認したからだ。ということで、これでお前は神に逆らう反逆者ってとこか?」


「……分かりました。それが神のご意志とあらば」


「では「ですが、だからこそお願いします。私を殺さないでください」


「はあ?」


「あなた方は私以外もその手で殺めるつもりなのでしょう? なら私はここで死ぬことはできません」


「他のやつを守りたいと?」


「そうです。あなた方も彼らにも死んでほしくないのです」


「よくそこまで偽善を振り撒けるものだな?」


「偽善ではありません。これは私の意思ですから」


「その前に自分の命がなくなりそうだが?」


「ええ、このままですと私は死ぬでしょう。ですから取引しませんか?」


「取引ね~……」


「私を一緒に連れていってください」


「それで?」


「私が彼らを説得します」


「くだらんな。結局お前たちをここで殺したほうが情報が漏れないで済むし、その方が手っ取り早い」


「それはその場凌ぎにしかなりません」


「遅かれ早かれバレるさ。ということで交渉決裂だ。そもそもなんでお前にこんなことを話したと思う?」


「なぜですか?」


「簡単だ。殺すことが確定していたからだ……魔女といわれたお前は転生してなお悲惨だな……」


「魔女ですか……久しぶりにそう呼ばれました。確かに前世では誰もが私を魔女だと呼んでいました」


「特に歴史に名を残すことも後に英雄とされることもなく、お前は死んだそうだな?」


「……そうらしいですね」


「今度もそうだ、お前は死ぬ。話は終わりだ」


「そうですね、しょうがありませんが終わりですね……でもこれだけはお願いできますか?」


「なんだ?」


「彼らを殺すなと言っても無駄でしょう。でもせめて彼らに機会をあげてください……」


「拒否する」


「シ、シラカゼ君さすがに……」


「情にほだされたかフィル? 悪いが俺は人間じゃないんでな。そもそもそんな願いを聞く必要はない」


「……それでは祈るとしましょう。あなた方と彼らに祝福があらんことを願って……」


「では精々祈っていろ」


「……」


「んじゃ、そいつを捕まえて、シエリアたちと合流しろ」


「「え?」」


「何が『え?』だ」


「だって殺すんじゃ?」


「今は殺さん。相手を捕獲できるなら、まずは情報を搾り取りたいからな」


「え? それじゃ……」


「助かったと思うなよ? 最後は殺す」


「……」


「とりあえず捕まえろ」



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



「さて色々と話してもらおうか?」


椅子に座っている俺の前には捕獲した転生者2人がいた。


「でも話したら殺すんでしょ?」


「話さなくても殺す」


「……横暴だね君」


「時間の無駄は嫌いだ。とっとと話せ」


「それじゃあなにから話しましょうか?」


「そうだな……まずはお前たちの関係を聞きたい」


「おや、そういうのはプライバシー保護を考えると……」


「死人にプライバシー保護などいらんだろ? ましてやこれからそうなるやつに」


「あのさシラカゼ君」


「なんだ?」


「もう殺す必要ないんじゃ……」


「いつかバレるとはいえ、今ベラベラと俺たちの存在をしゃべられると面倒だ。ということで必要だ」


「僕はしゃべらないよ」


「お前はそっちの聖女よりも口が緩そうだ……絶対殺す」


「うーん……」


「いいじゃない別に。生かしてあげても」


「さっきからお前たちは何を言ってるんだ?」


はあ……やれやれ


「お前たちは願い事を叶えて欲しいんだろう? ならこの任務で失敗したくないはずだ」


「そうだけど……」


「こいつらを見逃がせば、俺たちの存在を他の転生者たちに伝えて、俺たちを殺しに来るぞ」


「そう……かな?」


「そうだろうよ。特にそこの男は」


「なら聖女さんの言う通りに一緒に連れていけば……」


「隙をつかれて殺されるのがおちだ」


「じゃあ監視すれば……」


「そんなことに労力を消費する価値はない。完全にただのお荷物だ」


「うーんそれじゃあ……」


「しつこいなお前」


「だって良い人だし」


そういえばこいつ、人が好きなんだったな……なら。


「そうかお前は人を食べたいんだったな? いいぞこいつら食べても」


「え!? ちょ、食べられるの? 僕達……」


「よかったな」


「……食べない」


「は?」


「俺は食べないよ、シラカゼ君」


「……そうか」


「だから彼らを連れていこうよ」


「だめだ」


「うぅ……」


「シラカゼ君」


「なんだヴェリア? お前もか?」


「そうじゃないけど、その人たちを殺さないほうが良いと思うよ」


「なぜだ?」


「それは……」


ヴェリアは俺の耳元で囁いた。

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