危険なパン屋と……
「着いたか?」
「着いたよ」
「ではそこで待機だ」
「分かった」
「フレン魔物の方は?」
「OKダヨ」
「では4人は中に入れ」
「はーい」
「今は夜だから住人は寝ている。音をたてずに慎重にいけよ」
そうしているうちに、4人はパン屋まであと半分というところまで移動していた。
「よし、魔物を入り口に向かわせて戦わせろ」
俺の合図で魔物たちが入り口に向かう。東側の方ではシロが魔物を率いている。
「いよいよだな……」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「シラカゼ君、こっちはパン屋に着いたよ」
僕たちは4人はパン屋の前にいた。
「二手に別れてそれぞれ正面と裏口で待機しろ。裏口にまわったら同時に侵入しろ。その間にヴェリアは結界を張れ。そろそろ入り口の出来事がそちらにも広まる」
「了解」
僕は言われた通りに二手に別れて、正面で待機しながら結界を張った。
「こっちは裏口にまわったよ?」
「結界は?」
「張り終わったよ」
「では静かに侵入しろ」
扉の鍵を開けて、中に入った。パンを置く台、白いおぼんとトング……普通のパン屋みたいだけど……
「ヴェリア、その扉に入れ」
「了解」
僕はレジの奥の扉を開けた……
「ここは……」
「そこは厨房だ」
「……えっ? ここが?」
「そうだ」
僕の目の前にはパン屋の厨房というには、あまりにかけはなれすぎている光景が広がっていた。
「なんだよこれ……確かにパンの材料と器具はあるけどよ」
「厨房というよりは魔女の家ってかんじだよ」
魔物の手とかが吊るしてあるし、変な色の薬が入った壺とかあるし……
「気にせず先に進め。エルたちはもう着いたぞ」
「あっ、了解」
僕たちも扉を開けて進んだ。
「ここはリビング?」
「そうだ、お前たちの右の扉に転生者の1人がいる」
「それって……」
「パン屋だ」
「なんかやだよ」
「文句を言うな。だいたいお前たちの方が楽だぞ」
「そうなの?」
「ああ、そんなことよりドアの前に移動しろ」
「了解」
「移動したな?」
「うん」
「では、ドアごとふっとばせ。バカのせいで気づかれた」
そういえばさっき上からすごい音が……
「おっしゃーー」
ディアニスがホルスターから銃を抜き、壁に向かって撃ち込んだ。
放たれた銃弾……ていっても魔銃だからただの銃弾じゃないんだよね。銃弾が青いオーラみたいなもの纏って扉を壁ごと吹っ飛ばした。
「おっ?」
まあ銃弾は扉を破ったけど、中にいた人物に何かを投げられて止められちゃった。
「やれやれ、まさかこんな時間にお客さんが来るとはね」
部屋の中には……
「うわ~お兄さんかっこいいね」
イケメンのお兄さんがいました。
「うーん……まあ、それはどうもかな?」
髪と瞳はオレンジ色で、歳はフィルさんぐらいかな? 着けている紺色のエプロンがよく似合う。
「いちいちイケメンに反応すんな」
「いいじゃん別に」
「よくねぇよ。あいつは敵だぞ」
「いちいちケンカするな」
「おや? どうやらお客は4人だけじゃないようだ」
4人って言ったってことは店内に侵入者用の防犯システムがあったか、もしくは……
「察するに、君がこの子たちのリーダーってとこかな?」
「そうだ」
「それで? どういうご用件で?」
「お前と上の階にいるやつを殺しに来た」
「へー……一応聞くけど、なぜ?」
「お前たちが邪魔だから」
「アハハ、確かに理由ではあるね……でも僕としてはここは平和的に解決したいかな?」
「普段の行動からは平和の欠片も感じられないが?」
「戦いたいところなんだけど……君たちと戦えば死ぬんだよね~。僕はまだ死にたくないな。それに上にいる彼女がうるさそうだし……」
「そっちの事情など知らん。話は終わりだ。ディアニス、寝てないで戦え」
ディアニスは立ったまま寝ていた……よだれを垂らしてる……汚い。
「ん? 話長えんだよ。ふぁーあ、さてやるか」
「ん~、残念だな~。僕はお兄さんと楽しいことしたかったな」
「早くしろ」




