ご想像におまかせします
「眷族ってなんだ?」
「この場合の眷族っていうのは、主従関係のことだよ」
「へー」
「眷族になると隷族しなければいけない代わりに、主人の力の片鱗をだせるとか色々な特典があるよ」
「それじゃあ、なんでさっき捕まえたやつらにはしないんだ?」
「はあ、やっぱりばかだな君は~」
「なんだと……」
「はいはいケンカしない……それで?」
「そもそも眷族契約を結ぶには実力……つまり自分より弱いのはもちろんだけど、ある程度の実力や知識とか色々と条件があるし、なによりも必要なのは格付けだよ」
「格付け?」
「格付けっていうのは種族や魂の質とかで決まるもののこと。簡単に言えば才能だね」
「ほうほう、つまりは希少なものだと」
「そういうこと」
「でも、それだけなら他の魔物と契約しない理由にはなってないわよね?」
「この契約に限らず、契約っていうのはルールがあってめんどうなんだよ? 眷族契約の場合は契約の回数が決まってるんだよ」
「なるほどね。それで気軽にできないんだ」
「残念だがヴェリア、俺の場合はそれに当てはまらんぞ?」
「どういうこと?」
「俺の契約できる回数に実質限度はない」
「ふぇ? ……そうなの?」
「そうだ」
「じゃあさっきの魔物と契約しなかったのは……」
「回数に制限があるからではなく、単純に値しないと思ったからだ。実際この戦いで生き残ったやつは放してやるつもりだしな」
「……」
「なんだその顔は?」
「いや、凄いなって……」
「このパーティーならこのくらい普通だろ?」
「それもそうだね。うんうん」
「さりげなく、くっつくな……で? お前はなるのか? ならんのか?」
魔物は少しの間考える素振りをしてから肯定するように頷いた。まあ死ぬか生きるかの2択だからな。
「んじゃ、契約するか」
俺は椅子から立ち上がって、魔物の前に移動してしゃがみ、魔物に目を合わせた。
「俺の目を見ろ……もう一度聞くが、お前は俺に忠誠を誓うか?」
魔物は俺の問いに頷く。
「では契約成立だ」
俺は魔物の頭を撫でた。するとそこから魔物の体が徐々に白くなっていき、最終的に体全体が白くなった。
「契約っていうわりにあっさりしてんな」
「それは人によるよ。君が想像しているようなものもあるさ」
「なんで白くなったんだ?」
「契約の証だ。普通はマークを刻む場合が多いらしいが、俺の場合は白くなるらしい」
「へー……さっきよりも立派になったな」
確かに、さっきまでみすぼらしかった魔物は、毛並みや翼が綺麗になり爪などもより鋭くなった。
「なかなかのイケメソになったな」
「てか、オスなのか?」
「さあ? どうなんだ?」
俺がそう聞くと、魔物は頷いた。
「だそうだ。それよりヴェリア、結界を張り直せ」
「はーい」
「そいつも強化するのか?」
フレンを見てから魔物を見る。魔物は心配そうにこっちを見つめる。
「いや、今はいい。眷族契約分で充分だろ」
「そう。それじゃあ私はいくわね」
「ああ、そうだな」
奥の方からエルとリリィが歩いてくるのが見えた。
「あ、おかえり」
「はい、ただいまです」
「獲ってきたものはシエリアのところにもってけ」
「はい、分かりました」
「そういえば、ここらへんの魔物とか動物って魔石ついてないね」
「普通はそうらしい。俺たちがいたあの森は魔石を生成しやすかったらしいしな」
「そういえば、あそこは魔力の多い土地だったね。おかげで結界の維持もしやすかったし」
「まあそれはともかく、お前たちは夕飯まで明日の準備をしていろ」
「はーい」
「シラカゼ君、こっちは終わったよ」
「そうか……では整列しろ」
魔物たちは俺の指示通りに並んだ。きちんと俺の命令に従うらしい……そういえば……
「お前もこっちにこい」
俺は眷族にした魔物を呼ぶ。
「俺の眷族が名無しでは困るな。名前をつけてやろう」
さてなにかいい名前は……
「……シンプルにシロじゃだめか?」
「適当だなお前」
「正直、思いつかん……なんかいいのあるか?」
「おう、いいのがあるぞ」
「なんだ?」
「ダークシュヴァルツライトホーリーロードグスタフスーパーイレヴンズハイパーラグナロクウルトラベリーストレンジマックスヴァイスビッグラージシュテルンアルティメットフォトンクリスタルファントムファイナルアブソリュートゼロギャラクシーオーバーロードワールドオブイクスサンクチュアリスーパーハイパーウルトラエターナルカオスインペリアルソードノヴァヘヴンサンシャインマターアポカリプスインフィニティヘルドラゴン」
「……」
俺はしゃがみ魔物と目を合わせた。
「シロでいいな?」
魔物は頷いた。




