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旧・病みパで始める終焉物語(エンドシナリオ)  作者: 紅暮
第1章 はじめてのおつかい
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マモノ? なにそれおいしいの?

「……カゼ君、シラカゼ君、起きて着いたよ」


「ん? ……ああそうか」


俺はフィルの背中からおりた。


「さて、では今日はここに仮拠点を作る」


俺たちがいるのは、町の近くにある林だ。近くに大きな池があるので水も大丈夫そうだ……あとは。


「では、エルとリリィは森の時とやることは同じだ。だが、静かに行え……なんせここは町から近いからな、転生者はもちろん町のやつらにも気づかれたら困る」


「えー、俺は?」


『お前はうるさいから駄目だ』と言うと面倒なことになりそうだな。さて……


「安心しろ、暴れさせてやる。だが今はその時に備えて休め」


「えー」


「お前のことだ、ここに来るまでの間で、魔物を狩りまくってたんだろ? ならいいだろ? それに本番で、疲労がたまって戦えないとか言われても困る」


「むぅ~……まあそうだな」


「よし。まあということでお前は残って、他のやつを手伝え」


「分かった」


「さて、次にシエリアも同じだ。調理の準備をしてくれ」


「ええ、分かったわ」


「んで、フィル。お前は魔物が来たら倒せ。他のやつら……特に俺とヴェリア、フレンはこれから集中したいから、俺達には近寄らせるな」


「分かったよ」


「俺は戦っちゃ駄目か?」


「いいぞ。ただし、銃を使わずに静かに戦うならだが。あと程々にしろよ?」


まあ目が届く範囲ならいいだろ。


「さて、ヴェリアお前も基本的に同じだ。ただ今回は転生者が近くにいる」


「つまり、ここを隠蔽するのも張ればいいんだよね?」


「そうだ、拠点周りに張ってくれ。ただ魔除けの結界は張らずに、ここら辺の魔物を引きよせる結界を張ってくれ」


「何かやるの?」


「あとで分かる」


「OK」


「ララ、お前の仕事は町の構造と中のやつらの人数とかの情報を把握だ。バレないように、ステルス機能付きの小型ユニットを送れ」


「ワカッタ」


「よし、お前たちはそれぞれの仕事に取りかかれ。フレン、テーブルを出してくれ」


フレンは頷くと、テーブルがそこに現れた。


「あとはシエリアのところにいって、台とかを出してやれ。出したら戻ってこい」


フレンは頷いて、シエリアのところへ行った。


「さてと……あーそうだ、フィルとディアニス、言い忘れてたんだが……ちょうどいい」


俺が2人に声をかけようとした時、魔物が現れた……



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



「あら、ヴェリア君。シラカゼ君は何してるの?」


「魔物を選別してるんだって」


「選別?」


「使役と強化がしやすい魔物を探してるんだって」


「あら、そんなこともできたのね。でも魔物を使役してどうするの?」


「町に攻め込む際の奇襲と囮役に使うんだって」


「へ~」


「フィル、右のそいつは合格だ。あとは殺せ」


「……ひどいものね」


「そんなもんだろ」


椅子に座っている俺の前に、また魔物が並べられた。


「……全員駄目だ」


「逃がしてあげたら?」


「駄目だ。殺した魔物は魔物の強化や餌として使うからな」


「……」


「別に無差別に殺してるってわけじゃない、必要な分だけだ」


「まあ……それなら」


「必要なのはあと一体だ。フレンそっちはどうだ?」


フレンのまわりには、色々な器具やら薬品やら何やらがある。フレンは魔物に注射をしていた。その注射器のなかには魔物を進化させる薬などが入っているらしい。スライム系の魔物が多いので主にそのままかけているが……

フレンはコクりと頷いた。


「よし」


「シラカゼ君この子はどう?」


フィルはそう言って、狼のような魔物を見せてきた。色は全体的に黒く、狼をベースに手足を竜、尻尾を蛇にして背中に竜の羽をつけたような見た目だ。おそらくキメラなんだろうな。この世界のキメラは何種類かの動物の組み合わせがある。この魔物の場合、狼と蛇と竜だ。


「……」


魔物は必死にもがき助けて欲しいと懇願する。俺は黙って魔物を見つめる。

 

「そんなに助けて欲しいか?」


この魔物は人の言葉が分かるようで、もがくのを一旦やめて、頷くような動作をしてみせた。


「残念だが、今のお前は戦力にはならんな……」


この魔物はよく見ると、ところどころボロいし、まだ若いからか弱そうだ……

まあ組み合わせは珍しいし、成長の分の伸び代はもちろん、秘めている力もそこそこあると思うが……


「……もし俺の眷族になるなら生かしてやろう」

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