ヒト? なにそれおいしいの?
「うぅ……なんで俺が……」
「zzz……」
「……」
うぅ……まだ睨んでる……
「ひそひそ……」
「うぅ……」
少し前……
「ん?」
人を食べたいな~なんて、人を恋しがっていたら、シラカゼ君と目があった。
「……分かった。ただし、フィルにおぶってもらう」
「「「え?」」」
え?
「しゃがめ、フィル」
「な、なんで俺が?」
「エルが嫌だからだ」
エルさんはシラカゼ君のその言葉で、かなりショックを受けたみたいだ……
「で、でも……」
「この中で、他におぶれるのはお前だけだろ?」
「そうだね……」
「じゃあ、おぶれ」
「……」
うぅ……シラカゼ君、流石に横暴だよ……なんかエルさんこっち睨んでるし……
「ひそひそ……」
他の人は、なんかひそひそしてるし……うぅ……皆にますますさけられてる……
「早くしろ」
「うぅ……分かったよ……」
俺は渋々彼をおぶることにした。
「こ、これはこれで「静かにしてください」
シエリアさんはリリィちゃんに殴られた。
人は好きだから、彼をおぶること自体はいいけど……
「……」
「ひそひそ」
「うぅ……」
「おい、フレン、ララ」
「ナンダイ、シラカゼクン?」
「最初のポイントに案内できるな?」
「ウン」
「俺が寝ている間の案内を頼む。着いたら起こしてくれ」
「ワカッタ」
「ねえ、シラカゼ君」
シラカゼ君に小声で言った。
「なんだ?」
「エルさん、こっち睨んでるんだけど……」
「そんなの無視しろ」
「でも他の人も……」
「そんなの、いちいち気にするな」
そんなこと言われても……
「というわけで、フレンとララの案内に従って行け。俺は寝る」
~回想終了~
そして今に至る……
「はあ……」
しばらく歩くと、ようやく森から出られた。シラカゼ君の言う通りそこには、一面がわかくさ色の平原が広がっていた。当然、見通しがいいから……
「おっしゃー魔物だー」
魔物がそこら辺にいるし、見晴らしがいいから集まってきた。
「ちょっと、ディアニスさん静かにしてください。シラカゼさんが寝てるんですよ」
ディアニス君は、向かってきた魔物の群れに突っ込んでいった。
「おらーー」
ディアニス君がホルスターから銃を抜いて、乱射する……
「zzz……」
こんなにうるさいのに、彼はよく眠っていられる……相当疲れているんだなあ……
「ひゃっほー」
しばらくして、ディアニス君が魔物を倒し終えたので、再び歩きだす俺たち。うぅ、皆との距離が縮まらない……しかもまだエルさんが睨んでるくる……というか、さっきより強く睨んでる気がする。もう代わって欲しいくらいだよ。俺がそう考えていると……
「ふえ?」
俺が考え事をしているうちに、先頭を歩いて道案内をしていたフレンさんが、俺に近づいていたようで、俺の袖を引っ張っていた。
「ダイジョウブ?」
「正直、全然大丈夫じゃないよ……」
「ミンナハ、キミノコトヲ、シラナイダケナンダ。ダガラ、キニシナイデ」
「……ありがとう」
「イイヨ、ベツニ。ジツハネ、キノウノヨルニ、シラカゼクンガ、イッテタンダ」
「なんて?」
「フレン、コレハ、フィルニモイエルコトダガ、オマエタチハ、ホカノヤツラカラ、ジブントイウモノヲ、シッテモラエッテ、イッテタ」
「そうだったんだ……」
シラカゼ君……
「ダカラ、ボクタチト、イッショニ、スコシズツ、ミンナト、ナジンデイコウヨ」
「うん。ありがとう」
「キミハヒトガスキ?」
凄くストレートな質問だなあ……
「うん」
「フレンモネ、スキダヨ。デモ、フレンハ、ヒトガニガテナンダ……」
「……」
「ヒトトナカヨクナリタイ……ダカラフレンハ、ヒトノヤクニタツコトヲ、シヨウトオモッタンダ。デモドレモ、シッパイシチャッタ」
「くだらねえな」
いつの間にか、俺たちの後ろにはディアニス君がいた。
「人の役に立って皆に認めて欲しい……そんなことしたって、結果がついてこなきゃ認められるわけねえだろ」
「ソウカナ?」
「そうだよ。そもそもお前らは甘いんだよ。他のやつと仲良くなりたいなんて無駄だ。俺ならそんなくだらんことに、時間は割きたくないね」
「じゃあ、君は人が嫌いなの?」
「わかってねえな。好きとか嫌いとか、そんなのは小せえ話なんだよ。自分が強いかどうか……大事なのはそれだけだ。強けりゃ寄ってくるし、弱けりゃこない。まあつまりはあれだ、人が寄ってくっかは結果の一部にすぎねえってことだ」
「へー」
まあ要するに、魅力的な人には自然に人が寄ってくるってことかな。魅力か……