表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旧・病みパで始める終焉物語(エンドシナリオ)  作者: 紅暮
第1章 はじめてのおつかい
13/32

はじまりの森は危険な森

俺が目を開けるとそこは……


「どうやら無事転移が成功したようだな。さて俺たちがいるのはとある森だ。危険度としては…」


俺がそう言いかけたとき、近くの茂みから何かの唸り声が聞こえた……もちろん人の声ではない。それは虎の声に似ていた。


「ま、という風にそこそこ危険だ」


「いや、危険って……普通はもっと危険の少ないところに送るものじゃないの?」


「残念だが、転生者の居場所や俺たちの実力の関係上ここになったらしい……まあせいぜい頑張れ」


「嫌よ。ていうかあなたはどうするのよ?」


「ん? とりあえずは見学させてもらう……ほら来たぞ」


俺がそう言うと、茂みから虎のような魔物が唸りながら出てきた。普通の虎よりも一回り大きな体に赤く鋭い爪と牙、赤色の虎模様の毛皮、そしてその背中から生えている水晶の形をした大きなルビーのようなもの……おそらくは、魔石だろうな


「ほら、誰でもいいから行ってこい」


「んじゃ、最初の獲物は俺が貰うぜ?」


そう言って、ディアニスが前に出る。

ディアニスが前に出ると、魔物は少し弧を描くように歩きながらディアニスを見据える……しばらくして魔物は、一声唸ると去っていた。去るときもこちらを警戒し背を向けなかった……


「なんだよ。折角の獲物だったのに」


「自分と相手の力量を測り、その上で身を引いたか……ふむ、確かにレベルは高いようだ」


「なに一人で納得してんだ?」


「狩りなら後でいくらでもさせてやる。だがまずはお前達の実力と魔物の実力をおおよそ測る。では次は誰だ?」


「えっ……今のでいいんですか?」


「おい、まだ何もやってないんだが?」


「今のでおおよそ分かった。なのでとりあえず次だ」


「チッ……」


ディアニスがそこらへんの石を蹴っていたが無視する。


「はいはーい。んじゃ、次は僕がいくよ」


「分かった」



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



といった感じで、残り3人の実力をだいたい確認した。まあフィリユスとフレンディア、リリィは必要がなかったので測らなかったが……


「さて、確認を終えたところで。今後の方針を話したいところだが、今日はもう日が暮れる。というわけでだ、まずはここを仮拠点として拠点作りをする」


日はまだ明るいが、あと少しで夕暮れになるだろう。俺たちは少し開けた場所で風魔法を使って草を切って1ヶ所に集め、スペースを作った。


「それでまずは何からやるの?」


「まずはお前たちをそれぞれ役割分担する。まずディアニスとエルなんとか。お前たちは狩りに行ってこい」


「よっしゃー」


「あまり浮かれるなディアニス。いいかあくまでも俺たちが食べる分だけだ。二人で行動しなくてもいいが獲物の数は二人で話し合え。あと木々を倒すとか、森から出るとか目立つことをするな」


「はいはい、わかってますよっての」


「じゃあ行ってこい」


「よし。狩ってくる」


「じゃあ行ってくる」


そして二人は茂みのなかに消えた。


「大丈夫なんですかね?」


「ま、大丈夫だろ。んでリリィ、お前の方も森を探索してきて欲しい。森の中で食べられそうな野草とかを探してこい。あと一応あいつがバカやってたら殴って構わん」


「分かりました」


そう言ってリリィも茂みに消えた……もちろんモーニングスターを引きずって……


「さて次はヴェリアとララ、フレンディアだ」


「はいはーい、任せて~。それで何をすればいいの?」


そこで、俺はそこら辺から木の枝を拾い、地面に刺した。


「まずララとフレンディア、お前たちはこの枝を刺した地点を中心とした、1km範囲に探索用の機械ユニットを飛ばして地形を把握しろ。そのあとその範囲の地図を作れ」


「ウン、ワカッタ」


「ヴェリア、お前はユニットの一つと一緒にその範囲の円周を周り、結界を張ってこい」


「うんわかった。じゃあ行ってくるね~」


ヴェリアは手を振ってから茂みに入って行った。


「さて、残りはこの場所を整える作業をする。が、シエリア。お前には調理を担当してもらうがいいか?」


「ええ、もちろんよ」


「ではお前は調理の準備だ。フレン、調理台を出してやってくれ」


フレンディアはコクりと頷き、シエリアと共に調理台を置きに行った。


「あと……おいバカ、お前にも働いてもらうぞ?」


縛られて、地面に放置されていたフィリユスを見てそう言った。


「でもみんな食べちゃダメなんでしょ?」


「お前は人を食べてどうする? 本当にずっと一緒にいられると思ってるのか?」


「そうだよ……」


「そんなの、物理的にも精神的にも無理だな」


「じゃあどうすればいいって言うのさ‼」


「さあな。だがまずは俺たちから信用を勝ち取れ。そもそもずっとだぁ? なら自分がまず不死にでもなるんだな」


俺はそう言って縄を解く。その時、ちょうどフレンディアが戻ってきた。


「ま、何にしろまずは働け。話はそこからだ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ