大人への一歩
掲載日:2015/11/08
真っ白な空間。
何も色のついていない空間。
この空間はこれから「 私 」が色を塗らなくてはならない。
自由に、壮大に。
けれども、色を塗るための絵筆がない。
いや、本当はあるのだ。
ただ、「 私 」がその絵筆をとりたくないために、見ないように。
気づかないように。
見つけたくない。
見つけたら一人で描かなくてならないから。
ふと、後ろをみる。多種多様な色が混じりあい美しい空間になっている。
ある場所は、暖かく。
ある場所は、冷たく。
またある場所は……………。
なんとも言えない美しい空間である。
これは、「 私 」が作った空間…………とは、言えない。しかし、「 私 」が作った。
作ることが出来た。
なぜなら、友がいた。先生がいた。家族がいた。帰るべき場所があった。思い出の場所があった。
なにもかも、「 あった 」。
けれども、いまから描くこの空間はなにもない。
「 私 」しかいない。
誰かに決めてもらう、色もない。
誰かに教えてもらう、色もない。
誰かに助言される、色もない。
なにも、ない。
「 私 」が決めていかなくてはならない。
いまはまだ、絵筆を見つけなくてもいい。
まだ、時間はある。
少しずつ、色を決めていこう。
これから先の空間が、本当の「 私 」が描いたものにするために。
「 私 」 はそっと、空間を見渡した。




